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ユニセフ協会からのお知らせ

「リオ+20」 子どもたちへの投資があってはじめて実現する持続可能な開発

【2012年6月25日 ブラジル・リオデジャネイロ発】

先週ブラジルのリオデジャネイロで開催された「リオ+20」で、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、(社会)開発と子どもたち(の命や健康な発達を確保するため)の‘公平性戦略’を世界に訴えました。

© UNICEF Brazil/2012/Alcantara
ブラジルのリオデジャネイロで行われてた「リオ+20」で“公平性戦略”の重要性を訴えるユニセフのアンソニー・レーク事務局長。

先週、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、数百万人もの最貧層にある子どもたちが取り残されている現状を鑑みた時、既存の“開発モデル”は、原理原則が誤っているばかりか、現実問題として、持続可能な開発モデルではないと訴えました。

「国際通貨基金(IMF)が最近発表したペーパーでも、社会がさらに公平になれば、時間とともに、経済成長はより持続可能なものになることが指摘されています」 レーク事務局長は、水曜に開かれた「不公平な世界における持続可能な開発について」と題された「リオ+20」のサイドイベンドで、このように述べました。

「予防接種を更に展開できれば、病気で命を落とす子どもたちは少なくなります。私たちは、子どもたちの命を守る方法を知っているのです。もっとたくさんの微量栄養素を提供できれば、幼い子どもたちの脳や身体は強くなります。もっとたくさんの男の子と女の子に質の高い教育を与えることができれば、あらゆる子どもたち、次の世代の子どもたち、またその次の世代の子どもたちに、人生のよりよいスタートを切る機会を提供し、子どもたちの夢が実現できる未来を持続させていくことができるのです。これは、子どもたちが(生まれながらに)持つ権利であり、(その権利を享受できる環境を調えるのは)私たちの責任です。私は、これが「リオ+20」が将来に残す遺産になればと願っています」(レーク事務局長)

開発から取り残された子どもたち

© UNICEF Brazil/2012/Stephan
「リオ+20」で教育分野への投資の重要性を訴える、ユニセフ支援事業局ニコラス・アルプイ局長。

ユニセフ支援事業局のニコラス・アルプイ局長は、自身のプレゼンテーションの中で、持続可能な開発における教育の重要性を強調。教育は、手を差し伸べなければならないもっとも厳しい立場の子どもたちの生活を変える力があります。しかし、何よりも、そうした状況に置かれている子どもたちに、教育の機会が提供されなければ、本も子もありません。

「正式な形のものでもインフォーマルなものであっても、また(教員の)研修であれ何らかの研究であれ、教育分野への投資は、開発目標の達成や貧困の根絶、公平性、包括性を担保するにあたり、極めて重要な役割を果たします」「持続可能な開発のための三つの柱である“経済成長”と“社会発展”、そして“環境保全”。それぞれが、教育に強く影響されているのです」(アルプイ局長)

© UNICEF Brazil/2012/Silva
「リオ+20」のサイドイベントで発言する、アルテ・モレノさん(20歳)。モレノさんは、自身が子どもの時から、子どもの権利問題の改善に積極的に取り組んできている活動家。

ユニセフのリオデジャネイロ事務所とサンパウロ事務所が進める「都市部の(子どもと青少年の)プラットホーム」イニシアティブに参加しているアルテ・モレノさん(20歳)も、このイベントに出席しました。モレノさんは、開発から取り残された子どもたちの問題に言及。ミレニアム開発目標達成の下では、各目標に対する各国の取り組みの進捗状況を計るために、“全国平均”に注意が向けられていたことに問題があったと指摘。こうした平均値が、盲点や格差の存在を覆い隠していたと話しました。

「全国平均だけを見れば、例えば、改善された衛生施設(トイレ)を利用する人の割合が84パーセントに達し、目標は達成されることになったとします。しかし、私自身は、残りの16パーセントに属していて、学校にも通っていない、衛生設備も利用していない、コミュニティにまともな道路や基本的な医療・保健のサービスも普及していない状況の中に置かれているのです」(モレノさん)

飢餓の根絶に向けて

© UNICEF Brazil/2012/Alcantara
「リオ+20」で開催された国連機関事務局長会議に参加したレーク事務局長。

「リオ+20」会期中、ユニセフは、潘基文国連事務総長の号令でスタートした「ゼロ・ハンガー・チャレンジ(飢餓の根絶に向けて)」キャンペーンに取り組んでゆく事も、改めて宣いました。このキャンペーンは、国連機関や民間企業、各国政府の参加や協力によって推進されています。

「食糧の欠如は、人の身体的能力そして認知能力に、一生涯にわたる影響を及ぼす恐れのある‘隠れた飢え’を引き起こしかねません。こうして生じた障害は一生消えることはなく、子どもたち一人ひとりには悲劇であり、社会にとっても大きな損失問題なのです」 レーク事務局長は、社会的に厳しい状況に置かれているコミュニティに住む人々が、一番この問題の影響を受けていると語りました。

レーク事務局長は、また、食糧問題と栄養問題の違いを強調。食糧が十分確保されている国の中には、(それにも関わらず、子どもたちの間の)栄養不良や発育阻害の割合が高い国があると訴えました。発育阻害は、生後2歳までの間に十分な栄養が与えられなかった子どもたちに生じる、回復不能な身体的・認知的発達障害です。

若者の参加

「リオ+20」では、ユニセフが促進しているアプローチのひとつ「政策決定の場への若者の参加」の重要性が強調されました。次の世代に持続可能な開発を繋いでいくのは、子どもと若者たちなのです。

「子どもたちや若者たちを、“問題”を持つ存在としてではなく、むしろ、問題を解決するための役割を果たす存在として見なければなりません」レーク事務局長はこう話し、持続可能な開発に関する世代間の対話を訴えました。

ブラジルの人気歌手で、同国内でユニセフ親善大使も勤めるダニエル・メルクリさんも出席した、国連財団などが主催したサイドイベント「リオ+ソーシャル」では、レーク事務局長は、若者たちの社会参加や、持続可能な開発のための議論の形成に果たしているソーシャル・メディアの役割に言及しました。

「ユニセフは、さまざまなソーシャル・メディアを利用して、問題への啓発や、注目の集まり難い課題についても訴えています」「これは、10年前には不可能だったことです」(レーク事務局長)

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