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ユニセフ協会からのお知らせ

アグネス大使 “公平性”戦略の最前線に〜ナイジェリア視察報告

【2013年4月17日 東京発】

年率10%を超える経済成長の中、急激な人口増と貧富の差の拡大が続くナイジェリアの商都ラゴス。9日に現地入りしたアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使は、「ゴミ箱」という名がつけられたスラムに住む子どもたちや、貧しさを逃れてラゴス市内に増え続けるストリートチルドレンの元を訪れ、2009年にユニセフが提唱した、最も支援が届きにくい子どもたちを最優先にする“公平性戦略”の下で進められているユニセフの様々な取り組みを確認しました。

“認識の格差”

ユニセフ・ラゴス事務所がアグネスさんに紹介したそうした取り組みの一つは、同事務所が昨年3月にまとめた『ラゴス州における保健サービスの現状—格差解消に必要な“投資”試算』と呼ばれる調査。「こちらの政府の方々は、子どもや妊産婦死亡率が高い理由は、貧しい人々の間に予防接種や定期健診の重要性の認識、つまりそうした問題を予防する社会サービスに対する“ニーズ”が無いからだと思っていました」「しかし今回の調査は、スラムなどに住む人々は、実は、そうしたサービスを必要としているものの、行政が提供するサービスの質があまりにも悪いために使わないのだ、ということを明らかにしました」(サラ・ベイソロ・ニャンティ所長)

「お金持ちと貧しい人の間には、“認識の格差”もあるのです」と語るのは、アグネスさんが出会った地元紙『デイリー・インデペンデント』の記者オンチェ・オデさん。「例えば、ラゴス市内のレキとイコイの間に造られた橋など、その象徴的な存在です。富裕層を基準に設定された片道500ナイラ(約300円)という通行料金があまりにも高いということで、完成した今も開通の目処は立っていません」(オデさん)

経済成長=新たな脅威

ただでさえ行政サービスが届きにくかったスラムなどに住む子どもたちの問題に対応するため、ナイジェリアでも、この5-10年の間に、多くのNGOが活動を始めました。しかし、そうしたNGOを運営する人々にとって、近年の急速な経済成長と人口増は、新たな脅威でしかありません。「路上で生活する子どもの数は、どんどん増えています」と語るのは、200人を超えるストリートチルドレンが確認されているオショディ地区のコミュニティー・リーダー。「私たちの活動を必要としている女の子は増えています」性的虐待や貧しさから逃れてきた女の子たちにシェルターを提供しているNGOのスタッフも、アグネスさんに訴えていました。

“見える化”が鍵

16日、アグネス大使は、ユニセフの支援でナイジェリアに導入された携帯のショートメッセージサービス機能を使った出生登録の現場を訪問。この新たなシステムも、多くの“存在しなかった”子どもたちの“見える化”に、大きな役割を担っている。

行政と市民社会の間の認識の格差を埋め、両者が手を組んで社会サービスを提供する仕組みづくりは、「子どもの保護」分野でも進められています。ユニセフが2010年に立ち上げた「子どもの保護ネットワーク」には、社会福祉や警察関係者などの行政機関はもちろん、子どもの保護の分野で活躍する多くのNGOが参加。支援を必要としている子どもたちに関する情報交換や、発見・保護・ケア・支援のより良い連携づくりを図っています。16日、アグネスさんは、ラゴス市内で開かれていたこのネットワークの会合に参加。ラゴスのユニセフで働く唯一の日本人職員で子どもの保護専門官の泉紀子さんに、ユニセフの取り組みについての説明を受けました。「ナイジェリアでは、長年、政府とのパートナーシップを通じて子どもたちの支援のシステムづくりをしてきました。こうした形での支援は、全体の“平均値”を上げるなど、一定の成果を出してきました」「しかし、急速な経済発展は、同時に、急速な格差の拡大を招いています。こうしたことも背景に、私たちは、“公平性戦略”に力を入れているのです。社会の底辺にいる子どもたちに日々接しているNGOの活動と、そうした子どもたちが置かれている状況をまだ掴みきれていない政府の活動を繋げることも、その一つなのです」(泉さん)

人への投資、子どもへの投資

天然資源にも若い人口にも恵まれたナイジェリア。しかし、資源の再分配が不十分なために、企業も投資を躊躇してしまうような状況が広がっている…。「ゴミ箱」と呼ばれるスラム街やストリートチルドレンがたむろする街、そして、経済成長の恩恵を得られず、そうした過酷な状況に置かれている子どもたちのために日夜奮闘する人々に密着した9日間を過ごしたアグネスさんの心には、そういった印象が強く残ったようでした。

「この国が、その恵まれた環境を生かせるようになるためにも、人への投資、子どもたちへの投資が必要なんだと思います」(アグネスさん)

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

« アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使 ナイジェリア視察報告会 »
以下の日程でアグネス大使による帰国報告会を予定しております。ぜひご参加ください。

開催日時 2013年4月22日(月)
午後2時00分〜3時00分 (受付開始 午後1時30分)※
※当日は報道機関による取材・撮影が行われる可能性もございます。あらかじめご了承ください。
会場 ユニセフハウス1F

〒108-8607 東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
JR品川駅および都営浅草線高輪台駅徒歩7分
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入場 無料
定員 130名 (事前申込み制・空席があれば当日受付も可)
参加お申し込み 「22日視察報告会参加希望」とご明記の上、
EメールまたはFAXでお知らせください。
  1. ご希望参加人数
  2. お名前
  3. ご連絡先(Eメール、お電話番号)

【送り先】
Eメール: jcuinfo@unicef.or.jp
FAX: 03-5789-2036
※ 戴いた個人情報は、本報告会開催の目的のみで使用いたします。

お問い合わせ 公益財団法人 日本ユニセフ協会 広報室
電話:03-5789-2016 E-mail:jcuinfo@unicef.or.jp

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