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緊急支援の概要

■ ロヒンギャ難民

出典 UNICEF, ‘LIVES IN LIMBO: No End in Sight to the threats facing Rohingya children’, February 2018.
(※地図は参考のために掲載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません)

ロヒンギャの問題は、決して新しいものではなく、ミャンマー独立以来続く問題です。これまでにも、78年、91年、2012年、2016年12月とロヒンギャの人々の国外流出は起こっていました。しかし昨年8月に始まった今回の流出は、これまでの規模とは大きく異なります。数週間という短期間に65万5,000人を超える新たな流出があったのです。バングラデシュに逃れた人々のうち58%が18歳未満の子どもで、60%が女性(そのうち3%が妊婦、7%が授乳中の女性です)だとされています。すでにバングラデシュ国内にいた難民25万人と合わせると、コックスバザールには今およそ100万人が逃れ、さらにホストコミュニティに身を寄せる20~30万人を加えると、合計120万人が故郷から逃れて来ていると見られています。

2017年11月現在、難民キャンプに登録されている難民は4万5,000人ですが、仮設キャンプや居住地区、自発的にできたキャンプもあり、それらの場所に相当数の人々が暮らしています。もともと、コックスバザールはバングラデシュ国内でも最も貧しい地域です。そこに新たに、大きな難民問題が降りかかったのです。

多くの人々が何日もかけて50-60kmの道を歩いてきていて、食料、水、住居や保護を必要としています。バングラデシュにたどり着いても彼らの戦いは終わったわけではなく、十分な住居スペースがなく雨風にさらされる人もいれば、トラウマや忘れられない傷を抱えた人、疲弊していたり、病気や飢えに苦しんだり、と多くの人たちがケアを必要としています。

過密状態の避難民キャンプや仮設住宅では、一人当たりのスペースも限られており、トイレに至っては1つを100人で共有しているような状況です。人口密度が高い場所では、このような衛生環境が整わない状況下では何千人の命を危険にさらす感染症や急性水様性下痢症などの蔓延も懸念されます。さらに、避難してきた子ども、受け入れ地域の子どもともに、暴力にさらされる危険が高くなり、性的いやがらせ、児童労働や児童婚を含む虐待、搾取、さらには人身売買に巻きこまれる危険もあります。2017年11月の時点で、ロヒンギャ難民の4-18歳の子ども45万人が教育サービスを必要としています。

<水と衛生>

人々に適切なサービスを提供するのは、時間との戦いです。たとえば、2,000カ所の安全な水場や1万9,500カ所の仮設トイレを設置する、45万人に公衆衛生に関するメッセージを届けるといった目標を掲げて、様々なパートナー団体と協働しながら取り組んでいます。

<栄養>

難民の流入において、第一陣として入った人々はすぐにバングラデシュ国内に入れましたが、その後時間が経つにつれ、数週間をかけてようやく到着するといった難民が増えてきました。そうした難民の人々は、栄養状態が非常に悪い状態でキャンプにたどり着くのです。難民キャンプ内においても、不衛生な環境によって下痢が発生し、栄養不良に陥る子どもが多数確認されました。食料や栄養素が不足しているという事情もあり、一時期子どもたちの栄養状態が非常に悪化したため、当初の目標よりも多くの子どもたちに栄養不良の治療やケアを提供しています。

<子どもの保護>

親とはぐれたり保護者のいない状態の子ども2,500人に対しては、家族の追跡調査や再会支援を行っていかなければなりません。惨劇を目撃した子どもたちへの心のケア、カウンセリングも強化していく必要があります。心のケアの一環として、内に秘めた感情を絵で表現してもらうといったプログラムなどをおこなっています。その他、心理社会的ケアプログラムを通じて、追加的な支援が必要な子どもを特定していきます。

このような緊急事態において忘れられがちな若者に対する支援、ジェンダーに基づく暴力などにも対応する必要があります。たとえば、ミャンマー国内でレイプされた少女が難民となってやってくる場合がありますが、もしレイプによって妊娠していたらどのような支援が必要なのか、また生まれてくる子どもにはどのように対応すべきなのか、支援を提供する側も体制を強化していく必要があります。また、初等教育を受けるには年齢が高すぎ、しかし働くには若すぎる若者たちが、訓練を受けライフスキルを身につけられるようにしなくてはなりません。

<保健>

巨大なキャンプでは、保健分野の問題も巨大になります。特にロヒンギャの子どもたちのほとんどは、ミャンマーで予防接種を受けていません。そのため、コックスバザールでは感染症の発生がすでに見られています。ユニセフは政府による予防接種プログラムに協力し、はしか、ポリオ、コレラの予防接種を推し進めています。特にコレラは、過去にも世界の同様の緊急事態において多くの人が命を落としています。そのため、少しでも感染を軽減するために、キャンペーンの形で大きく展開しています。

<教育>

緊急事態において、教育は子どもたちが日常を取り戻すために重要です。幼児教育、非公式教育は、すでに6万7000人以上が受けられるようになりました。これは大きな成果ですが、全体に占める割合では未だ、教育が必要な子どもの1/3に留まり、この割合を高めていかないといけません。

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