私が教育担当官としてアフリカで働き始めて、今年で6年目になりました。現在赴任しているコンゴ民主共和国は、広大な国土と豊かな自然に恵まれた国です。しかし、1960年の独立以来、長期に及ぶ政情不安とそれによる紛争が続いており、今でも東部や南部で武力衝突が起きるたびに多くの避難民が発生しています。一度他の地域に避難してしまうと、子どもたちは学業を再開することが難しく、そのまま教育から遠ざかってしまいます。現在、国内で370万人近くの子どもが紛争の影響下にあり、うち13万人が隣国のブルンジと中央アフリカ共和国からの難民です。ユニセフは、難民を含むすべての子どもが学校に通えるよう、仮設教室の開設や教材の配付、教員の研修などに奔走しています。
前任地だった西アフリカのリベリアでは、コートジボアールから逃れてきた子どもたちのために、4つの難民キャンプ内に小学校をつくりました。言葉も習慣も違う異国で避難生活を送る子どもたちが少しでも安心できるよう、難民の中から元教員を探すなどして、本国と同じ授業を行なえるようにしました。第一回目の卒業式で、卒業証書を手にした子どもたちの輝くような笑顔を見た時には、保護者たちと同じく胸が熱くなりました。卒業証書はいつか本国に戻った時にも有効で、子どもたちの一生を支える力となります。
私は大学時代に「世界がもし100人の村だったら」という本に出合い、世界では大学に通えるのは100人に1人、という事実を知りました。自分がいかに恵まれていたかを思い知らされ、それ以来、世界の子どもたちのために役立つ人間になりたいと願って、今に至っています。これからも、未来への可能性に満ちた子どもたち一人ひとりが、それぞれの能力を最大限に伸ばせるような教育活動を実施していきます。