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南太平洋に浮かぶ大小の島々からなるパプアニューギニア。800もの異なる言語が使われている 民族色豊かな国です。地域によっては、今も槍をかついだ部族がいたり、 現金をほとんど持たず物々交換で暮らす村があったりします。

女の子に教育は必要ない・・・

小学校の就学率は東アジア・太平洋地域中最悪で、男女合わせて70%。 さほど悪くないように聞こえますが、これは就学年齢ではない子どももあわせた就学率で、 16歳の小学一年生、18歳の小学一年生もすべて含めた割合です。原則6歳が入学年齢ですが、 義務教育制度がなく、学費も無料でないため、子どもが6歳になっても親が 「来年でいいや」「再来年でもいいや」と引き伸ばすことが多いためです。 子だくさんで貧しい家庭が多く、1人年間5000円程度の学費を、 子どもたち全員には払えないため、「女の子が学校に行っても就ける仕事がない。 だったら家で家畜の世話をしている方がいい」と多くの親たちが考えています。 学齢期の女の子のうち実に6割以上が学校に通っておらず、一日中子守や家の 手伝いに明け暮れているのが現状です。

女の子を取り巻く厳しい現実

女の子に教育は必要ない・・・。そんな考え方のほかに、この国の女子から教育の機会を奪う 大きな要因のひとつに「女子への暴力」があります。

都市部の学校は比較的近距離にありますが、都市から少し離れた村では子どもたちは1〜2時間歩いて 学校に通うため、通学途中に女の子が性的暴力の被害にあうケースがとても多いのです。 部族間闘争がある地域では、仕返しとして、他の部族の女の子を襲うレイプすることもしばしばです。 学校の中にいても教師や男子生徒からも襲われるのです。これでは女の子たちが学校に来たくなくなるのは 当然です。

やるべきことは山積

資金は慢性的に不足していますが、私たちがやるべきことは山積みです。 まず、重要なのはこの国の人たちが、「女の子に教育は必要ない」という、考えを捨てることです。

何百年と続いてきた根強い風習を変えるには根気強い啓蒙活動を続けなければなりません。 800の言語を持つ多くの部族からなる国において、ユニセフのメッセージをあまねく広めるには地道な 努力が必要です。でも、女子教育、そして女の子の自立はこの国を変える大きな力になると信じて、 ユニセフは親や地域の人々を集め、女の子を学校に通わせると、生きるためのいろいろな知識を 家族に伝え、家族が健康になるなど、多くのメリットがあることを伝えています。

女の子にとって居心地の良い学校を作ることは、女の子の退学を食い止めることにつながります。 押し着せの支援でなく、女の子が本当に求めているものを見極め、学校に支援するようにしています。 どうしたら女の子が学校に行きたくなるか、どうしたら親が娘を学校に行かせたいと思うかを当事者たちと 一緒に考えて寄付をするという支援方法はユニセフだからできることだと思います。 中でも、効果的だったのはミシンです。「これがあったから学校に行きたいと思った」「服が縫えると 将来に役立つ」と喜ぶ女の子たちの姿に、こうした現地に根ざした支援をもっと進めていかなくては、と感じています。

Photos:©UNICEF/Papua New Guinea ©UNICEF/NYHQ2004-1270/Giacomo Pirozzi ©UNICEF/NYHQ2004-1294/Giacomo Pirozzi
財団法人日本ユニセフ協会 スタッフリポート1