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財団法人日本ユニセフ協会

現地最新レポート 佐藤みどり バグラディッシュ事務所子どもの生存プログラムマネージャー

生まれたばかりの赤ちゃんの「命の守り方」を広めたい

誕生の喜びが、一転…
3つの大河が海へと注ぎ込む河口に、1億5000万人が密集して暮らすバングラデシュ。貧困や度重なる洪水など、問題が山済みのこの国で、とりわけ深刻なのが、生まれてすぐに命を落とす赤ちゃんの多さです。5歳までに亡くなる子どもの8割が0歳児で、そのうち約4人に1人は誕生当日に亡くなっています。
ほとんどの女性が、親戚や昔ながらのお産婆さんに付き添ってもらって、自宅でお産をするため、衛生が行き届かず、また適切な知識や技術もないため、窒息や未熟児、早産、感染症などに対処できないのです。

命を守る3つの原則
生まれてすぐの赤ちゃんの死は、実は「保温」「栄養」「感染予防」の3つの知識で、かなり防ぐことができます。生まれたらすぐに身体を拭いて温め、免疫力を高める初めての母乳を飲ませ、へその緒を清潔に保つこと・・・。
こうした知識をもっと知ってもらおうと、今、力を入れているのが、産前・産後の家庭訪問です。ユニセフの研修を受けたコミュニティヘルスボランティアワーカーが妊婦さんや赤ちゃんのいる家を一軒一軒訪ね歩き、難産の兆しはないか、予防接種を受けているかなどを確かめながら、命の守り方を伝えます。

家庭訪問で、母子の健康を見守る
ヘルスボランティアワーカーは各県に何百人、全国では数千人規模で展開しています。家庭訪問の途中で、彼ら彼女らは「来週母親教室を実施するから来てね」などの情報をお母さんたちに宣伝してまわり、庭や空き地などの屋外のスペースで急ごしらえの教室をひらきフリップチャートを使いながら、お母さんたちに新生児のケアについてアドバイスします。
雨季には増水した川に道を阻まれることもしばしばですが、ヘルスボランティアワーカーたちは、なんのその。舟をこいだり回り道をしたりと、何時間かけても、家々を訪ねて行きます。
こうした家庭訪問プログラムは新生児を守る上で最も効果があるものとされており、現在、他のパートナー機関やNGOなどと協力してプログラムの拡大を図るための努力を続けています。

道のりは険しいけれど
最近、村々で声をかけてもらえることが多くなりました。赤ちゃんが元気になると、地元の人たちとの間に信頼が生まれます。訪問チームは着実に育っていますが、まだまだ数が足りません。難産に対応できる助産師も、資金難で育成できずにいます。もっと多くの命を守れるよう、一歩ずつ進んでいきます。

Photos:© UNICEF/Bangladesh

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