美しい自然とはうらはらに
            アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ、世界で4番目に大きな島国マダガスカル。広さは日本の1.6倍。世界遺産にも登録され、自然豊かな観光立国のイメージがありますが、実際は「世界最貧国」のひとつです。全人口の7割が1日1ドル未満での生活を送っています。

乳幼児の死亡率は高く、年間8万2000人、毎日225人の5歳未満児が死亡しています。その主な原因は肺炎やマラリア、それに不衛生な環境や汚い水が原因で発症する下痢性の病気などです。そしてそこには、栄養不良が大きく関わっています。 マダガスカルの農村部では、みんなその日その日を精一杯生き延びている状況です。作物の収穫期以外は何ヶ月も薄いおかゆを夜一回すするだけ、あるいは乾燥地帯では食べるものが野生のサボテンしかないこともめずらしくなく、発育不良の子どもがたくさんいます。


© UNICEF/HQ08-0213/Vanou Rasoamanana

© UNICEF/HQ05-0898/Sarah Crowe

© UNICEF/Susanna Mullard
ちょっとした風邪や下痢から

栄養不良の子どもたちは病気への抵抗力が弱く、軽い風邪をこじらせて肺炎になったり、下痢から脱水症を起こしたりして命を落としてしまいます。毎年のようにやってくるサイクロンが作物にもたらす被害も深刻で、子どもたちの栄養不良に拍車をかけています。一度サイクロンで被害を受ければ、立ち直るにもそのための資金や資源もない農村部ではさらに貧困に陥るという悪循環が、この国の子どもと女性を苛んできました。政府も国際的援助なくしては、十分な復興ができません。

子どもの命を守るのは、お母さん

これまでユニセフは、乳児・幼児の死亡率改善を目指したプログラムに力を入れてきました。この国では診療所が少なく国民の40%が保健サービスにアクセスできません。
診療所が少ないこの国で子どもの命を守るには、お母さんたちの育児知識がとても大切です。
「母乳は赤ちゃんの栄養源」「こんな咳がでたら診療所へ」「下痢になったら塩と砂糖を溶かした水を」など、ユニセフの支援を受けた地域の保健員が村々に広めていきます。
ユニセフは、国や地域の人たちと協力して、年に2回全国予防接種デーを実施、ビタミンAや虫下しの投与、蚊帳の配布なども同時に行っています。もっと遠くの村まで活動を広げていくためにみんなで頑張っています。

教育は希望の窓


教育も重要です。子どもと女性は家事や自給自足のための労働を担うだけではなく、初等教育を受けることによって読み書きや生きていくために必要な能力を見につけることができ、自立した社会参加が可能になります。貧困層にある子どもでも学校を卒業できるまで通えば、貧困から抜け出すチャンスをつかめます。女性が読み書き計算を身に付ければ、家計を上手にやりくりして貯蓄を行い豊かな生活を目指すことができます。女性が教育を受けていれば、子どもの健康状態も改善されますし、家庭や社会での発言・参加も拡大するので社会がより平等になりますし、経済も発展することはよく言われていることです。


2007年9月から始まったラジオ授業を楽しそうに聴く子どもたち。

ある教室の風景。 椅子と机が足りず、床に座って勉強しなければならない子どももいます

また、人々が基礎教育を受けていれば、サイクロンや自然災害の面でも、予防や対処が以前よりうまくできるので、被害が少なくて済みます。

そのために、農村コミュニティーレベルでの教育の大切さの理解が必要です。現在、小学校就学率は90%くらいと言われていますが、退学率がとても高く、10人入学したうちの3人くらいしか5年生の時点では残っていません。政府スタッフが進める初等教育制度を普及し、全ての子どもが最低でも小学校を卒業できるように、現在、ユニセフは欧米諸国の政府支援と協働して、コミュニティの力を活用した早期教育プログラムや初等教育の更なる普及と質の改善を行って成果を挙げています。 私は最近、政府のラジオ教育番組の制作のサポートを行っています。ラジオによって、これまでマダガスカルではあまり行われてこなかった、「楽しみながらする勉強」を先生や子どもたちに知ってもらい、それによって小学校を終える子どもが増えることを期待しています。ラジオを使うのは、それが農村部にもある、もっとも普及したメディアだからです。

皆さまとユニセフが一緒にできること

バニラが名産で、稲作も行うマダガスカル。近年では、貴重な鉱物が掘り出され経済の見通しも次第に明るくなってきています。観光産業も国を潤してきました。アフリカの共通問題であるHIV感染率は1%程度。政治的にも安定しています。 それでもこの国の貧困は深刻なレベルで、ユニセフの支援は欠かせません。子どもが健康に育ち学校を無事に卒業できるようになり、女性の社会参加が拡大すれば、農村レベルから国を発展させていく力が養われるでしょう。 日本からは遠い島国ですが、マダガスカル語はインドネシアやマレー語に近く、アジアにルーツをもつ部族もあり、温厚でシャイな国民気質には日本との共通点もあるように感じます。

ぜひとも、マダガスカルを支援するユニセフ活動を、皆様のご支援で継続できるよう引き続きご協力よろしくお願いいたします。


© UNICEF/Susanna Mullard