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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2004年11月30日信濃毎日新聞掲載>

社会復帰の機会待つ 元少年兵
<アフガニスタン>

 ダボダボの軍服を身にまとったアブドゥールは身長1メートル58センチ。肩を落とし視線を床に落としたままです。今年、ユニセフはパキスタン国境近くのナンガハール州で武装解除プログラムを始めました。それによって軍から解放された290人の少年兵のうち、アブドゥールは最年少の12歳でした。
 アブドゥールをはじめ多くの少年兵は非戦闘要員として、調理人、荷物運び、警備員として軍に参加していました。彼らは時に暴力の対象になったり衝撃的な場面にでくわしたこともあります。アブドゥールにも恐怖体験の有無を尋ねると、しばらくの沈黙し、大きく目を見開いて「何も見ていない」と答えました。

 ユニセフなどが行った2003年の調査だと、アフガニスタンには約8000人の元少年兵がおり、その多くが市民生活に戻るための支援を必要としています。ユニセフは元少年兵やストリートチルドレン、人身売買の被害者、障害を持った子どもを対象にしたリハビリテーションプログラムを実施しています。

 ジャララバードではNGOと連携し、溶接工やカーペット織職人になるための職業訓練を行うセンターを開設。識字や計算、保健と栄養に関する教育も合わせて8-10カ月の訓練の後職探しを手伝います。現在は14歳-18歳のストリートチルドレン500名が対象ですが、今後は少年兵も参加する予定です。

 元少年兵の家族に対する支援も重要な課題です。アブドゥールの親のように、家計を支えるために子どもを軍に入れる家庭が少なくない上、除隊後も家計の不安がつきまとうからです。ユニセフなどは、家族に対する支援として100米ドルの貸し付けを行い、それをもとにニワトリや野菜の種を購入するように指導しています。

 センターにやってきた子どもたちは早いペースで多くを吸収しています。半年前は落ち込んだ表情でしたが、ス今ではスポーツをしたり友達とけんかまでするようになりました。お金を稼ぐ過程ではなく日常生活の中で徐々に他の子どもや大人とのかかわりを学んでいるのです。そして時には笑顔さえみせるようになりました。

センターを訪問したアブドゥールは、このプログラムが彼の住む町でいつから開始されるのかと尋ねました。この数年間多くの機会を失ってきたこどもたちは、もうこれ以上待てないのです。(文中仮名)

ユニセフではアフガン緊急・復興募金を受け付けています。
郵便振替口座は00190-5-31000、(財)日本ユニセフ協会(通信欄に「アフガニスタン」と明記)。

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