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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

アフガニスタン:地域密着型の学校が人里はなれた村々に希望をもたらす

2007年2月26日から3月9日の日程で開催される第51回国連婦人の地位委員会のテーマは「女子に対するあらゆる形態の差別と暴力の撤廃」。今回はそれにまつわるお話です。

<2007年2月23日、ニューヨーク発>

© UNICEF Jalalabad/2007/Khadivi
ハキマ(9歳)はお父さんのすすめで、一家が住む地域にある、ユニセフが支援する学校に通っている。

9歳のハキマは、最近ようやく自分の住む国や住んでいる人々のことがわかってきました。ハキマは、パキスタンの都市、ペシャワールのバジャワル地区にあった難民キャンプで生まれましたが、約2年前に、家族とともに母国アフガニスタンのベシュード地区にあるブク・タンギー村へ強制的に帰らされました。

しかし、ハキマは幸運でした。というのも、父親が一家の住む村にある学校に通うよう勧めてくれたのです。

ハキマ自身も、10人いるきょうだいの中で、自分が一番ラッキーだと感じています。ハキマには2人のお姉さんがいますが、2人とも自分の年齢を気にして学校へ通うことをためらっているからです。ハキマは文字のつづり方を覚え、100まで数を数えられるようになったことを誇りに思っています。黒板に文字を書き、クラスの友達が賞賛の拍手をしてくれると、ハキマはにっこりと微笑んで歓声にこたえます。

教育を支える緒方イニシアティブ

ハキマは毎日、日課である水汲みや薪集めのことを心配することなく、学校生活を心から楽しんでいます。彼女は大きくなったら先生になりたいといいます。

ハキマが学校に行くことができたのは、日本政府が創設し、アフガニスタン教育省およびユニセフが支援する地域総合開発支援計画、いわゆる「緒方イニシアティブ」と呼ばれるブログラムのおかげです。

© UNICEF Jalalabad/2007/Khadivi
様々な困難にも負けず、アフガニスタンのコミュニティは男の子と女の子、両方の教育に力をいれている

この「緒方イニシアティブ」は、2006年度だけで、50の地域密着型の学校への支援を通じ、約3,000人の子どもたちに教育の機会を提供しました。支援内容には、教職員の研修や彼らに支払う給料、教材の提供、また、数は少ないですが教室の建設なども含まれています。アフガニスタンの教育関係機関は、地域コミュニティと協力し、点在している村々に住む女の子たちにも教育の機会や支援を提供することできました。この支援がなければ、ハキマのような女の子たちは学校へ行かせてもらうことも、ましてや行きたくても、その選択さえできませんでした。

「教育省の規定では、小学校は村から3キロ以内に建設されなくてはなりません」 ユニセフの渉外担当官ロシャン クハディヴィ氏は述べています。「しかし、その範囲内に学校がない地域はまだたくさんあります。しかも、この3キロという距離でさえ、小学校に通う年齢の子ども、とくに女の子が通学するには遠すぎるといわれています。子どもたちの親は、学校や学校までの道のりが子どもたちにとって安全だと納得しなければ、子どもを家から出さないでしょう」

希望の光

しかし、希望はあります。地域密着型の学校の数は着実に増え、またとくに女の子の出席率が上昇するなど、よい変化が生まれています。さまざまな困難やアフガン内部の反政府勢力により再燃化してきたイスラム原理主義の影響にもかかわらず、コミュニティは女子や男子の教育にますます力をいれています。

今後、ハキマのような女の子たちが夢を実現し、親たちが子どもが守られる環境を作ってあげることができれば、アフガニスタンに明るい未来が訪れるでしょう。

クハディヴィ氏は述べます。「これからの課題は、まだ学校に通えていない子どもたち、とくに女の子たちに教育の機会を与えること、そして学校に通っても途中でやめてしまわないよう支援を行うことです。私たちユニセフはカリキュラムを改善し、教育の質を高めることを目的として活動を進めています。また、もっと子どもに優しい環境となるよう、学校施設や環境を整える『健康的な学校づくりのイニシアティブ』にも取り組んでいます。これらの活動が、出席率の維持・向上に大いに役立つはずです」

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