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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アフガニスタン:
首都カブールで2002年以来のポリオ感染
検問所や戸別訪問で予防接種を強化

【2014年4月24日 アフガニスタン・カブール発】

2014年2月、アフガニスタン・カブールの幼い女の子がポリオに感染していることが確認されました。首都カブールにおいて、2002年以来初の感染者です。ユニセフとパートナー団体はポリオの感染拡大を食い止めるため、即座に緊急の予防接種キャンペーンを実施しました。予防接種キャンペーンでは、ボランティアスタッフが各家庭を戸別訪問し、経口ポリオワクチンの投与を行います。また、カブール市内に入るための検問所での予防接種の実施を強化しています。

アフガニスタンはナイジェリアとパキスタンとともに、土地固有のポリオが依然として残っている3カ国のうちのひとつです。

* * *

土ぼこりが舞い、色鮮やかに飾り付けられたトラックや車のクラクションの音が響き渡るなか、Pul-e-Charkhiの検問所では、アフガニスタンの兵士が警備に目を光らせています。毎日何万もの車両が、首都カブールを目指し、この検問所を通過します。

18歳のニクザッドさんは、ユニセフとアフガニスタン保健省、WHOが共同で実施する3日間のポリオ予防接種キャンペーン、ワクチンの投与をボランティアで行っています。2002年以来初となる、死に至る危険性のあるポリオの感染が確認されたことをうけ、予防接種キャンペーンが実施されました。

検問所でウイルスの侵入を阻止

検問所でチェックを受ける子ども
©UNICEF Video
カブールのPul-e-Charkhi検問所でチェックを受ける男の子。この検問所では、10歳以下のすべての子どもへの予防接種の実施を試みている。

若いボランティアスタッフが、この検問所を通過するすべての車を確認し、10歳以下の子どもたちを探します。多くの予防接種キャンペーンは5歳未満の子どもを対象に行っていますが、ユニセフとパートナー団体はポリオウイルスが市内に入ることを確実に阻止するために対象年齢を拡大するなど、あらゆる予防策を講じています。

ニクザッドさんが手を振って荷台に子どもたちを乗せた小さなトラックを停止させました。「子どもたちは何歳ですか?」運転手に尋ねます。2人の子どもたちは、10歳以下のようです。一家はナンガルハール州の州都であるジャラーラーバードからやってきました。この地域はパキスタンからの人の出入りもあるため、感染の危険が残る地域です。

ニクザッドさん は手招きして子どもたちをトラックから降ろし、子どもの小さな指をチェックしました。数日以内にポリオの予防接種を受けている子どもは、指に紫のインクでつけたしるしがあるからです。子どもたちが予防接種を受けていないことを確認すると、ニクザッドさんは保冷ボックスを開け、ポリオワクチンを取り出しました。ワクチンは常に2-8度に保たれています。

「このワクチンで、子どもたちをポリオから守ることができます」と、ニクザッドさんが家族に説明します。両親はすぐに予防接種の重要性を理解し、子どもたちが予防接種を受けることに同意しました。ニクザッドさんは子どもたちに2滴のワクチンを投与し、子どもたちの小さな指に紫のしるしをつけました。

ポリオワクチンを投与するボランティア
©UNICEF Video
ボランティアで経口ポリオワクチンの投与を検問所で行うニクザッドさん。

WHOポリオ・プログラムの担当者であるグオラム・ラジク・サディキ医師が、ポリオの予防接種を投与するボランティアスタッフの指揮を執っています。サディキ医師によると、予防接種キャンペーンの期間中、この検問所で毎日およそ700〜800人の子どもたちに予防接種が行われます。

「おとなを含め、だれもがポリオウイルスを運んでしまう可能性があります。ですから、検問所で10歳以下の子どもたちに予防接種を行うことは、極めて重要です」(サディキ医師)

2000年からWHOでポリオ撲滅に向けて支援活動を行うサディキ医師は、予防接種に対する人々の意識に大きな変化がみられると語ります。「はじめの頃、ポリオという病気に関しても、ポリオが子どもに及ぼす影響についても、住民に十分な理解がありませんでした。しかし、今はメディアやテレビ、ラジオ、ポスター、あるいはモスクでの宗教指導者からのスピーチなどを通して、ポリオの危険性に関して十分な認識が広がり、子どもたちに予防接種を受けさせることにも同意してくれます」

戸別訪問ですべての子どもに予防接種を

予防接種を受けたしるしをつけるスタッフ
©UNICEF Video
予防接種を受けた紫のしるしを指につけるニクザッドさん。

カブール市内全域で、各チーム2人のボランティアスタッフを含む53のチームが、5歳以下の子どもたちに予防接種を行うため戸別訪問を行っています。この地区のコーディネーターであるサキ医師は、ほとんどの家庭がポリオの予防接種を受けたと語ります。「なかには予防接種に反対する人もいます。もし家族からの同意が得られない場合、ボランティアが記録し、責任者に知らせます。そして責任者が家を訪れ、ポリオワクチンは身体への悪影響がないことや、ひとりでも予防接種を受けていない子どもがいると、アフガニスタンの子ども全員を感染の危険に晒すことになってしまうということを、家族に伝えます。きちんと話をすれば、たいていの家族は子どもの予防接種に賛成してくれます」

地域のアクセス条件にもよりますが、戸別訪問で予防接種を行うチームはキャンペーン期間中、1日で100〜300の子どもたちにワクチンの投与を行います。「私たちの仕事は、すべての家を訪問し、すべてのこどもたちに2滴のポリオワクチンを投与することです。そうすることで将来、この死に至る病を根絶することができます。その時初めて、私たちは心から喜ぶことができるのです」(サキ医師)

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