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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

未来に向かって…地雷被害者が学校を建設
<アンゴラ>  2006年11月20日

©UNICEF Angola/2006/Stark-Merklein
ユニセフの支援を受け自分達で造った学校の前に建つアンデュロ村の人々。村人の多くが地雷で心身に傷を負っている。

30年近く内戦が続いたアフリカ西部の国アンゴラ。中部ビエ州のアンデュロ村の小学校はレンガ造りの質素な建物です。アンゴラのどこにでもあるような普通の建物ですが、村人にとっては宝物。自分達の手で造った建物というだけでは無く、そうした村人の多くが、地雷によって障害を負った人々だったからです。 そんな彼らにとって、学校の建設はとても大変なものでした。対人地雷で左足を失ったディビッド・カチャマさんは、「一番大変だったのは、壁を作るためにレンガを積み上げることさ。高いところに積み上げる時、体のバランスを取るのが本当に難しかったよ。」と語っています。 カチャマさんや彼のような境遇に置かれている村人の生活は決して楽なものではありません。しかし、彼らにとって、「戦争で傷を負った事」を理由に自分たちの子どもの教育を犠牲にすることは、ありえない選択肢だったのです。 この小学校が出来る前、一番近くの学校は村から歩いて1時間以上の場所にしかありませんでした。そこで、自分たちの村に学校を建てることを決意したのです。男性が壁を造っている間、女性や子どもは川からレンガを作るための水を汲んできました。ユニセフは、学校建設に必要な資材や教材を提供しました。

過去を乗り越え、未来を作る

©UNICEF Angola/2006/Stark-Merklein
アンデュロ村に出来た新しい小学校の前で。ノートンさんと2人の息子。ノートさんは、「この小学校は、子どもたちに将来への希望を与えたいという、私たち村人一人一人の愛の結晶」と語る。

地雷で両足を失たデルフィーノ・ノートンさんは次のように語っています。「『若者に、より良い明日への希望を与えたい』という願いを込めて、私たちはこの学校を建てました。」

この村の出来事は、内戦後のアンゴラに住む人々の「想い」を象徴しています。この国では、内戦によって傷を負った人々が力を合わせ、子どもたちが、より良い未来に生きるための礎を作ろうとしているのです。内戦によって心身に刻まれた深い傷を乗り越えようとしているのです。

アンゴラには、未だに数百万の地雷が、その埋設場所も判らないまま残されていると推定されています。地雷によってアンゴラ国民220万人(うち60%が子ども)の日常生活が脅かされているのです。これまでに、約8万人が地雷によって身体的・精神的な傷を負ったと考えられています。また、子どもたちは大人以上の危険に晒されています。なぜなら、子どもはカラフルで変わった形をしている地雷に興味を持ち、いじってみようとするからです。

アンデュロ村でも、これまでに5人の子どもが犠牲になりました。これ以上の被害者を出さないため、ユニセフは、地雷の危険性と地雷を見つけたときの対処法を教えています。

「アフリカに学校を建てよう!(Schools for Africa)」キャンペーン

ユニセフ・アンゴラ事務所職員のジョナサン・コールドウェルは次のように語ります。「学校に来ている子どもたちに地雷の危険性を教えることは難しくありません。学校は、地雷をはじめ、子どもたちの生存を脅かす様々な問題に関する情報を伝えるのに、絶好の場になり得るのです。」

バリオ アゴスティーノ ネト村の小学校の建設には、ネルソン・マンデラ基金、民主主義と国際法促進を目的としたハンブルグ委員会、そしてユニセフが共同で展開する「アフリカに学校を建てよう!(Schools for Africa)」キャンペーンからの資金的支援が提供されました。

「アフリカに学校を建てよう!」キャンペーンは、アンゴラに、1,500の学校を再建もしくは新たに建設することを目指しています。2004年のキャンペーン開始以来、これまでに、220校あまりが建てられました。また、2万人以上が新たに小学校教師として採用され、トレーニングを受けています。

ユニセフ・アンゴラ事務所のコールドウェル職員は、次のようなメッセージを寄せています。「どんな困難も、こうした村人達の熱意の前では取るに足らない事になってしまうようです。村人達は、子どもに教育を受けさせることが、よりよい未来を作るために最善の道であると知っているのです。」

 

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