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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

バングラデシュ:サイクロン「アイラ」−拡大する2次災害


【2009年6月4日 バングラデシュ発】

© UNICEF Bangladesh/2009/ Spruijt
バングラデシュの沿岸部を襲ったサイクロン「アイラ」によって住む場所を失ったパドマプルから避難してきた人々を訪れるユニセフの支援チーム。この地域の人々は、高台に仮の住まいを立てている。

5月25日、インド北東部およびバングラデシュ沿岸の15地域をサイクロン「アイラ」が襲いました。被災から1週間以上が経過した今、このサイクロンの被害の大きさが徐々に明らかにっています。

被災者の多くは、いまだ満足な避難場所もなく、飲料水や食糧、医療品の支援も受けることが出来ていません。高潮になると海水が押し寄せてくるため、土手の上の限られた場所に避難を余儀なくされる人々もいます。

洪水によって流れ込んできた海水は、飲み水の水源を汚染。被災者は、深刻な飲料水の不足に直面しています。特にショトキラとクルナではすでに下痢が流行しており、4,000人以上が影響を受けている模様です。下痢や水を媒介とする疾患の拡大が、栄養不良や免疫の欠如のために既に弱っている子どもたちに、深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。

緊急の対応

ユニセフは、バングラデシュ政府公衆衛生工学部と協力し、飲料水の供給や適切な衛生施設(トイレ)の設置を急いでいます。

3日間にわたり、現地で支援ニーズの把握などの緊急調査を行ったユニセフのハンス・スプルイット水と環境衛生事業部長は、今回のサイクロンの影響が非常に深刻で、長期的な影響を及ぼすことを懸念しています。

「アイラに襲われた地域の多くは、2007年11月、サイクロン『シドル』の被害にあったところです。シドルの時は、洪水が早く引いたので、人々は元の生活を比較的早く取り戻すことができました。」
「被災地の中には、周囲を完全に海水に囲まれ、外界から孤立し、ボートでしか辿り着けないところもあります。」ハンス部長はさらに続けます。「堤防の修復が急がれなくてはならないことは当然ですが、被災者の多くは、今後2週間から数ヵ月間の長期にわたって孤立状態に置かれ、医療や教育などの基礎的な社会サービスから閉ざされてしまうでしょう。そして彼らの置かれた状況は、こうした状況は日増しに不安定になっていくと思われます。」

教育への影響

学校に通っていた子どもたちも、サイクロンの影響を受けました。6つの地域(クルナ、バゲルハート、ショトキラ、バルグナ、ボラ、ポトアカリ)では、計354校の学校が全壊、2534校が部分的に破損しました。

教科書も教材も机も椅子も、そのほとんどが流されてしまいました。現在、被災者の一時避難所として使用されている学校もあます。幼稚園や保育園などの施設の多くも全半壊しました。政府は、対応策として、教科書の配布をスタート。ユニセフは、これに合わせ、臨時学習センターを設置し、教員用、生徒用の教材を配布しています。

子どもたちは、サイクロンによる破壊や家族を失ったことの悲しみ、そして突然日常を失ってしまったことから、心理的にも苦しめられています。こうした子どもたちの心のケアのためにも、教育活動の一日も早い再開が求められています。

子どもたちが安心できる空間

ユニセフは、また、他の人道支援団体と協力して、「子どもに優しい空間」を約140箇所に設置しました。現在、950セットのレクリエーションキットを現地に急送中です。

2次災害の状況が明確になりつつあります。ユニセフは、飲料水、プラスチックシート、医療品などをはじめとする追加支援の準備を進めています。

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