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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

エイズとともに生きる自信
<ブラジル>


 2001年1月15日 信濃毎日新聞掲載 世界では現在、15歳未満の子どものうち約130万人がHIV/エイズに感染しています。その多くは、HIVに感染した母親の子どもで、母親の胎内や出生前後、または授乳のときにウイルスに感染しています。

ブラジル・ペルナンブコ州に住む9歳のパウロ(仮名)も、そんな子どものひとりです。生まれてすぐに実母に捨てられたパウロは、ある貧しい夫婦の手に引き取られました。パウロがHIVに感染していることを知らずに引き取った養父母は、その事実を知ったあとも、パウロを見捨てることなく育ててくれました。

しかし、ブラジルの貧しい農村の暮らしの中で、パウロにウイルスと戦うのに十分な栄養と薬を確保するのは、とても難しいことです。家計の苦しさとHIVに感染した子どもを抱える重荷に、やさしかった養母は心を病み、しだいにパウロの世話を拒むようになりました。

そんなとき、「ビバ・ラチド」というNGOのスタッフが、パウロの家を訪れました。「ビバ・ラチド」はペルナンブコ州で唯一、HIV感染者とその家族への支援をしているNGOです。

貧しい家族には、HIVに関する正しい情報が届かず、十分なケアができません。募る不安に親は子どもへの愛情さえも失い、子どもたちは生きる希望を奪われます。そうした現状を打破することを使命とし、「ビバ・ラチド」のスタッフは、HIV感染者のいる貧しい家庭を訪問して、物質的な支援をはじめ、カウンセリングなどを通して家族の精神的な支えとなっています。

また、医療機関と協力しながら、HIVの母子感染を防ぐための啓もう活動をしたり、子どもの発達や病気に関する正しい知識を広めています。その結果、「ビバ・ラチド」が支援するHIV感染者の子どもたちの生存年数は、確実に伸びています。ユニセフも、このNGOの活動に賛同し、1994年の設立以来、技術的、経済的支援を続けています。

パウロの家には毎月一回、食べ物や家庭用品が入った大きなバスケットが届きます。パウロの栄養は足りているか、体調をくずしていないか、いつも近くでパウロを見つめ、支えてくれるスタッフがいます。そして少しずつ、パウロもお母さんも、HIVとともに生きる自信を取り戻し始めています。

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