メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国
−子どもたちの初等教育の機会を確保する無資格の“先生”たち

【2012年10月4日 中央アフリカ共和国・オボ発】

反政府武装勢力"神の抵抗軍"(LRA)の襲撃が2009年に始まってから、中央アフリカ共和国の田舎町オボやその周辺には、逃れてきた人々の数が著しく増加し続けています。

6,700名以上の国内避難民に加え、国境を超えた隣国から逃れてきた2,000人以上の人々が、オボの周囲5キロを囲む形で設置されている"安全地帯"で避難生活を送っています。

重要な“空白”を埋める先生代わりの親たち

ユニセフとパートナー団体は、こうして逃れて来た子どもたちが教育を続けられるよう、地元の学校や仮設学校の活動を支援しています。

LRAの活動が活発で人々の安全が脅かされている遠隔地に、資格を持った教員を派遣することは厳しい状況です。このため、オボの学校では、子どもたちの親が教壇に立っています。紛争の影響を受けているこの地域に住む人々は、地域の子どもたちの初等教育の機会を確保するために、こうした方々を"先生"として認定しているのです。

© UNICEF CAR/2012/C Boughton
中央アフリカ共和国の田舎町オボのセンター1小学校で“先生”として教壇に立つ、ジュリエッテ・ウメ・ジャモビさん。資格を教員が殆どいない地域の子どもたちに初等教育の機会を提供するため、地元のコミュニティは、教員資格を持たないジャモビさんのような方々を“先生”として認定している。

ジュリエッテ・ウメ・ジャモビさんは、こうして選ばれた先生のうち、たった5人しか居ない女性の一人。彼女には、5人の子どもがいます。最年長は15歳で、最年少は1歳です。「私が"先生"になったのは、他に子どもたちを教える人がいなかったから。教育は重要だと信じています。だから、この地域の保護者会で、"先生"に立候補しました」

この地域の子どもたちも、最適な教育を受けられることができるよう、ユニセフは、米国政府などの支援を受け、パートナー団体と協力して、ジャモビさんをはじめとするオボの"先生"方に、通常の教員研修と同じ内容の研修の機会を提供にしました。ジャモビさんは次のように言います。「ここの治安は万全ではありません。でも、私たちはここに住んでいます。今後も、研修や教材の支援が継続してもらえるよう期待しています」

© UNICEF CAR/2012/C Boughton
オボの国内避難民の子どもたちのために設置された仮設学校、エコール・ゴーグベレの6〜8歳のクラスの子どもたちと、“先生”のエレイ・ムゴリグベさん。「子どもたちは、将来“何か意味のある存在”にならなくてはならない。だから、私は“先生”になったんです。」(ムゴリグさん)

エレイ・ムボリグベさんは、LRAの脅威から逃れるため、オボにやってきました。彼は、ユニセフやパートナー団体の支援で設置された、国内避難民の子どもたちのための仮設学校の一つで教えています。ムボリグベさんは、「子どもたちは、将来"何か意味のある存在"にならなくてはならない。だから、私は"先生"になったんです。これまでに3つの研修を受けましたが、これらの研修は、27人の子どもたちを教えることに大いに役立ちました。他の仕事をする時間はあまりありませんが、保護者会から、毎月2000CFA(4米ドル)をもらっています」

自身も子どもを持ち、コミュニティでボランティア活動にも取り組む保護者会の会長 ベノア・ベナパさんも、この学校の運営を手伝っています。「子どもたちを(労働力として)畑や森に連れて行くのではなく、学校に通わせるよう、親たちを説得することも、私たちの仕事です」(ベナパさん)

コミュニティが支える学校
© UNICEF CAR/2012/C Boughton
保護者会会長のベノア・ベナパさんと、会の事務を担当するアンブロワーズ・ラッサさん。親たちに、子どもたちを畑や森林ではなく、学校に通わせるよう説得するのも保護者会の仕事と、ベノアさんは語ります。

こうした“先生”方が活躍しているのは、オボのような紛争地域や緊急支援を必要としている地域だけではありません。全国的な教師不足の中、首都や他の地方でも、こうした“先生”方が大活躍しています。

ユニセフ現地事務所で教育事業を担当するファリド・ブーベクール部長は、オボの状況を次の様に語りました。「多くのコミュニティで、こうした“先生”のおかげで、初等教育が成り立って入るのが現実です。彼女たちの存在なしでは、何千人もの子どもたちが読み書きも出来なくなってしまうという現実を、受け入れなければなりません。中央アフリカでは、LRAの他に、7つの武装グループが存在します。それらのグループの活動の影響を受けている地域でも、“先生”方は、子どもたちに教育を届けてくれています。こうした地域の学校は、地元のコミュニティの努力と支援があってはじめて運営し続けることができるのです。オボをはじめとする紛争の影響を受けている地域の子どもたちに、より良い質の教育を提供するために、さらに“先生”方の能力を高める支援を提供しなければなりません」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る