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| © UNICEF Chile/2010/Cifuentes |
| ユニセフの「幸せのキャラバン」で、絵を描く被災地の女の子。 |
被災地のマウレ州クラニペに暮らしているカミロ・ベガくんは、ストレスの兆候を表している子どもたちのうちのひとりです。「僕自身やお母さん、弟と従兄弟を守れるように、またやってくるかもしれない津波のことをいつも心配しているんだ。」
このように感じている子どもは、カミロくん一人ではありません。『子どもの声』と題されたこの最新の報告書は、最も被害が大きかった2つの地域の12歳から15歳までの子どもたちが感じたことや彼らの経験が、写真と共にまとめられています。カミロくんのように、今回の調査対象となった震災の影響を受けた大半の子どもたちが、震災の影響に関連した不安を抱えていることが報告されています。
震災がもたらした人々の死や崩壊は、子どもたち自身に大きな影響を与えました。しかしながら、この報告によると、約40パーセントの子どもたちは、震災で住む家を失くし、全ての所持品を失った他の人々について心配しています。また、今後の自然災害について心配している子どもたちは、10パーセントでした。
また、本報告で、子どもたちの大部分が、自分たちの町だけでなく、近隣の町の被害状況を心配していることも明らかになりました。
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| © UNICEF Chile/2010//Lagos |
| 2010年2月に発生した地震の影響を受けた50都市に暮らす3万人の子どもたちを対象に、「幸せのキャラバン」キャペーンが実施されている。キャラバンが訪問した先で、ピエロの絵を描いた女の子。 |
震災によって心理的な影響を受けた多くの子どもたちのニーズに応えるため、ユニセフは、いくつかの特別な支援サービスを提供しています。こうした支援活動のひとつ、「幸せのキャラバン」と呼ばれる広報キャンペーンは、震災後のストレスに苦しむ子どもたちの生活に“楽しみ”をもたらすことを目的としています。
このキャラバンキャンペーンは、被災各地で、映画の上映やミュージカルの音楽の上演。そして「笑い療法」などの活動を行っています。この移動式プロジェクトのキャラバンチームは、被災地約50箇所を巡回し、およそ3万人の女の子と男の子に、“楽しみ”の機会を提供する予定です。
このキャラバンチームは、先日ビオビオ地域のニウエ町を訪問し、人々に再び笑顔を取り戻させていました。8歳のジョゼ・ヘルナンデスちゃんとパブロ・コントレラスちゃんたちにとって、ピエロが最も面白いものだったようです。
「ピエロは、サッカーをしようって決めたのに、一輪車に乗ってたんだよ!」この男の子たちはその時のことを思い出して笑いました。
「こうした活動は、子どもたちを元気付けるのにとても役に立ちます。」こう話す地元のコミュニティのリーダーであるエドアルド・バレンスエラさんは、この活動は、保護者にも助けの手を差し伸べていると言います。「子どもたちが楽しそうにしている様子を目にすることで、保護者のみなさんも元気付けられているのです。」
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| © UNICEF video |
| 2010年2月に発生した壊滅的な地震の後、ユニセフは、チリの子どもたちの心理的なケアに焦点を当てた公共CMを全国で放映している。 |
震災直後から、ユニセフは、他の人道支援団体やチリ政府と共に、子どもたちとその家族の基礎的なニーズに応えるべく活動。水と衛生、子どもの保護の分野において中心的な役割を担いました。また、食糧、衛生用品といった必須支援物資の配給の調整役も務めました。
現在、こうした支援活動の中心は、長期的な復興を支援する内容になっています。ユニセフは、数万人のチリの子どもたちに支援を届けるべく学校教育キャンペーンを開始。被災地全域で、ラジオとテレビを通じてユニセフの公共CMを放送し、各家庭に、「子どもたちに日常を取り戻そう」と呼びかけています。子どもたちに人気の番組のキャラクターが、ほとんどの広告に使用されています。
ストレスに苦しむ子どもたちへの支援を求めるこのキャンペーンは、全国39テレビ局と、26ラジオ局で放送されています。
また、ユニセフは、被災後のストレスを経験している子どもたちに日常的に接している3,000人の子どものケア専門家と教員に、必要な研修を実施する予定です。
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