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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2006年9月19日 信濃毎日新聞掲載>

再出発厳しい元兵士の子ども <コンゴ民主共和国>

ある元子どもの兵士

かつて子どもの兵士だった17歳のジャンは、今はコンゴ民主共和国カタンガ州ルブンバシ市で質素に暮らしています。彼は色とりどりのシャツを仕立てる職業訓練をしていますが、再び戦闘に戻りたいと考えています。「本当は軍隊に残りたかった。子どもだから兵士でいてはいけないと言われ、無理に辞めさせられたんだ」成人の兵士とは違い、政府は子どもの兵士に対して、除隊後に何の補償もしてくれません。ジャンは悔しさと怒りを感じています。

およそ10年にわたって紛争(内戦)が続いたコンゴ民主共和国の子どもたちは、その間武力衝突や戦闘の中で育ちました。ユニセフの調査によれば、約3万人の子どもたちがこの紛争のために徴兵され、人々を脅す、国の資源を守る、戦闘に参加するなどの任務を強いられました。

「僕は兵士なんだ、兵士でいたいんだ。兵士でいれば、みんな僕の指示に従うから」とジャンは言います。彼の年齢では軍隊には戻れないはずですが、それは彼を止める理由にはなりません。兵役に代わるものを見つけることが彼にとっての課題とはいえ、他の多くの若者と同じく、彼は学校教育をほとんど受けていないため、雇用の見通しもありません。

「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」に政府は批准したものの、国内にはいまだに政府の統治が及ばない領域が多く、援助団体の手が届かない地域もあります。ユニセフ・コンゴ民主共和国代表のアンソニー・ブルームバーグは、「子どもたちに再出発の機会を与え、彼らを未来に向けた建設的発展の機動力にしなければならない」と述べています。

ユニセフとその支援団体は、緊急支援として、安全な水、調理器具、燃料缶、ビニールシート等の提供のほかに、衛生状態の改善、武装解除された子どもの兵士のための一時収容センターの設置、心理カウンセリングの実施、ワクチン投与、避難民キャンプ内の仮校舎の建設等もしています。

ユニセフは国連合同アピールを通じて、2006年度緊急支援活動のために9,367万ドルの支援を要請していますが、コンゴ民主共和国のための資金は、必要な額の約4割しか集まっていないのが現状です。

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◇ 募金のお願い ◇

 財団法人日本ユニセフ協会では、アフリカの子どもに対するユニセフの緊急援助を支援する「アフリカ緊急募金」の受付を行っています。皆様のご協力をよろしくお願い致します。

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