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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

宗教指導者が妊産婦と子どもの保健を促進
「世界子どものための祈りと行動の日 2010」

【2010年12月3日 ニューヨーク発】

© UNICEF Kenya/2010/Sittoni
ケニアの北東州に位置するガリッサで、子どもの成長を記録するイスラム教の最高評議会・アブダルガファ・エル・ブサイディ議長。

今年のイード・アル・アドハ(犠牲祭)の期間中、コンゴ民主共和国の首都キンシャサにある殉教者スタジアム(Martyrs Stadium)に集まった何万人ものイスラム教徒たちは、イスラム教指導者からいつもとは違うメッセージを聞きました。指導者シャイフ・アブダラ・マンガラ・ムワナ・ルアバ氏が、母親たちに対し、生後6ヵ月間は完全母乳育児を行うように強く求めたのです。

また、ケニアでは、普段はひっそりとしているナイロビ郊外にあるカハワ西保健センターが、騒がしくなっていました。800人以上の女性と子どもたちが、ケニアの「マレジ・ボラ(良い子育て)」キャンペーンの一環として無料で提供された一連のサービスを受けるために、待っていたのです。このキャンペーンは、宗教指導者たちがコミュニティにおける妊産婦と子どもの保健の促進を目的として始まりました。

「3人目の子どもがもうすぐ生まれる予定です。」8キロもの道のりを歩いてこの保健センターにやってきたハンナ・マイナさんは話しました。「日曜日に教会の牧師様から、妊婦は無料の保健サービスを受けにいくようアドバイスをいただいたので、ここまで来なければなりませんでした。」

母乳育児の促進

「世界子どものための祈りと行動の日(World Day of Prayer and Action for Children)」が定められてから2年目を迎えた今年の11月20日は、世界中で似たような取り組みが展開されました。この日、宗教組織と非宗教組織の人びとが一堂に会し、子どもたち、特に最も支援の届き難いコミュニティに暮らす最も厳しい立場に立たされている子どもたちが健康で安全に過ごせるように協力して取り組むことを約束しました。11月20日はまた、「世界子どもの日」であると同時に、「子どもの権利条約」が採択された記念日でもあります。

ユニセフも参加した「世界子どものための祈りと行動の日2010」の式典では、妊産婦の保健と子どもの生存のための母乳育児の推進を訴えました。生後6ヵ月間は母乳だけで育てる完全母乳育児は、赤ちゃんの免疫機能を活性化し、開発途上国の乳児死亡率の主な原因となっている下痢性疾患や急性呼吸器感染症を予防するのです。

ユニセフは、合計20ヵ国で、幅広いネットワークを持つ宗教指導者と協力し、積極的な健康習慣を信者の人びとに促す取り組みを支援しました。

「ミレニアム開発目標を達成するための世界的な取り組みのなかで、対等のパートナーとして宗教コミュニティに協力を求めました。」ユニセフ本部プログラムディレクターのニコラス・アルプイ博士はこう話します。「宗教指導者たちは、家族からコミュニティレベルまで、社会のあらゆる階層の行動や習慣に影響を与え、子どもたちの生活にも、実質的かつ継続的な変化をもたらす大きな力を持っているのです。」

ユニセフが支援した活動

ユニセフは、子どもたちに影響を与える問題に対して、様々な宗派信条の指導者と共に解決に取り組んできた長い歴史があります。「世界子どものための祈りと行動の日2010」では、ユニセフは、20ヵ国で下記の活動を行いました。

  • アフガニスタン:宗教省は、首都カブールとその周辺地域にあるモスクで、子どもの権利について考える金曜礼拝を開催しました。
  • アルジェリア:全国1万5,000ヵ所のモスクで、子どもの権利と母乳育児の重要性に焦点をあてた礼拝を行いました。
  • ブラジル:宗教指導者と協力して、人種差別を撤廃するための全国キャンペーンをスタートさせました。
  • コンゴ民主共和国:3,000万人近くのネットワークを持つ大きな宗教グループが、母乳育児と予防接種といった家庭での健康習慣を推進する1週間のキャンペーンを主導しました。
  • インドネシア:イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教の代表者が、首都ジャカルタに集まり、それぞれの宗派の信者に母乳育児を勧めるための戦略を策定しました。
  • ケニア:政府省庁と国内宗教評議会は、完全母乳育児を含む子どもの生存に必要なメッセージを伝えることに重点的に取り組む全国保健キャンペーンを展開しました。
  • モーリタニア:宗教指導者たちは、母乳育児を促進するためのキャンペーンを主導し、全てのモスクの金曜礼拝で、子どもの権利と保健の重要性を伝えました。
  • ネパール:妊産婦や子どもの保健に焦点をあてた毎週の定期サービスなどを、異なる宗派信条の宗教団体と協力調整して取り組みました。
  • ナイジェリア:全国的にキリスト教とイスラム教の指導者たちが、母乳育児の利点について、礼拝のために集まった親たちに説明し、子どもたちに無料の保健サービスを受けさせるよう求めました。
  • シエラレオネ:国内宗教評議会は、子どもと妊産婦の保健についての礼拝を毎週行い、宗教指導者によるコミュニティのラジオプログラム、また、異教徒間で協力してアドボカシー(政策提言)活動も展開しました。
  • スワジランド:宗教グループ、政府、国連機関の代表が、子どもに対する暴力を根絶するための行動計画を立案しました。
  • ジンバブエ:宗教指導者、政府と国連機関の代表が参加した式典や、金曜礼拝や教会の礼拝でも、完全母乳育児の推進が訴えられました。

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