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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2004年4月6日 信濃毎日新聞掲載≫

劇や音楽で平和を グループ活動
<グアテマラ>

 「『イクィ バラム』があったから、僕はドラッグ(麻薬)をやめられたんだ」—。13歳のホルヘは、誇らしげに語ります。グアテマラ市から車で約1時間離れたヴィラ・ヌエバの町は、上下水道もなく、電気の供給を受けられる家庭はわずか。多くの若者は職を得られず、ドラッグと絶望に陥り、強制的または自発的にギャングに仲間入りします。そんなヴィラ・ヌエバの町で『イクィ バラム』は若者の暮らしに変化をもたらし始めています。

 「イクィ バラム」は、8歳から24歳の子どもや若者が参加するグループで、ユニセフが行うリーダーシップ研修を受けた約50人のメンバーが中心となって活動しています。年齢別に3つのグループに分かれ、演劇、音楽、絵画コンテストなどのフェスティバルを開催したり、地域で子どもと若者の権利について話し合ったりしています。

 ホルヘは、グループで発表する劇のために詩を書き、ラップ調の歌を作る担当です。歌や劇では、子どもの権利について、コレラやHIV(エイズウィルス)感染予防といった健康の実用的アドバイス、地域が抱える問題など、さまざまなメッセージを伝えます。また、政府や自治体に対して地域社会サービス向上を訴えています。

 グループで音楽と劇を担当する16歳のサウロは、家庭が貧しく中学校を退学しました。そこで「イクィ バラム」は、彼に大工になるための職業訓練を支援しました。サウロは、言います。「仕事を始めても、ぼくはいつもグループの一員だ。子どもたちと一緒に活動を続けるんだ」

 グループの最終目的は、音楽や劇を通じて平和を構築することです。地域で対立する2つのギャンググループ双方に呼びかけ、音楽、劇、絵画などの活動に参加を促します。対立を解くには時間がかかります。銃で脅されたこともありました。双方のリーダーへの交渉から始め、話し合いに十分な時間をかけます。

 しかし、興味深いことに、いったんギャンググループが活動に参加すると、彼らはとても楽しんで、非暴力と自己実現に理解を示し、平和に向かって一歩ずつ動き出していくのです。

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