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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

開戦から5年。
ユニセフは、イラク国内で子どもたちへの支援活動を続けています。

【2008年3月18日 ジュネーブ発】

「平和と尊厳が保たれた中で学び、遊び、大きくなりたい。それがイラクの子どもたちひとりひとりの切実な願いなのです。」 3月20日にイラク戦争開戦から5年を迎えるにあたり、ユニセフ・イラク代表のロジャー・ライトはこう語ります。

2007年、イラクの子どもたちの命と生活は不安定なものでした。生まれ育ったコミュニティーは内戦で分断され、約1万9500人(国連推計)の友人や家族、親戚の命を奪いました。

写真:ユニセフの支援で改善された、バクダッドの公共水道で、安全な水を飲む子どもたち。

© UNICEF/Arar/2007

ユニセフの支援で改善された、バクダッドの公共水道で、安全な水を飲む子どもたち。

何千もの子どもたちが、爆弾や銃撃で親を亡くしました。一家の大黒柱が誘拐されたり殺害されたりしたため、貧しい生活を強いられている子どもたちも少なくありません。昨年一年間を通じて、学校の多くは、授業を不定期にしかできないか、定員オーバーの状態で授業をしなければいけない状況でした。地域の保健センターは基本的な医療物資が足りず、水の問題は深刻になっています。

2006年以降、住みなれた家を捨てて避難を余儀なくされたイラク人は120万人にのぼり、その半数は子どもでした。ユニセフは、昨年、イラクの子どもと彼らの家族が生き延びられるよう、4千万ドル(約40億円)以上に相当する援助を実施しました。しかし、今すぐにでも追加の活動資金が確保できなければ、多くの子どもたちから最低限のライフラインさえ奪ってしまうことにもなりかねません。イラクの未来は、私たちが、今、イラクの子どもたちが最も切実なニーズにどれだけ十分に応えてあげられるかにかかっているのです。

数少ない子どもにやさしい教室や教材で勉強する子どもたち。

© UNICEF/Arar/2007

内戦により、多くの子どもたちが、貧困をはじめ、様々な困難に直面しています。

「2008年、私たちは、困難な生活を強いられているイラクの子どもたちやその家族の生活を抜本的に変えられるような機会を捉えなければなりません。そのためにも、ユニセフは、コミュニティーや、さらには国家までをも活性化する力を持っている子どもたちの可能性を守り・育てるために、引き続き支援活動を続けていきます。イラクが危機的状態のままであるからこそ、子どもたちの基本的な権利を守るために、私たちはあらゆる努力を払わなくてはならないのです。」(ロジャー・ライト 代表)。

2007年−イラクにおけるユニセフの活動(ハイライト)

  • イラク保健省やWHO、国連機関、NGOと協力して、140億ドル(約1億4千万円)の緊急医療物資と基本的な保健医療サービスを、国内避難民や、コレラの感染者、また内戦で負傷した人々に提供。
  • アンバーをはじめ、特に困難な状況にある地域に、300万ドル(約3億円)に相当するトラック66台分の必須薬品や医療物資を提供。
写真:ユニセフが支援する予防接種キャンペーンで、はしかなどのワクチンの接種を受ける子どもたち。

© UNICEF/Arar/2007

ユニセフが支援する予防接種キャンペーンで、はしかなどのワクチンの接種を受ける子どもたち。
  • WHOと共同で、ポリオワクチンを440万人の子どもに、麻疹ワクチンを350万人の子どもに接種。
  • 日本の支援を受け、26万人(5歳未満児は4万人)が住む貧困地域に、基礎的な保健医療サービスを提供するセンター(9箇所)の建設をスタート。
  • WFPと共同で、栄養不良児の割合が最も高い36の地域に、微量栄養素を含んだ必須食料の提供を強化。高栄養価食品の提供を通じ、妊産婦や母乳育児期間にある女性と子どもの栄養不良の予防と改善を支援。
  • バクダッドとシンジャ、ディヤラの学校と病院などに、安全な飲料水4億7千リットルを提供(対象人口20万人以上)。
  • シンジャ、ナジャフ、バクダッド、スレイマニヤ、サラハッディン、ディヤラほか地域で発生した内戦の被災者と国内避難民50万人以上を対象に、水と衛生の緊急支援活動を実施。
  • コレラの危険が高い地域で、290万人分の水浄化剤の配布と水質検査を支援。1万2千世帯分の水支援キットを配布し、コレラの拡大を予防。
  • ワシット、キルクーク、バスラ、カルバラの各地で、55万人分の上水道ネットワークを復旧。
  • 国連人間居住計画と協力し、バスラでゴミ処理計画を立案。現地政府担当者の技術研修などを支援。
  • 内戦などで被害を受けた48校の学校を再建。さらに42校で教室、女子用トイレを増築。
  • 470万人の小学生に、教科書、鉛筆、ランドセル、クレヨンなどの勉強道具を提供。
  • 写真:ユニセフが支援する教育活動に参加する、学校に通えなかった若者。

    © UNICEF/Arar/2007

    ユニセフが支援する教育活動に参加する、学校に通えなかった若者。
  • 学校に通えなかった2万2000人の若者が、12県で実施する集中教育プログラムに参加。
  • 就学前児童8万2500人に、初期児童教育キットを提供。
  • 内戦で被害を受けた子どもたち1万人に、緊急の教育支援を実施。困難な状況におかれている子どもたち10万人に教材を提供。
  • ユニセフが支援する子ども登録政策を通じ、バクダッドのストリートチルドレン154人の家族や保護者との再会を支援。
  • 国際的な基準に基づいた、触法青少年に対する司法整備の技術的支援。
  • 児童養護施設などの施設環境の実態調査を支援。
  • 国際NGOと協力し、地雷原付近に住む31万人に地雷危険啓蒙教育を実施。
  • アルビルで逮捕された50人のストリートチルドレンの開放を交渉。
  • イラク初となる社会福祉学位プログラム開発を支援。
  • バクダッド、シンジャやほかの地域の施設に収容された国内避難民の子ども2000人に、レクリエーションキットを提供。

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