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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

幸せをもたらすヤギたち
<ニジェール>

 ニジェール南部のマラディ地方。ここにあるスマラナ村の女性たちは、1998年にこれからの伝統となるような新しい行事を始めました。毎年、20人の女性がほかの20人にヤギを贈呈するというものです。それぞれ、2頭の雌ヤギと1頭の雄ヤギが贈られます。

 この行事は村長のヤハヤ・ムーサが出席する中で行われます。ヤハヤ・ムーサは村開発委員会の委員長でもあるのです。「この努力が続くように、毎年出席しています。村の女性や子どもたちにとって、とても良いことですから」と彼は言います。

スマラナ村の女性たち。毎年のヤギ交換行事にて

 最初にヤギをこの農村部の女性たちに贈ったのはユニセフでした。収入を得る手段を持たない女性たちに、少しでもその機会を提供しようと、60頭のヤギを提供したのです。ニジェールでは貧困が問題となっていますが、人口の34%は貧困ライン以下の極貧生活を強いられ、その3分の2は女性たちです。

 極貧の生活から抜け出す方法として、ユニセフが女性たちに提供したのが、ヤギを育てるという方法でした。受け取った3頭のヤギを育て、1年目の終わりに、生まれてきたヤギの内、3頭を別の女性に贈呈するというのがこのプロジェクトの特徴です。スマラナ村のヤギ交換プログラムでは、すでに4回目を迎えようとしています。

次にヤギを受け取るのは誰?
 南部のジンデル地方のサボン・カフィ村。アイッサ・ジボの双子の娘、ハッサナとフッセイナは、健康診断でいつも低体重だと言われてしまいます。ジボ家にはこの双子が生まれる前に、すでに2人の子どもがいて、生活は苦しくなるばかりでした。

 このように体重が極端に少ない子どもを持つ女性にヤギが贈呈されます。ヤギは収入を得る手段になるばかりでなく、ミルクが出るので子どもの栄養改善にも役立つのです。

 2年前、ジボさんは、サボン・カフィのヤギ交換プログラムを通して3頭のヤギを受け取りました。1年経ったところで、彼女はヤギ3頭を選ばれた別の女性に贈り、2頭の雄ヤギを売りました。そのお金で、食糧と子ども用の衣服を買うことができたのです。「娘たちは、その昔は栄養不良状態でしたが、今では良く食べて安心ですよ」とアイッサ・ジボは言います。

トカラウアでの成功物語
 ディジェ・アブドゥの成功物語は、すでにマラディ地方のトカラウアでは伝説になりつつあります。ヤギ交換プログラムでユニセフを通して、ヤギ3頭を最初に受け取ったのが1996年のこと。ディジェ・アブドゥはすでに76頭のヤギを育てています。

 このヤギたちが、アブドゥ夫妻とその子ども10人に、どれほど大きな違いをもたらしたか、想像できるでしょうか?お父さんは畑を耕し、縫製の仕事を一生懸命していましたが、家族が増えるのでいつも生活に追われ、貧しさから抜け出すことができない状態でした。「ほんとうにみじめな生活だったわ」とお母さんは振り返ります。でも、今は違います。ヤギのおかげで家計も助かっているし、生活水準も上がりました。おかげでお父さんも大喜びです。「この仕事に賛成してくれているし、もっとうまくいくようになるといいねと言ってくれます」

アブドゥとその娘。ヤギと一緒に

 一家の食糧事情も大きく変わりました。今ではヤギのミルクやチーズまで口にできるようになったのです。余った分は売って、ほかの食糧を買う足しにしたり、子どもの衣服を買ったりします。何しろ一番下の子はまだ2歳なのですから、これは助かります。

 お母さんは、最近20頭のヤギを売りました。娘の結婚式のためです。まだ中学生ですが、すでに一番上の息子と3人の娘たちも結婚しています。娘たちに、お母さんは必ず大切な結婚プレゼントを贈ることにしています。そう…娘たちが同じようにヤギを育てられるように、数頭のヤギを贈るのです。

ニアメー、ニジェール
ユニセフ・ニアメー事務所マーリーン・バーガー

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