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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2004年5月25日信濃毎日新聞掲≫

盲学校に通う少女 夢追いかけ
<ニジェール>

ナイアー盲学校で学び、自分の可能性を広げているサフィア

 「友だちと一緒にダンスをしたり、歌を歌ったりするのが好きなの。でもボール遊びが一番好き」と明るく話す8歳のサフィアは、幼いころから目が見えません。彼女が遊ぶボールには鈴がついていて、触れるたびに鳴る鈴の音でボールの場所を感じ取るのです。

 彼女はアフリカ北西部の国、ニジェールで唯一の盲学校「ナイアー盲学校」へ通っています。学校は朝8時から始まり、点字を使って読み書きを学んでいます。彼女は今、フランス語(ニジェールの公用語)、ハウサ語、ジェルマ語(いずれも国内で多く話されている言語)を話すことができます。

 サフィアの両親と4人のきょうだいは、彼女が学校へ通うことを非常に喜び、誇りに思っています。しかし、サフィアのように障害がある子の親すべてが、その子の就学を喜んでいるわけではありません。

 ニジェールには、障害などで特別な保護を必要とする子どもが数千人いるといわれている一方、1日の生活費が1ドル以下という人が全人口の6割以上を占めます。貧しさの中でそうした子は親から経済的な負担とみなされ、保護を受けられずに、路上生活へと追いやられてしまう子も少なくないのです。

 「子どもの権利条約」は、すべての子どもが守られる権利を定めており、障害のある子は特別に守られることも明記されています。障害があっても、その子の個性や誇りが傷つけられてはならないし、充実して暮らせるように教育や保健サービスを受ける権利があるのです。

 ユニセフのニジェール事務所では国内各地域に対し、同条約の精神や「どんな子どもも社会にとって重要な財産である」という考え方を広める国家的なキャンペーンを支援しています。同時に、ナイアー盲学校にも、点字用学用品の提供や教員研修をといった支援を行い、現在80人いる生徒を120人にまで増やす努力をしています。貧しい家庭の子どもには、寄宿生活ができるよう、ベッド、マット、蚊帳、ロッカーを支給することで対応しています。

 実際、同校の卒業生は、教師や電話交換手となって、賃金の高い職業についています。中には大学に進学した卒業生もいます。

 サフィアのように困難な状況下に置かれた子どもたちは、このような支援を通じて自分の中にある可能性に気が付いていくのです。彼女は、将来の夢をこう話します。「英語を勉強して、自分のように目の見えない子ども達に点字や英語を教えたい」

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