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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

「女性がソマリアの平和を創ります!」
ソマリアの未来を担う女の子たち
アグネス大使を歓迎

【2010年2月17日 ハルゲイサ発】

© 日本ユニセフ協会
青年リーダー養成プログラムを視察するアグネス大使

「世界から忘れられている国の子どもたちの状況を、日本のみなさんに伝えてください」。昨年秋、ユニセフのソマリア事務所から届いた声で実現した今回のアグネス大使の海外視察。現地時間17日午前10時前、アグネス大使と同行された記者の方々は、治安状況などの理由から幾度と無くその実施が見送られたソマリア視察の第一歩を、内戦の中破壊された旧ソ連製の装甲車の残骸が残るアフリカ北西部の港町ベルべラの空港で踏み出しました。この空港で、小さな国連機に乗り換えたアグネス大使一行は、50分後、ソマリア第2の都市ハルゲイサに到着。5日間にわたるソマリア視察がスタートしました。

世界から見捨てられた「国」
© 日本ユニセフ協会
ハルゲイサ市内の目抜き通りに設置された、1988年の内戦を記念するモニュメントの前で。 ハルゲイサを爆撃した航空機や虐殺の絵で飾られたこのモニュメントは、この地域の人々に、かつての中央政府から受けた弾圧の歴史を忘れないように作られたと言われている。

1988年に、当時の中央政府との間で内戦が始まり、その後現在に続くソマリアの無政府状態の発端の地となった「ハルゲイサ」。かつてイギリスの統治領だったこの地域は、91年、ソマリアからの独立を宣言し、独自の省庁や議会、警察、軍隊などを持つなど“国”としての特徴も持ち始めています。しかし、この地域を独立国家として承認している国は、現在、隣国のエチオピアだけと言われています。また、この地域では、ソマリア北東部の「プントランド」と呼ばれる地域との間の「領土」をめぐる争いや、氏族間の対立・抗争が、断続的に続いています。2008年には、国連事務所などを狙った自爆テロも発生し、その後も要人を狙った爆弾テロ事件が散発的に発生しています。

こうした中、干ばつや、この数年、南部・中部で台頭しているイスラム原理主義武装勢力による暴力や虐待、戦闘から逃れてくる国内避難民を抱え、深刻な食糧危機や子どもたちの栄養不良、基本的な保健・医療サービスの欠如、就学率の低さなどまだまだ多くの課題を抱えながら、ソマリアの他の地域と同様に国際社会から見捨てられている「ソマリランド」と呼ばれる地域。教育や保健サービスなど、本来は“国”が果たすべき役割を、多くの女性が担い、また、未来の女性リーダーたちが生まれようとしていました。

「女性がソマリアの平和を創ります!」
© 日本ユニセフ協会
「女性がソマリアの平和を創ります!」 エチオピアの難民キャンプで生まれ、6歳でFGMを受け、現在、ハルゲイサ市内の国内避難民キャンプで生活するイスマイルさん(16歳)は、目にうっすら涙を浮かべながらも、アグネスさんに、平和への強い思いを語った。

アグネス大使が到着したこの日、ハルゲイサ市内では、ユニセフの支援で3日間にわたり開催されていた女性リーダー養成研修プログラムが、最終日を迎えていました。
ソマリア北東部の各地で活動する青年組織から集まった16歳から18歳までの女の子60人を対象に実施されたこの研修は、FGMや教育、HIV/エイズ予防、平和など、若者たちが直面する様々な問題や課題に、若者(特に女性)が積極的に取り組んでいくために必要な考え方や知識を提供。参加した60名は、今後、それぞれのコミュニティの中で、女性のリーダーとしての活躍が期待されています。

内戦を逃れた両親が住んでいたエチオピアの難民キャンプで生まれ、現在、ハルゲイサのステートハウス(官邸)国内避難民キャンプに住むホーダン・アブディ・イスマイルさん(16歳)も、この研修プログラムに参加した一人。6歳でFGMを受けた彼女は、アグネス大使に「女性がソマリアの平和を創ります!」と語ってくれました。

アグネス大使は、現地時間18日、イスマイルさんを尋ねに、ステートハウス(官邸)国内避難民キャンプに向かいます。

© 日本ユニセフ協会
「前の世代より良い世界を創ります!」ユニセフの支援で開催されていた青年リーダ養成プログラムに参加していたアマン・ユースフ・マハメッドさん(17歳)は、アグネス大使に熱く語った。
© 日本ユニセフ協会
ユニセフの防弾車で移動するアグネス大使。今回の視察には、武装兵士による護衛や、防弾車、万一の場合の避難手段(航空機)など、国連の安全基準上で必要なさまざまな安全確保が図られた。

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