メニューをスキップ 公益財団法人日本ユニセフ協会

子どもの権利を尊重・推進するビジネス

策定の経緯

2010年6月24日、ユニセフは、国連グローバル・コンパクト、セーブ・ザ・チルドレンとともに、子どもたちの権利を尊重し推進するために企業に何ができるのか、その具体的な指針を示す一連の原則の策定プロセスを開始しました。このプロセスは、子どもたちにふさわしい世界の実現のための世界的な動きに加わるよう、民間セクターを含むすべての社会的アクターに呼びかける国際社会の声に後押しされたものです。

「原則」の策定は、専門家グループからの意見、公開の協議、机上調査、インタビューや質問票による調査によって行われました。文献研究、企業事例・教訓の研究、子どもの権利に対して企業が与える影響(正・負ともに)の概観、特定の企業の人権に関する方針や慣行の中で子どもの権利がどのように扱われているかについてのレビュー、子どもの権利とビジネスに関して国内人権機構が果たしている役割の整理、ビジネスと子どもの権利についてリーダーシップを発揮している国々の特定、そして、子どもの権利に関して企業と関わる政府の役割に関するレビューなどが、その主な要素となりました。

専門家グループ

「原則」の策定には、ユニセフとセーブ・ザ・チルドレンそれぞれの内部の専門家グループと、外部の専門家グループが参加しました。グローバル・コンパクトの世界各国のローカルネットワークの意見も、策定過程を通して取り入れられました。外部専門家グループは、「原則」の策定に関して、独立した立場からの客観的なフィードバックを行い、一貫して有識者としてのリーダーシップを提供しました。専門家グループには、世界中から、人権、子どもの権利、企業の責任、国際ビジネス、国際開発・金融・政策または関連する分野で豊富な経験を持つ人々が参加しました。

グローバルな協議

2011年4月から7月にかけて、600人以上のビジネス・リーダー、市民社会と政府の代表者たち、主要な専門家と子どもたちが、10都市(ニューヨーク、ロンドン、コペンハーゲン、ドバイ、上海、北京、ナイロビ、ブエノスアイレス、イスタンブール、ジュネーブ)で開催された対面式の会合、またはオンライン上の協議に参加しました。企業と人権リソースセンター(Business and Human Rights Resource Centre)が、オンラインのフィードバックの仕組みを準備しました。政府の代表も、2011年6月に国連本部で開催された協議に参加し、「原則」のサポートと活用に関する政府の役割について議論しました。さらに、公式リリースに先立ち、「原則」についての認識を高める努力の一環で、グローバル・コンパクトの月報やウェブサイト等を通じて、数千人の人々がこの原則についての情報を受け取りました。全般的にフィードバックは肯定的なもので、この取り組みの価値が再確認され、また、多くの貴重な提案もよせられました(「ユニセフが開催したCSRと企業に関する協議」についての記事を参照)。

子どもの参加

子どもの参加 策定過程で子どもが平等なステークホルダーとして尊重され、子どもの参加についての最低限の倫理的基準が満たされるよう、セーブ・ザ・チルドレンとプラン・インターナショナルが、子どもの参加に関する戦略を作成しました。この戦略は、「原則」の策定と実施に子どもたちが参加することを助け、また、子どもや若者たちが企業と関わり、子どもの権利を尊重し推進する企業の責任について理解するための能力を身につけることを助けました。

2011年6〜8月から、ユニセフは、セーブ・ザ・チルドレン、プラン・インターナショナルその他のパートナーと共に、9カ国(ブラジル、アルゼンチン、フィリピン、ザンビア、バングラデシュ、エチオピア、セネガル、パラグアイとペルー)で、400人以上の子どもたちとの協議の実施を支援しました。7歳から17歳の子どもたちが、「原則」の草案を検討し、企業が彼らの生活、家族や地域社会にどのような影響を与えているかについて意見することを求められました(子どもとの協議については以下を参照。「企業が私たちに与える影響」、「協議からのフィードバック」)。