2002FIFAワールドカップTMに向けて

〜ユニセフとFIFA 子どものための世界的連携

2002年大会は「セイ・イエス・フォー・チルドレン」をスローガンに開催

世界を変えるにはまず子どもたちから、そう考えるときサッカーが重要な役割を果たします。だからこそ、世界のサッカー運営団体である国際サッカー連盟(FIFA)とユニセフは、子どもたちのために地球的規模の提携を結びました。

サッカーをしている子ども 2001年11月20日、ニューヨークの国連本部でのセレモニーで発表されたこの提携では、すべての子どもたちが健全なレクリエーションを楽しみ、質の高い初等教育を受ける権利を実現しその権利を守ることを目的としています。
世界中でもっとも観客が多いといわれるスポーツイベント、サッカーのワールドカップが、史上はじめて、人道的な活動のために捧げられることになったのです。2002年大会は、「セイ・イエス・フォー・チルドレン」のスローガンのもと、子どもたちのために開催されることになったのです。

試合や一流のサッカー選手が出演するテレビスポット広告を通じて、世界中のサッカーファンに、子どもたちのために行動しようと呼びかけられます。まずは、すでに4100万以上の署名を集めた「セイ・イエス・フォー・チルドレン」キャンペーンに、自分の1票を投じることからはじめよう、と。

2001年4月に立ち上げられた「セイ・イエス・フォー・チルドレン」キャンペーンは、世界中の子どもたちの生活を向上させ保護するための10の原則を支持すること、そのうちもっとも重要だと思われる3原則を選ぶこと、10原則を実現するためにできることから行動することを人々に求めています。

子どもたちにとっての10の原則とは次の通りです
1.子どもを一人として差別しない
2.子どもを最優先し、子どもたちの権利が尊重されるようにする
3.すべての子どもをケアし、できるだけ良い人生のスタートを切れるようにする
4.HIV/エイズと闘う
5.子どもへの虐待や搾取をやめさせる
6.子どもの声に耳を傾ける
7.すべての子どもに教育を
8.子どもたちを紛争から守る
9.子どもたちのために地球を守る
10.貧困と闘う

ワールドカップではどの試合でも、子どもたちが重要な役割を果たします。各選手をフィールドにエスコートする子どもたちの姿は、ワールドカップ大会を観戦する累計10億人以上の人々に、子どもたちにふさわしい世界を築く主役が子どもたちであることを認識させることでしょう。
少年少女たちは、2002年5月31日から6月2日に行われる、FIFA主催のフェア・プレイ・フォー・チルドレン期間中のサッカーの試合に参加することもできます。FIFAのフェア・プレイ・プログラムは、ワールドカップ期間中の3日間、子どもたちや一般の人々も含めて開催されるもので、FIFA加盟の各国サッカー連盟が、ワールドカップの試合と並行して、アマチュアの試合を開催します。
世界中の国々で予定されているその他の活動についても、これから発表される予定です。

ユニセフがサッカーの試合と提携するのは、今回がはじめてではありません。現在も続いているユニセフとマンチェスター・ユナイテッドとの提携を通じて、子どもたちのために100万ポンドの寄付が集まっています。ホンジュラスやケニアでは、このプログラムを活用して、若者にHIV/エイズについての教育を行ってきました。
FIFAは1999年以来ユニセフと提携し、「ピュア・ホープ、ピュア・フットボール(純粋な希望、純粋なサッカー)」というキャンペーンを立ち上げ、子どもたちの権利を訴えるグッズ等を通じての協力を推進してきました。FIFAはまた、売上の一部をユニセフに寄付する数々のプロジェクトにも関わってきました。ユニセフの親善大使の何人かは、現役または引退したサッカーのスター選手です。現在FIFAは、ユニセフや世界保健機関との協力で、「アフリカからポリオを蹴りだせ(Kick polio out of Africa)」というキャンペーンを行っていて、テレビやラジオのスポットには、アフリカ人の有名なサッカー選手たちが登場しています。


FIFAとユニセフの提携立ち上げに国際的なスターたちが集合

2001年11月20日、ニューヨーク—国連のコフィ・アナン事務総長は、国際的なサッカー選手、会長・事務局長、俳優、親善大使、子どもたちなどスターぞろいのグループを前に、世界のサッカー運営団体であるFIFAとユニセフとの提携を正式に発表しました。

サッカーをしている子ども

「人々を動員し、より大きな運動を支援するよう働きかけるために、スポーツを活用することは素晴らしい方法です」アナン事務総長は語っています。「サッカーは世界中の何百万人の人々にとって共通の言葉です・・・運動をして、心とからだをきたえるというすべての子どもたちの権利が、紛争や貧困、疾患によって奪われないようにするために、このパートナーシップが役に立つことでしょう」

14歳のアラハジくんは、国連安全保障理事会で演説をしたはじめての男の子です。彼もサッカーが大好きで、子どもたちにとってスポーツをする権利がいかに大切かを各国の報道陣に語りました。
「ぼくは武力闘争に巻き込まれた子どもです。ぼくたちのように、かつて子ども兵士だった子どもがなによりも望んでいることは、普通の生活を送ることです—自由に動き回り、自分で選んだ学校に通い、誘拐される心配なしに友達や家族を訪ねることができること。そして両親は、ぼくたち子どもが教育を受け、スポーツができるようにするために、普通に働けることを望んでいるのです。」

ユニセフ親善大使のロジャー・ムーア氏は、アラハジ少年の発言を受けて、次のように語りました。「この少年は戦場というフィールドにいたのです。私たちはみな、子どもたちが立つフィールドが競技場だけになるよう努力していかなければなりません。」

伝説的なサッカー選手ペレ氏は、彼が記録に残る1000点目の歴史的ゴールを決めた日が、32年前の11月19日だったことを聴衆に語りかけました。「私はそのとき、社会に向かって子どもたちのことを考えようと訴え、自分自身もそうすることを誓いました。ですから今日ここで、世界の2つの大きな団体が「セイ・イエス・フォー・チルドレン」のために手を結んだのを見届けることができたことを、神に感謝いたします。」

「この提携によって、ワールドカップの期間中、10億人以上もの人々の前で子どもたちの権利をアピールする機会ができました」ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長はこのように語りました。「私たちは、すべての人々が子どもたちとともに、子どもたちのために世界を変えていく力になり得るということを訴えます。」

「我々は、よりよい世界への希望を子どもたちに与えられるよう活動します」FIFAジョセフ・"ゼップ"・ブラッター会長も同意見です。「世界でもっとも人気のあるスポーツを通じて、世界中の理解が高まるよう、我々が仲立ちとなります。」

セレモニーの後、アナン事務総長は国連本部前のノース・ローンで、数分間若い選手たちとサッカーを楽しみ、ペレ氏は米国の人気選手ブランディ・チャステインさんとヘディングでボールのやりとりをしました。
立ち上げのセレモニーには、2002年ワールドカップ開催国である日本と韓国の大使、韓国サッカー協会会長、ナーネ・アナン夫人、ユニセフの支持者であるクリスティーナ・ソルストルップ氏も出席しました。