ユニセフ特使ナーネ・アナン氏(国連事務総長夫人)来日
ワールド・サッカー・デー記念セレモニー&子どもセッション開催


 4月27日(土)、国連事務総長とユニセフの特使として来日していたナーネ・アナン夫人がユニセフハウスを訪れ、高円宮両殿下ご臨席のもと、子どものためのワールド・サッカー・デー記念セレモニーと子どもセッションが開催されました 。
 子どものためのワールド・サッカー・デー記念セレモニーには、高円宮両殿下、岡野俊一郎 日本サッカー協会会長にもご参加いただき、2002FIFAワールドカップTMを" Say Yes for Children(セイ・イエス・フォー・チルドレン)"をテーマに盛り上げ、6月19日の「子どものためのワールド・サッカー・デー」の成功に向けて協力して取り組むことを確認しました。
 また、神戸の女子サッカーチーム"神戸エンジェル"の選手達がゲストとして参加しました。選手たちは、アフガニスタンの子どもたちのためにサッカーボールを集めてきた活動を紹介し、「ぜひ、アフガニスタンの子どもたちもサッカーを楽しめるようにと伝えてください」と、集めたサッカーボールをアナン夫人に託しました。

 高円宮殿下は「サッカーは、ボールひとつさえあればどこででも楽しむことができ、多くの子どもたちがサッカー選手に憧れを持ち、サッカーを楽しんでいる。サッカーを通じて、教育・交流・友情を育んでいけたらよいと思う。さらに、今大会は、日韓両国のみならず、世界の国々が友好を深めていくチャンス。ユニセフとFIFAの連携はとても意義のあることであり、今大会は、サッカーの楽しさや世界平和を訴えるよい機会となることと思う」とお話しになられました。

 また、日本サッカー協会の岡野俊一郎会長は、「(今回のユニセフとFIFAの提携で)ユニセフの活動を知るよい機会となり、世界中のこどもを取り巻く問題を知った。私たちには何ができるか?これを考えるのが、6月19日までの課題だと思う。現時点で、サッカーボールをいろいろな地域におくることや、6月19日に東京を中心として全国のサッカー協会と協力して、日本・外国のプロサッカー選手を招いて、日本の子どもたちにサッカーの楽しさを伝える交流の場を設けたいと検討している」と話されました。

これらを受け、アナン夫人は、次のように話しました。
 「夫(コフィ・アナン氏)と初めて歴訪したアンゴラの地で、孤児たちが "子どもなのに、自分たちには守ってくれる人がいない。父・母・教育・子ども時代がほしい"と歌ってくれたことが強く記憶に残っている。どんな子どもにも愛とケアと保護が必要だと感じた。
 サッカーやレクリエーションを楽しむ権利は、子どもの権利条約にも定められている権利。アフガニスタンでは女性がサッカーを教え、スーダンでは裸足でこどもたちがサッカーを楽しんでいた。(神戸エンジェルがアフガンの難民におくるサッカーボールを届けてくれたことに対し)サッカーボールをおくるということは、彼らが遊び、プレーできるようになるだけでなく、"手を差し伸べてくれる人"の存在を知る、という大変重要な意味がある。
 今大会は子どもたちの幸せのためにとても重要なものになるだろう。そして6月19日は、とても重要な日になるだろうと考えている」

 スピーチの後、アナン夫人と岡野会長、澄田智日本ユニセフ協会会長が、今大会の公式サッカーボールにサインをし、 今後の取り組みの促進を約束しました。

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 セレモニーの後ナーネ・アナン氏は子どもたちとのセッションに参加し、集まった子どもたちに国連やこれまで訪れた国についてスライドを使ってプレゼンテーションをおこない、子どもたちの質問にこたえました。

Q:  アナンさんは国を代表する女性のひとりとして、日々の生活の中で何を学び、何に心がけていますか。また、訪問したりしたときにその国の人と仲良くなるために大切なこととは何ですか。教えてください(中村 翔也さん 12歳)
アナン
さん
:  私の人生を振り返ると、私は弁護士になり、そして私の夫が国連の事務総長になりました。私は画家もやっておりました。人生はすごく変化してきました。また、国連難民高等弁務官事務所でも以前働いたことがあります。そして夫とともに魂を燃やして自分の信じることをやっている人たちを見て、そうした人たちからインスピレーションを得てきました。私は自分の見たことをお話しできる、それが自分の役割だと思いました。国連が何をしているのかということをみなさんの目に見えるようなかたちで伝えることができれば私はとても満足に思います。
 (その国の人と仲良くなるためには)ほほえむ、ほほえみがすごく重要です。ほほえみかけるということが、友だちづくりの最初の出発点として大切だと思います。

Q: 私はユニセフが大好きです。どうすれば子どもたちもユニセフを応援することができるのでしょうか(ノゾミ・デ・レンケ・サインさん)
アナン
さん
: 子どもたちができることはたくさんあると思いますが、重要なのことはまず自分自身のところから始めるということだと思います。「寛容」を話すときには、自分がいるところから始めるわけです。周りに困っている友だちがいたら助けてあげる、これは大変かもしれません。ちょっと勇気が必要かもしれません。でもそれが最初の第一歩だと思います。それから、日本ユニセフ協会が子どもたちのネットワークを持っていると聞いてとてもうれしく思っています。みなさんがユニセフのためにがんばってくれているということですね。世界の子どもたちのネットワークというのがとても大切だと思います。そして、おとなも子どもの心配に耳を傾けることが大切だと思います。外国に行ったときに子どもたちのレポーターに会いました。メキシコ、ドイツ、そしてアフリカでも会いました。それは、世界に自分が関わっていく第一歩になると思います。

Q: ぼくは世界の子どもが食べるものがなくて苦しんだり、テロや戦争で傷ついたり死んだりするのがいやです。今パレスチナでは60万人の子どもが学校に行けません。平和をみんなで望んでいるのにどうして実現できないのですか。ぼくは世界のみんなが学校に行けるようになるといいです。(山岸大高くん 11歳)
アナン
さん
: すばらしい宣言をしてくださったと思います。国連もすべての子どもが学校に行けるようにがんばっています。飢餓と戦う次に大事なのは子どもたちが教育を受けるということを守っていく、教育の機会を守っていくという活動です。

Q: アナンさんは世界でいろいろな子どもたちに会ってきたと思いますが、今まで会った子どもの中で一番心に残っているようなエピソードを聞かせてください。(ジェイミー・ローンさん)
アナン
さん
: 子どもと出会いは最も印象に残るものです。子どもが生まれたときにその子どもの目を見ますね。そうするとまるで子どもの目の中に宇宙が見えるような感じがします。そして大きくなったときにその宇宙がもっと大きくなっている子どももいるし、また中には小さくなってしまっている子どももいます。小さくなってしまっている子どもは、愛されたり大切にしてもらったり教育を受けたりという機会にめぐまれていない子どもたちです。今朝お話しましたが、私が最初に出会ったのはアンゴラの内戦後の子どもたちでした。コンクリートの床の上に直接座っていました。私は、少なくとも彼らはやっと学校に行くことができる、そして面倒をみてもらうことができる、と感じました。そのときに子どもたちが歌ってくれた歌の意味は「私たちは子どもたちです。私たちにはお母さんが必要です。私たちは子どもたちです。お父さんが必要です。私たちは子どもたちです。私たちは教育が必要です。あなたは何をしてくれることができますか」というものでした。彼らが投げかけた質問は、それから私の中にずっと残っています。本当に忘れることができません。

Q: ぼくはスポーツに国境はないと思います。でも去年、アメリカでの同時テロがあってからは家の近くのアメリカ軍基地でもサッカーの試合を見に行くことができなくなりました。世界中の子どもが自由に交流するにはどうすればいいと思いますか。また今年のワールドカップの開催国である日本の子どもたちに何かメッセージはありますか。(大矢透くん 14歳)
アナン
さん
: サッカーは、国連に参加しているより多くの国々で親しまれているスポーツです。たとえば内戦をしている国でもサッカーがおこなわれています。そして内戦後もサッカーは、さまざまな人びとがお互いに出会う機会になっています。今日は、神戸からサッカーチームの女の子たちがきてくれました。彼女たちも震災の後、支援を受けてまたサッカーをすることができるようになった、と話してくれました。サッカーには、スポーツを超えた大きな意味があると思います。そしてどんな子どもたちもレクリエーションを楽しみ、遊ぶ権利があります。日本にいるみなさんからのこうした質問はとても意味があります。みなさんが世界のことを考えてくださることに感謝したいと思います。私たちはみなさんが必要なのです。

Q: もうすぐ国連で子どもの特別総会が開かれると聞きました。子どもの権利を守るためにこれから世界がどのような活動をしていくべきだと思いますか。教えてください。(内田 沙希さん 15歳)
アナン
さん
:  この質問、とてもうれしいですね。私たちは、どんな子どもも置き去りにしない、子どもを差別しない、子どもに教育の機会を提供する、貧困と闘うということに取り組まなければなりません。
 国連子ども特別総会は5月に開かれます。70ヶ国以上の世界のリーダー(大統領や首相)が集まってきます。 その他にも多くの国ぐにや人びとがこの特別総会に参加します。そして、Say Yes for Childrenキャンペーンに参加した8400万人の署名が、特別総会が始まる前に私の夫の所に届けられます。8400万人※の人が投票してくれた子どもにとっての最優先課題、その答が明らかになります。
 最後に私は子どものためにまとめたちいさな本のメッセージを読みたいと思います。
…私は望みます。あなたもまた世界がよりよくなるためにそのことを信じていると願っています。戦争がない世界、飢餓がない世界、平和な世界、子どもたちが幸せな世界。そしてちいさなことも大切にしましょう。水を節約するとか、電気を節約する、困っている友だちを助ける。夫はよく言います。世界は私たちが保っていくわけではない。次の世代にまかせていくものだ、と。次の世代というのはみなさんのことなのです。

※国連子ども特別総会開会時、この署名数は9500万と報告されました。