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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名:波多野 綾子
派遣先:シエラレオネ事務所
派遣期間:2013年6月〜2013年10月

2013年6月から10月の16週間、ユニセフ・シエラレオネ事務所の子どもの保護セクションでインターンをさせていただきました。子どもの保護とは、暴力、虐待、搾取から子どもを守ることです。最初の1ヶ月は、中間報告会の準備や女子に対する性暴力(10代の妊娠)、FGM/C(女性性器切除)などのレポートに係る仕事をしながら子どもの保護全般のことについて学ばせていただきました。その後の3ヶ月は、私は国際人権法を専門としておりましたので、シエラレオネの少年司法(Child Justice)の問題について自らリサーチデザインを行い、文献やインタビューの調査に基づいてアセスメントレポートの執筆を主に行いました。

私は紛争後の復興と開発の問題、特にガバナンスと法の支配、人権問題に関心があり、シエラレオネを派遣先として希望させていただきました。シエラレオネでは2002年に内戦が終結したのですが、内戦で崩壊した司法制度はいまだ整っているとはいいがたく、汚職も酷い状況です。少年司法における適正な手続きは担保されておらず、子どもたちは法律家や親の支援も得られないまま裁判にかけられています。私は上記のレポート作成の過程で、シエラレオネにある全ての少年院、少年一時拘留施設(子どもたちが警察に逮捕された後、裁判にかけられる前や裁判中に拘留される場所)を訪問し、そこにいる子どもたちや施設の職員たちにインタビューをしてまわりました。そこから見えてきたものは、少年院や少年一時拘留施設にいる子どもたちの犯したとされる罪の多くが単純な窃盗であるにも関わらず、逮捕された子どもたちは長期間、衛生状態なども過酷な境遇で拘留されながら裁判を待ち、少年院に送られたあとも、十分な教育や職業訓練受けられず、結局ストリートに戻っていくのが実情です。そのような子どもたちが生まれる原因には、司法制度の脆弱さもありますが、貧困や親責任の希薄さから、家庭が子どもたちを守るという機能を果たしていないことが大きいと感じました。親に虐待やネグレクトを受け、児童労働などに従事させられたあげく、少年院や刑務所にきてしまった子どもたち。そんな彼ら彼女たちを生み出さないために、また、現状を少しでも改善するために、何が必要なのか。特に、裁判所、弁護士、検察官といった司法セクター、政府、 NGOらと連携・協働しながら、法に抵触した子どもたちの保護と、彼らの家族・社会との再統合の支援のための問題を分析し、解決策を考えていきました。裁判所、法に抵触した子を受け入れる学校、児童養護施設、里親の家、ストリートキッズ保護NGOなども巡り、具体的な提言を記し、最後には 社会福祉女性子ども省(Ministry of Social Welfare, Gender and Children Affairs)の副大臣の前で報告をさせていただきました。調査やレポートの段階では、問題の複雑さや難しさに無力感にさいなまれることも多々ありましたが、報告後、大臣が一時拘留施設の酷い実情を知って「今週すぐに見に行く」といってスケジュールをその場で調整してくださったのはとても嬉しく感じました。

その他には、NGOとの会合などにも多く参加させていただき、警察や政府の能力強化プログラム、性やジェンダーに基づく暴力に関するプログラムの運営、少年司法のベースデータ収集と分析のお手伝いもさせていただきました。また、自ら手をあげ、教育など他のセクションや現地のNGOの話を聞きにいったり、チーフの地方視察に同行させてもらったりしました。地方のほうがやはり首都と比べると、状況は酷い事が多く、子どもに対する暴力的な扱いが平常的に行われている様に胸が痛くなる現実が多くありました。

現地の問題の解決の主役は現地の政府であり、コミュニティであり、親であり、子どもたち自身です。「現場に行って、国際機関に何ができるのか?」、出発前に友人からつきつけられた質問がありました。しかし、本インターンを終えて、政府や草の根のNGOとも協働しながら、現場の問題と政策を結びつけ、政府がよりよい政策やプログラムをつくり実行するためのファシリテーターとして、ユニセフの果たす役割はやはり大きいと感じています。

最後になりますが、この様に貴重な経験をする機会を提供して頂きました、日本ユニセフ協会、ユニセフ東京事務所、ユニセフ・シエラレオネ事務所の皆さま、沢山の心の支えをくれた家族と友人はじめ大切な方々に厚くお礼を申し上げます。今後、この分野で尽力することで、少しでもご恩返しをさせていただければと思っています。

ユニセフシエラレオネ事務所集合写真
少年院と少年一時拘留施設の施設長たちと
副大臣へのプレゼンテーション
学校で、子どもたちと

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