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財団法人日本ユニセフ協会
 



アフリカ緊急募金 第4報
ソマリア・イエメン
2011年ソマリア大飢饉時と同じ徴候を確認
直ちに人道支援の実施を

【2014年7月2日 ニューヨーク発】

ソマリアとイエメンへの1週間の視察を終えたOCHA(国連人道問題調整事務所)のジョン・ギング・オペレーション部長とユニセフの緊急支援本部 部長のテッド・チャイバンは、7月2日、報道機関に対し、不安定な状況下で危機的状況にある両国の状況悪化を防ぐには、喫緊の取り組みが必要であると述べ、両国でのニーズに加え、現状が続ければ長期に及ぶ不安定さの引き金になることを訴えました。

喫緊の支援が必要なソマリアとイエメン

© UNICEF/NYHQ2010-2104/Lopez
病院ですぐ口にできる栄養治療食を食べる子ども(イエメン)

チャイバン部長は「ソマリアは岐路にあります。現在、重度の栄養不良にある子どもたちは5万人。必要な治療を受けられなければ、これらの子どもたちの多くは死亡する恐れがあります。2011年にソマリアを襲った干ばつと大飢饉による悲劇の繰り返しを防ぐために、我々には小さくとも重要な方法があります。イエメンでは、栄養不良で命の危機にある、もしくは衰弱している子どもたちの数が急増しています。これは、慢性的な発育不全と治安の悪さが続いていることによるものです。両国では、人道支援組織は、喫緊の対応とレジリエンス(回復力)の構築という2つの異なる支援に果敢に取り組んでいますが、資金が圧倒的に不足しています」と述べました。

イエメンの人口の半数以上の1,470万人が、人道支援を必要としています。食糧不足が急激に広がっており、治安の不安定さと紛争が続き、基本的サービスがほぼ欠如していることから、世界で最も大規模な人道危機のひとつとなっています。しかし、必要な活動資金のうち、調達できたのはわずか33%にとどまり、活動資金が圧倒的に不足しています。また、イエメンは経済崩壊の危機にあります。より長期の財政上、統治上の改革、生計手段、農業、基本サービスの提供への投資も重要です。危機を防ぐには、こうした取り組みが必要であり、これの取り組みは、地域全体を危険にさらす不安定さのもとを取り除く上でも欠かせません。

ソマリアでも、食糧危機が広がっており、今年後半に状況はさらに悪化すると見られます。国内で避難している人は100万人以上おり、87万5000人が緊急で食糧を必要としています。

新たな惨事を防ぐために

© UNICEF/NYHQ2011-2439/Grarup
ユニセフが支援している病院で眠る、下痢の治療を受ける 子ども(ソマリア)

ギング部長は「人道支援が必要であると訴え、決断力を持って取り組むことができなければ、新たな人道危機を招くだけでなく、平和とこの2年で築き上げたものを失うことになります。ソマリアは“失敗国家”から卒業するわずかな機会を逃すことになるのです。2011年の大飢饉が起きる前に、我々が目にしたすべての兆候−人道アクセスの減少、不安定な治安、食糧価格の高騰、雨季の遅れ、急激に悪化する子どもたちの栄養不良−が現在もみられています。新たな大惨事を防ぐには、今すぐに行動することが必要なのです」と述べました。

OCHA、ユニセフ、WFP(国連世界食糧計画)、FAO(国連食糧農業機関)、ICVA-IRC、IOM(国際移住機関)、IMC、WHO(世界保健機関)、UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)、UNFPA(国連人口基金)、UNDP(国連開発計画)の緊急支援の部長たちは、両国で大統領や総理大臣、保健省や人権省の大臣や高官たちと面会してきました。

ギング部長は「ソマリア、イエメンでは極めて厳しい環境に置かれているにもかかわらず、人道支援パートナーたちが、資金が活用できる際に行ってきたすばらしい支援活動を、我々は見てきました。彼らは、最も支援を必要とする人たちにたどり着くため、時に自らの命を危険にさらしています。これまでのご支援で両国で得られたものを更に強化できるよう、みなさまのご支援をお願い申し上げます。今すぐに取り組めなければ、後戻りすることになります。そして、その余波は両国の周辺にも及びます」と続けました。

■参考情報:ソマリア、イエメンにおける基本統計
   (出典『ユニセフ 世界子供白書2014統計編』)

<ソマリア>
総人口 1,019万5,000人
 (18歳未満の人口  553万1,000人、 5歳未満の人口 192万3,000人)

栄養
5歳未満の子どもの13%が急性栄養不良(消耗症)
5歳未満の子どもの42%が慢性栄養不良(発育阻害)

<イエメン>
総人口 2,385万2,000人
 (18歳未満の人口  1,148万5,000人、 5歳未満の人口  339万7,000人)

栄養
5歳未満の子どもの15%が急性栄養不良(消耗症)
5歳未満の子どもの58%が慢性栄養不良(発育阻害)