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財団法人日本ユニセフ協会





中国大地震 第25報
子ども達を学校に戻そう
 

© UNICEF
ユニセフから提供された(図書館の)本を読む子ども達の横で、ユニセフが提供するスポーツキットを受け取るために列を作って並ぶ子ども達。

高揚村の何世代もの子ども達と同じように、楊梅さん(13歳)は、木とレンガでできた地元の村の学校に通っていました。しかし、2008年5月に中国で起こった大地震により、すべてが変わりました。校舎の屋根は崩れ、壁に大きなひびが入りました。

「地震が起きたとき、私たちは教室で授業を受けていました。突然、教室が揺れはじめ、私たちは急いで教室から逃げ出しました。」と6年生のある生徒は説明してくれました。

今回の大地震により、甘粛省韶関市だけで300の校舎が被害を受けました。楊梅さんの通っていた高揚小学校も地震により校舎が崩壊しました。さらに甘粛省では、6,000校が地震により崩れました。

地震後、楊梅さんと他の生徒達は仮設テントで授業を受けなくてはなりませんでした。「テントの中はとても暑くて、10分以上勉強していると、汗でびっしょりになりました。」

2008年10月、生徒達はユニセフの提供によってできたプレハブの教室に移動しました。「新しい教室は広く、テントより明るくなりました。」

「あたらしい、椅子や机、本、スクールバッグ、そして一人一人に衛生キットが配られました。中には、歯ブラシ、歯磨き、シャンプー、石鹸、タオルが入っていました。私のお気に入りは、新しいスクールバッグ。中には、辞書やペン、ノートが入っています。」

より良い生活を築くために

© UNICEF
ユニセフによって提供されたプレハブの教室で授業に聞き入る6年生の楊梅さん。

毎朝、楊梅さんと彼女の妹、弟達は、ユニセフからもらった衛生キットを使って歯磨きと洗面をします。子ども達は、学校に行く前に朝食をとりません。家族の食事は、村の他の人々と同じように、昼食と夕食の2回だけです。

父親の楊建国さんは「1年のうち80%の普通の日は、昼食にじゃがいもを、夕食に麺類を食べます。祝日と中国の新年のお祝いには、肉を食べます。」と話してくれました。

今回の地震で2番目の被害を受けた甘粛省南東部に位置する人口40万人から成る韶関市は中国でも最も貧しい地域のひとつです。2008年の年間平均国民所得は、北京に住む人々のわずか10分の1で、2000元(およそ300米ドル)でした。

楊建国さんは以前、青島省の建設業現場で働いていました。彼が家に帰ることができるのは、年に2回でした。楊梅さんは先天性心臓欠陥をわずらっていて、去年の冬に手術を受けました。手術には5〜6年間の貯蓄に相当する33,000元がかかりました。今回の地震により家や財産が失われて、生活がますます苦しくなりました。

学校の休み時間に子ども達が新しくユニセフにより提供されたスポーツキットで遊ぶのを、楊梅さんは静かに見ていました。「以前は、自分達で縄跳びやサッカーボールを作って遊んでいましたが、今では、バトミントンやたくさんのゲームやスポーツを遊ぶことができます。」彼女が6週間後に手術後の薬による療法を終える頃には、他の子ども達と同じように走り回ったり遊んだりすることができるようになるでしょう。

清潔で安全な水

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韶関市高揚小学校で休み時間に手を洗う子ども達。震災後、ユニセフと地元の水管理組合により給水施設が建設され、パイプラインが整えられた。

質の高い教育へのアクセスの回復に加えて、ユニセフは高揚小学校での水と衛生施設を整える活動を行っています。地震によって給水設備が壊され、子ども達を含む村の人々は上水処理されていない自然の川に水を汲みに出かけ、屋根の上やビニールシートに溜まった水を集めています。ほとんどの学校は地震以前も給水施設やトイレがありませんでした。

地震の被害から1年、今では、高揚小学校の校舎の近くに手洗い場をかねた給水施設が建設されています。男の子と女の子のために別々のトイレも建設中です。ユニセフの支援によるこれらの水と衛生施設は数ヶ月で完成する予定です。

楊梅さんは、甘粛省韶関市でユニセフが教育と水と衛生支援を行っている39校に通う10,000人の生徒のひとりです。

「授業を受けている時と、同級生と遊んでいる時が一番幸せです。」と楊梅さんは言います。「大きくなったら、先生になるのが夢です。」と彼女は語ってくれました。

これまでの皆様からのご支援について

中国大地震緊急・復興支援活動に対して、2009年4月6日時点で、ユニセフは世界中の皆様から3720万米ドル(約35億5300万円)ものご支援を受け取ることができました。皆様からのご支援による日本ユニセフ協会からの拠出は約230万米ドルにもなりました。

ユニセフは、この3720万米ドルの内、既に2000万米ドルを下記の通り、必要とされる分野(セクター)に支出しています。本報告に説明されています、学校再建、教材配布等の教育分野における支出(約640万米ドル)が全体の32%を占めており最大です。

また、ユニセフが策定した3ヵ年復興計画実施に必要とされる総額は4500万米ドルであるため、まだ780万米ドルが不足しています。