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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第15報
被災地各所に設置される「巨大な水枕」

【2010年1月26日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UN Photo/Paris
首都ポルトープランスのカナペベルトで、給水車から水を受け取る被災者たち。

地震発生から2週間。ユニセフは、安全な飲料水の配布など、被災地で緊急に求められている子どもたちの命を守る支援活動を続けています。

首都ポルトープランスでは、病院と市内各地に設置された物資配給拠点を通じ、現在、23万5,000人分の飲料水を提供しています。また、数日中には、その数を50万人に増やせるよう、準備をすすめています。

安全な飲料水の供給は、特に子どもたちの命にかかわる問題である水を媒介とする病気の流行による二次災害を防ぐために、非常に重要です。

子どもたちは最も弱い立場に
© UNICEF/2010/de la Rosa
カナペベルトの給水所で飲料水を汲むカナペベルトの子どもたち。

ハイチでの支援活動において、ユニセフは水と衛生事業(WASH)において主導的な役割を果たしています。子どもたちのための基本的なニーズに応えるべく、現地のNGOなどとも協力して支援活動を展開しています。

今回、「二重の災害」に見舞われているハイチへの支援活動は、困難を極めています。1月12日の震災に加え、この国が、震災以前から直面してきた国の発展を妨げる社会的状況が非常に悪化しているのです。

「第一に、震災以前から、清潔な飲料水を飲める人は、ハイチの国民のわずか50パーセントに過ぎなかったことを忘れてはなりません。」ユニセフのシルビア・ガヤ水と衛生担当官は話します。「このような緊急事態下で、子どもたちは、水を媒介にした感染症に罹りやすくなり、死に至るケースも増えるのです。」

ユニセフは、ハイチの水道関係当局(DINEPA)と共に、ポルトープランス全域と周辺地域に、115の給水拠点を設置しました。この拠点の多くは、災害で家を失ったり、余震を恐れて自宅に戻ることをためらっている人々が現在暮らしている、臨時の避難場所に配置されました。

給水トラックと「巨大な水枕」
© UNICEF/2010/de la Rosa
カナペベルトにある給水拠点に飲料水を届ける給水トラック。

ユニセフは、ハイチ政府や他の人道支援団体と協力して、ポルトープランス周辺に仮設給水タンクを設置しました。この「巨大な水枕」のような仮設タンクには、毎日、塩素処理された5,000から10,000リットルの清潔な水が、大型の給水トラックで運ばれています。

カナペベルト周辺でも、ユニセフは、他の人道支援団体と協力して、約10万5,000人の被災者に飲料水を提供しています。

© UNICEF/NYHQ2008-1408/LeMoyne
「巨大な水枕」のような仮設タンク(2008年ハリケーンに襲われたハイチに支援されたもの)。

ポルトープランスのシャンドマルス公園につくられた臨時避難所では、公園のシンボルだったハイチの英雄ジャン=ジャック・デサリーヌ像の後ろに、1万リットルの貯水能力がある「巨大な水枕」のような仮設給水タンクが設置されました。

絵のように美しい宮殿と緑豊かな風景が見られたこの公園は、震災後、被災者2万人が暮らすテントやほったて小屋で出来た小さな町へと姿を変えました。トイレの数は、まだ十分ではありません。

被災者自身の努力
© UNICEF/2010/de la Rosa
約1万人の被災者たちが臨時の避難所として暮らすグレース国際教会の様子。

シャンドマルス公園から車で1時間ほど離れた、震源地近くの町カルフール。この町で臨時の避難場所となっているグレイス国際教会が今必要としているのも、安全な飲料水です。

周囲のコミュニティが一瞬にして瓦礫と化し、小さな家族経営のこの教会も、住む場所を失った人々に、その敷地を開放しました。ユニセフの支援で、現在1万人以上の人々が暮らすこの敷地に、45基のトイレが設置されました。しかし、飲料水は、2つの小さなタンクに頼っている状態です。

DINEPAは、この場所に、給水車を毎日一台派遣していますが、被災者1万人が調理したり、体を洗ったり、飲料水として使うためには十分ではありません。

「ここで生活している人々は、これら2つの水タンク以外から、何らかの方法で水を得ていると思われます。この2つの水タンクの供給量は、圧倒的に不足している状況ですから。」ユニセフのガヤ水と衛生担当官は話します。「これまでに設置されたトイレは、ここでの生活を余儀なくされている人々に、少しでも尊厳のある衛生的な環境を提供してくれているはすです。ユニセフは、日々の生活の緊急のニーズに応えるために、ここに給水タンクを設置するべく準備を進めています。」