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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第16報
ユニセフ 60万人分の予防接種キャンペーンを準備

【2010年1月27日 ハイチ・ジャクメル発】

© US Fund for UNICEF/2010/Alleyne
ジャクメルのサン・ミシェル病院で医療支援にあたる、米国のボランティア医師たち。

首都ポルトープランスやハイチ南部の港町ジャクメルなどの震災被災地で、ユニセフは、子どもたちの命を守る支援活動を続けています。

この震災は、色々な意味で「子どもたちの緊急事態」です。人口の40パーセント近くが14歳未満のハイチ。震災後、子どもたちが最も高い危険に晒されています。ユニセフは、他の人道支援団体と協力して、避難所や児童養護施設、ケアセンターなどで暮らしている、最も幼く最も弱い立場に置かれている子どもたちに特に注意を向けています。

来週、ユニセフは、5歳未満の子ども60万人を対象に、はしか、ジフテリア、破傷風の緊急予防接種キャンペーンを開始する予定です。また、急性の栄養不良の増加を防ぐため、5歳未満の子どもたちには、通常の食糧配給と同時に、治療用の栄養補助食も準備されています。

ジャクメルでの支援活動
© UNICEF/NYHQ2010-0082/LeMoyne
ハイチ南部の港町ジャクメルの避難所で配布される、ユニセフの支援物資。

ジャクメルでは、ユニセフは、通常の食糧配給を行っている世界食糧計画(WFP)の活動に並行して、震災に見舞われた子どもとその家族のために、とうもろこしと大豆で作られた栄養補助食を配布しています。

歴史のある港町ジャクメルの約4万人の人々は、大きな被害に耐えています。見渡す限りの建設物をことごとく破壊したこの地震により、多くの市民が命を落とし、数千人が住む家を失いました。避難を余儀なくされ、負傷した人々を受け入れるために、教会をはじめとする地元の様々な施設は、仮設の避難所や保健所として、その敷地を開放しています。

ユニセフは、サン・ミシェル病院に様々な緊急支援物資を提供しています。この病院は、ジャクメルだけでなく、近隣のラバイェハ近郊の人々も利用する医療施設ですが、地震によって施設や人員に及んだ被害により、多くの外科手術が行えない状態だったため、米国のバージニア州とデラウェア州から派遣されたボランティアの外科医が、病院の敷地内に野外の治療センターを設置しました。

「多くの人々が、酷い外傷に苦しんでいます。」外科医の一人、ジョン・ブレビア医師は話します。「私たちは、ここで、様々な整形外科手術を行っています。あらゆる年齢層の被災者が、ここに担ぎ込まれてきます。赤ちゃんもいました。」

カルフールで求められている支援
© US Fund for UNICEF/2010/Alleyne
カルフールの「英国アドベンチスト学校」の敷地に設置された仮設保健センターで、診察の順番を待つ母親と子ども。

首都ポルトープランス近くのカルフールでは、避難キャンプで暮らしている人々の中でも、特に子どもたちの保健ニーズは重大な問題です。こうした避難民キャンプの一つで、現在、数千人の人々が身を寄せている「英国アドベンチスト学校」でも、こうしたニーズは広がっています。

「嘔吐、下痢、発熱、咳といった疾患で苦しんでいる人が見られます。傷口から感染症に罹ったケースも発見されています。病院の対応能力の限界を超えてしまっています。」「もっともっと支援物資が必要です。」避難キャンプに設置された仮設の保健センターで活動するバウジル・エベナウゼ看護師長はこう訴えました。

「二重の災害」

ユニセフが、世界保健機関(WHO)やハイチ保健省と来週スタートする予防接種キャンペーンは、ジャクメルやカルフール、ポルトープランスのこうした避難所やキャンプから始められる予定です。

「このキャンペーンに必要なワクチン、注射器具、ワクチンなどを冷凍・冷蔵保存するためのコールドチェーン機材の準備は全て整っています。」ユニセフのメホウンド・ファトン緊急保健支援担当官は話します。「避難所やキャンプの衛生状況は非常に劣悪です。特に、はしかの流行の可能性が非常に高くなっています。こうした場所での暮らしを余儀なくされている子どもたちへの支援が、最優先です。」

ハイチでは、今回の地震が発生する以前も、定期的に予防接種を受けていた子どもの数は、全体の半分程に過ぎませんでした。低い予防接種普及率は、現在ハイチが直面している「二重災害」の一例です。震災で甚大な被害を受け、国の発展を妨げる社会的状況は、さらに悪化しています。