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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第52報
ハイチ地震から6ヵ月 キム・ヨナ選手がスペシャルメッセージ

【2010年7月9日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UNICEF/NYHQ2010-0101/LeMoyne
1月下旬、ハイチの首都ポルトープランスのゴルフ場に設置された避難所で子どもを抱えて立つ女性。

1月12日に発生したハイチを襲った大地震から、今日で半年。ユニセフは、これまでの支援活動や現地の状況などを記した報告書を発表しました。「ハイチの子どもたち:成果と展望-震災から6ヵ月」と題されたこの報告書は、「震災後、起こらなかったことは何か?」という間接的な問いかけから始まっています。

「経済が深刻な影響を受け、子どもたちの世話をする人々が、以前のように活動できなくなったにもかかわらず、非常に懸念されていた子どもたちの間の栄養不良の蔓延は、これまでのところ確認されていません。」ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース−アッカーマン代表は、こう話します。

「多くの被災者が集まり、いつの間にか避難所と化した場所があったり、水と衛生のインフラが崩壊しているにも関わらず、感染症の大量発生も確認されていません。」「なぜでしょうか? 飲料水が配給され、衛生施設(トイレ)が設置され、食糧などが提供されてきたからです。これらは“当たり前”のことかも知れませんが、私は敢えて言及すべき重要なことだと思います。なぜなら、私たちは、当初、状況をとりあえず安定化させることを目指していましたから。」

子どもたちの命を救う支援
© UNICEF/NYHQ2010-1295/Ramoneda
ハイチ、ポルトープランスで起きた地震の影響で避難を余儀なくされた人々のために設置された給水所で水を汲む男の子。

現在、ユニセフは、33万3,000人の被災者に飲料水を提供し、栄養不良の子どもたちの命を守る外来治療的な給食サービスを、126箇所で展開しています。

カミール・ステファネアさんも、こうした支援を受けている子どもの親の一人です。ステファネアさんは、ユニセフが支援している、首都ポルトープランスの飛行場近くにある避難所に設置された「赤ちゃんに優しいテント」を利用しています。ステファネアさんは、この震災で夫を亡くし、現在、息子と共に避難キャンプでの暮らしを余儀なくされています。

「この赤ちゃん用のテントに来てすぐに、この場所が大好きになりました。」「良いアドバイスがたくさんもらえるし、息子の世話も手伝ってくれるんです。」(ステファネアさん)

「赤ちゃんに優しいテント」には、母乳を与えるための安全でプライベートな場所があります。ユニセフは、全部で107箇所に設置したこうしたテントで、適切な離乳食についてのカウンセリングや、赤ちゃんが病気にならないように、生後6ヵ月間の完全母乳育児に関する助言なども行っています。母乳を与えることができないお母さん約3,000人には、粉末の乳児用調製粉乳も提供されました。

トイレの設置と子どもの保護

震災後、ハイチでもう一つ重要な課題となったのは、特に、仮設避難所の衛生問題です。この問題に対処するため、ユニセフは、パートナーと共に、急ピッチでトイレの建設を進め、1月までに、9,000基以上のトイレを設置しました。

また、被災地を巡回して、石けんでの手洗い等の適切な衛生習慣を普及するため、約2,200人に研修を実施しました。さらに、特に重要な問題である子どもの保護については、ユニセフは、国境を越えて避難している子どもたちが、人身売買をはじめとする搾取の危険に晒されないように、様々な支援を行っています。ユニセフは、パートナーと協力して、既に何千人もの子どもたちの家族の情報などを収集・調査。この結果、既に何十人もの子どもたちが、家族との再会を果たしました。

学校の再開に大規模な支援
© UNICEF/NYHQ2010-1310/Ramoneda
首都ポルトープランスにある公園に設置された臨時教室で、ユニセフが提供した学校用品を受け取る女の子たち。

一方、教育分野では、今後大きな改善が求められます。地震が起こった1月12日より前、小学校に通っていた子どもの割合は、就学年齢児のわずか45パーセントに過ぎませんでした。震災後、教室に戻ってきた子どもの数は、さらに少なくなりました。

「教育が(復興の)鍵になります。」グルロース−アッカーマン代表はこう話します。「全ての子どもたちが学校に通えるように支援を続けなければなりませんし、教育の質も保たなければなりません。これは、一筋縄ではいかない仕事です。長い道のりです。支援に関わる全てのパートナーが、競争するのではなく、協力していかなければなりません。」

学校再開のための大規模な支援の一環として、ユニセフは、学校用テントを約1,300基配布。さらに、今後、追加の2,000基が配布される予定です。また長期的には、ほぼ半永久的に使用できる校舎を建設するべく、政府と共に、建設技師のチームを支援しています。

ハイチを子どもたちにふさわしい国に

「ハイチは、世界の模範となることができると信じています。」「子どもの保護についても、教育分野についても。それを夢見ています。」(グルロース−アッカーマン代表)

震災から6ヵ月が経過した今、これは、ハイチを子どもにふさわしい国にするべく支援活動を行ってきたユニセフの目標です。

「ハイチの人々の回復力と、彼らが持っている将来への希望に勇気付けられながら、ユニセフは、ハイチでの支援活動を今後も継続してゆきます。ハイチの全ての子どもたちが、生きるために、そして健康に育つために必要な全てのサービスを享受できるように。そして、この子たちが、将来、ハイチの国づくりに意味のある貢献をしてくれるように。ハイチの人々が持つそんな夢が実現されるよう、活動を続けてゆきます。」(グルロース−アッカーマン代表)

キム・ヨナ選手のスペシャルメッセージ

この度ユニセフ親善大使に任命された、バンクーバーオリンピックの金メダリスト、韓国のキム・ヨナ選手から、ハイチ地震緊急募金にご協力いただいた皆様への感謝と、継続的な支援のお願いのスペシャルビデオメッセージが届きました。

(注: メッセージは英語版のみとなります)