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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第56報
若者の参加

【2010年9月14日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UNICEF/HTIA2010-00405/Ramoneda
ポルトープランスで、路上で生活する子どもたちのためのラコウセンターで手芸のクラスに参加するクリスラインさん(17歳)。

自分たちの考えを伝えるため、ハイチの若者たちが集まりました。

先日、ハイチの首都ポルトープランスで、「子どもと若者の参加運動-子どもたちのための変革に向けた課題-」と題して、ユニセフが主導して行われた会議に、50人の若者が参加し、自分たちの意見を表明しました。これは今までにない取り組みです。社会、環境、経済に関して議論したほか、ハイチの将来における若者の役割についても話し合われました。

この参加運動によって、11月に行われる大統領選挙を前に、討論会、フォーラム、会議といったさまざまな形で、ハイチの若者が彼らの希望や要求を訴える機会が与えられることになっています。

投票の季節

現在、ハイチでは選挙活動が行われているため、多くの若者の参加者たちが、地元や国のリーダーに対し、政策決定においても子どもたちの声に耳を傾けることの必要性を強調しています。

「私たちのリーダーたちは、現在のハイチの子どもたちが生活している状況について知る必要があります。そうすることで、政策の中に、子どもたちへの支援を反映させることができるのです。」若者参加者のひとり、ラクソン・ジュリアンさんはこう話しました。

「私たちは、これ以上の鉱物の過剰な採取や森林破壊、侵食を防ぐことを決意しています。」マリエ・モイス・ルイスサイントさんは、本会議中にこのように話しました。「今こそ、汚染と無関心の両方に終止符を打つときです。」

ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース−アッカーマン代表は、ハイチの人口の半数近く、約430万人が18歳未満の子どもたちであるという単純な事実が、ユニセフがこの会議を実施するに至った理由のひとつであると述べました。

「現在、大統領選挙の立候補者は19名です」と、グルロース−アッカーマン代表は話します。さらに、アッカーマン代表は、1月12日にハイチを襲った大地震について言及した上で、「また、ハイチ復興・再建活動を行っている政府の委員会もあります。」とも話しました。「若者や子どもたちが一丸となって意思を表明することができるように、また、彼らにハイチの復興・再建活動において果たすべき役割を与えるために、私たちが他の人道支援団体や配置政府を支援しなければならないと思いました。」

新たな優先事項

破壊的な大地震によって、ハイチの多くの若者たちが、強い政治意識を持つようになりました。ハイチのニーズは、新しく鋭い視点を持ってとらえられるようになりました。

ハンリー・カリザイレさん(17歳)は、ボーイスカウトのメンバーで、開会式で講演したひとりです。ハンリーさんは、同じ年代の若者たちを見渡して話しました。多くの若者たちが、震災による影響を受けており、自分たちが見た光景に不満を持っていました。

ハンリーさんは、本会議で、いままで、ハイチの若者に影響を及ぼす政策が決定される際、自分たち若者の意見が除外され過ぎてきたと話しました。「私たち若者は、このような状態を続けることはできないと、「NO」と言いましょう。これは変えるべきことです。」

それから、ハンリーさんは、小さなビジネスを行うためのマイクロクレジットの拡大や、職業仲介所を通して雇用を促すといった、政府がより雇用を生みだすための提案も発表しました。

今こそ行動を

グルロース−アッカーマン代表は、若者の熱意は、驚くべきものだと指摘しました。ある若者は、ユニセフのスタッフが以前若者から聞いた話を、繰り返し話していたと述べました。「彼はこう話しました。『子どもたちは未来だといいます。でも、私たちは今を生きています。ですから、今、みなさんと一緒に行動しなければならないのです』と。」グルロース−アッカーマン代表はその時のことを思い出してこのように述べました。

「若者たちは、この会議に参加できてとても満足そうでした。」「けれど、たった2,3時間しか時間がなかったことに、少し不満を抱いているようでした。もっと沢山のことをしたかったのだと思います。」(グルロース−アッカーマン代表)

ハイチの若者の寛大さは称賛に値すると、本会議に参加したハイチの青少年スポーツ市民活動大臣のエバンス・レスコウフレイル氏は話しました。2010年1月に起きた地震や、それ以前にもハリケーンなどの自然災害に見舞われた際にも、困難な状況の中で、若者たちは多くの支援活動を行ってきました。

しかしながら、スコウフレイル氏は、ハイチの若者が置かれている状況は、依然として不安定なままだとも話しました。

「皆さんたちは、最も人数の多い年齢層ですが、ハイチで最も弱い立場の世代なのです。」会議に参加した若者にこう話しました。「経済的な問題があります。専門的な資格を取得することも困難ですし、失業や基礎的な社会サービスへのアクセスが困難なこと・・・沢山の問題に直面しています。だからこそ、皆さんに市民としての意識と市民の責任感を持ってほしいと思います。」

ハイチ全土で、多くの若者たちは、行動を起こす準備が整っています。「もしチャンスをもらえれば、ハイチを、かつて『アンティル諸島の真珠』と呼ばれたような、美しくて豊かな国に戻すよ。」(ハンリーさん)