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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第58報
アンソニー・レーク事務局長 被災地を視察

【2010年9月30日 ハイチ発】

© UNICEF/NYHQ2010-2037/Marta Ramoneda
ハイチの首都ポルトープランスのアクラ避難キャンプにあるユニセフが支援している子どもに優しい空間で子どもたちと一緒に過ごすユニセフのアンソニー・レーク事務局長。

今年1月末、ハイチが壊滅的な大地震に見舞われて以来、ジャント・ガラネさんは、4人の子どもたちと共に、アクア避難キャンプにある狭いテントでの生活を余儀なくされています。このキャンプには、約8,000人の子どもたちを含む2万人以上の人々が暮らしています。

「あまり良い状況ではありません。」グラネさんは、このように話します。「沢山の蚊に悩まされていますし、食べるものもろくにありません。屋根は雨漏れしています。でも、屋根を覆うビニールシートもないんです。」

9月29日、アクラ避難キャンプを訪れたユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、ガラネさん一家やその他にも震災で避難を余儀なくされた人々が直面している被災地の様子を視察しました。レーク事務局長は、避難キャンプ地に設置された様々な施設も視察して回り、このキャンプ地に6箇所設けられている「子どもに優しい空間」のひとつを訪問。子どもたちと一緒に時間を過ごしました。ユニセフの支援を受けて、ユニセフのパートナー団体が運営している「子どもに優しい空間」は、子どもたちが安全に勉強したり、遊んだりできる環境を提供しています。

心の安息地

「ここにいる子どもたち以上に困難な立場に立たされている人がいるでしょうか。家が倒壊しただけでなく、親やきょうだいを亡くした子もいるでしょう。このような壮絶な思い出と共に、今子どもたちは生きているのです。」レーク事務局長はこう話し、次のように付け加えました。

「震災の影響を受けた子どもたちにとって、子どもに優しい空間は大変重要なものです。子どもたちの身の安全を確保するだけでなく、心理的にも安心感を与えています。こうした影響は、これからの人生において、子どもたちは理解していないかもしれませんが、様々な形でよい影響を与えるはずです。」

レーク事務局長は、アクラ避難キャンプのスタッフに、今後の課題について話をすると共に、この数ヵ月間で達成したことについてねぎらいの言葉をかけました。

避難キャンプの優先事項
© UNICEF/NYHQ2010-2039/Ramoneda
ルネ・プレバル大統領(中央)と話すユニセフのアンソニー・レーク事務局長とユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース・アッカーマン代表。

現在、最も懸念されていることのひとつは、避難キャンプの将来についてです。この避難キャンプ地は私有地に設置されているため、2011年1月までに撤退する必要があるかも知れないのです。この問題は、すでに問題が山積みしている避難キャンプ地にさらなる追い討ちをかけています。

ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース・アッカーマン代表は、被災者がもっとしっかりとした家に住めるよう、支援することが非常に重要であると話しました。また、先週の激しい嵐によって、避難キャンプのテントで生活している被災者たちが大きな打撃を受けたことから分かるように、彼らは依然として大きな危険にさらされていると指摘しました。

「9ヵ月前、被災者たちは自宅を失いました。そして、数日前、多くの人々が避難テントを失ったのです。」グルロース・アッカーマン代表は話します。「もし、もう一度ハリケーンに襲われたら・・・。また同じようにテントを失うことになるでしょう。こうした人々のために、もっと丈夫な屋根の下で生活できるように支援することを最優先に考えるべきだと思います。」

コミュニティに戻るために

こうした緊急の課題を抱える中、ユニセフは、パートナーと共に、収入を生み出すための長期プロジェクトを展開しています。このプロジェクトは、経済活動を刺激し、震災に見舞われた人々の経済的な自立を助長する目的で実施されています。

レーク事務局長は、アクラのような避難キャンプ地で、子どもたちが教育、保健ケア、その他の必要不可欠なサービスを受けることができるよう、人道支援団体による活動が今後も必要であると述べました。しかしながら一方で、「私たちが展開する支援活動は、被災者たちが再びコミュニティに戻り、生活を立て直すための支援活動と合わせて行う必要があります。たとえ、以前は自宅をもっていなかった人々でも同様です。いつまでも避難民キャンプにはいられないのです。」と、訴えました。

ジャント・ガラネさんは、家族を養うため、アクラ避難キャンプの臨時の屋台で、揚げパンを売っています。ジャント・ガラネさんは、ハイチにより良い日々が訪れることを待ちわびていると話しました。「家族で住むための家とお店を開くためのお金がほしいわ。」

ユニセフは、こうした全ての人々の希望が現実となるべく支援を続けています。