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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第59報
新学期が始まったハイチ

【2010年10月5日 ハイチ発】

© UNICEF video
新学期の初日、教室でユニセフが配布したノートを使う女の子。

震災が起きた今年1月から、ハイチの首都ポルトープランスに設置されたプリマチュレ避難キャンプでは、避難を余儀なくされている数千人もの人々が、毎日代わり映えのない日々を送っています。しかしこの日は、子どもたちには、いつもとは違う特別な日でした。学校が再開されたのです。

地震で自宅が倒壊。父親を亡くしてから、ジュディリンちゃん(6歳)は、プリマチュレ避難キャンプの傾斜のある泥だらけの場所に立てられた避難テントで、お母さん、お兄さん、そして従兄弟たちと一緒に暮らしています。そんなジュディリンちゃんにとっても、昨日は、人生の新たなスタートとなる大事な日になりました。この日の朝、彼女は、生まれて初めて学校に登校したのです。

「学校が再開されたことは、象徴的な出来事でした。」「学校は、ハイチの未来です。支援を寄せてくださった世界中の多くの方々、そして、私たちと一緒にこの“試練”に立ち向かい、支援活動を展開してきたパートナー団体のみなさんが、その総力で成し遂げたことです。本当に嬉しく思います。」ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース・アッカーマン代表はこう話しました。

学校の再建

ユニセフとハイチ教育省は、学校の再開を記念する式典を、セリーヌ・リラボイス学校で開催しました。ユニセフの支援を受け、この日に始まった新学期に向け、24時間体制で校舎の修復作業が行われ、新たに4つの教室が設置されたのです。

式典に参加したジョエル・デスロジャーズハイチ教育大臣は、次のように述べました。「ハイチ政府は、今年中に、震災以前に学校に通っていた子どもたちを学校に戻すことだけでなく、全ての子どもを学校に通わせることを目標にしています。」「全ての子どもたちが学校に通わなければなりません。」

「学校に行こう」キャンペーン
© UNICEF video
ポルトープランスの子どもたちに“学校キット”を手渡すユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース・アッカーマン代表(中央)とジョエル・デスロジャーズ ハイチ教育大臣(左)。

式典に参加したユニセフのアッカーマン代表は、この日に始まったハイチの新学期をもって、「学校に行こう」キャンペーンを開始したことを発表しました。ユニセフは、ハイチ政府や保護者らと協力して、震災発生前に既に学校に通っていた子どもたちだけでなく、学校に通ったことのない子どもたちも学校に通えるよう支援しています。「ですから、このキャンペーンは、『学校に戻ろう』ではなく『学校に行こう』キャンペーンなのです。」(アッカーマン代表)

学校に通うこと。それは、“勉強の機会を得ること”以上の意味を持っているのです。

セリーヌ・リラボイス学校のヘンリエッテ・モイスセット校長先生は、次のように話します。「親を亡くした子どもたちもいます。」「子どもたちは、心に傷を負っています。でも学校では、子どもたちに希望を与え、子どもたちと話して、心の傷を癒す手助けとなる環境を整えるよう努力しています。こうした子どもたちは、本当に大変な状況に置かれているのです。」

“大事に育てる”環境

子どもたちを大切に育てる安全な教育環境を確保することは、震災後のハイチの最優先課題のひとつです。セリーヌ・リラボイス学校では、ハイチ政府によって、全ての児童・生徒に給食が提供されています。ユニセフは、子どもと先生方のための支援の一環として、教材などがセットになった“学校キット”を提供。年内に、ハイチ全土の学校約2,000校に、合計約72万セットの学校キットが配布される予定です。

多くの子どもたちと同じように、ジュディリンちゃんは、学校に初めて登校した日、最初は少し雰囲気になじめないようでした。しかし、学校の安心できる環境にすぐに居心地のよさを感じたようでした。継続的な支援によって、ジュディリンちゃんをはじめ、数千人の子どもたちが、基礎教育を修了し、より良い未来を築くことが期待されています。