HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > ハイチ地震緊急・復興支援募金
財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第61報
コレラ感染が拡大

【2010年10月22日 ハイチ発】

© UNICEF/NYHQ2010-2095/Dormino
アルティボニットにあるサン・マルク病院で、急性下痢性疾患に苦しむ赤ちゃんを抱く女性。

22日までの一週間に報告された急性下痢性疾患による死者は135人以上。ハイチで、コレラ大量感染の拡大への懸念が高まっています。

脱水症状や嘔吐、腹痛といった様々な下痢性疾患に付随する症状を訴え入院した人は1,500人。コレラと確認された症例は、首都ポルトープランスから北へ2キロほど離れたアルティボニット川周辺に集中しています。

ユニセフ・ハイチ事務所の保健事業担当チーフで医師のジーン・クロード・ムバラマは、状況は急を要し、サン・マルクの地元の病院は、多くの患者に対応しきれていない状況だと話しました。

「この場所の医師や看護師は、この種の病気を熟知しているわけではないのです。」(ムバラマ医師) このため、ユニセフは、今利用可能な資金をかき集め、政府や現地のパートナー団体と協力して、患者への治療が出来る限り早く行えるよう、努力を続けています。

子どもたちがコレラの犠牲に

子どもたちは、特に危険な状況に追い込まれています。病院に搬送されてきた患者の年齢は記録されていませんが、ムバラマ医師は、最近死亡が確認された患者の30パーセントは子どもたちだったと推測しています。

「子どもたちは、とても、とても、とてもぎりぎりの状態で病院に連れてこられます。」「病院にやってきたときには、子どもたちは、もう死に掛けている状態なのです。」(ムバラマ医師)

アルティボニット保健当局によると、(これまで確認された症例は)症状が出始めて、わずか3〜4時間の間に命を落としています。ムバラマ医師は、死亡者の80パーセントは、自宅で命を落としていて、症状が深刻になる前に病院に辿り着いた人々の生存率は、はるかに高いと見ています。

不衛生な環境
© UNICEF/NYHQ2010-2096/Dormino
アルティボニットにあるサン・マルク病院で急性下痢性疾患に苦しむ患者。

今回コレラが発生した原因は、まだ明らかになっていません。しかしながら、アルティボニット川の水が汚染された恐れがあり、ハイチ政府は、現在、水質調査を行っています。

今回のコレラの発生は、今のところ1月にハイチを襲った大地震がその直接の引き金になったとは考えられていません。しかし、被災者が密集して暮らしている生活環境や、人々の移動は、不衛生な環境を生みます。これが、コレラの発生の最大の原因なのです。

「この地域は、震災の影響を受けていない地域でした」と、ムバラマ医師は話します。「しかし、被災地から多くの人々が、アルティボニット県に避難してきています。」

安全な飲料水の確保
急性下痢性疾患に苦しむハイチの男の子。

さらなる感染の拡大を防ぐため、ユニセフは、パートナー団体と共に、浄水剤、抗生剤、下痢性疾患の治療用キット、経口補水塩を配布。現在、追加の支援物資を手配しています。

コレラは、汚染された水や食べ物の摂取を通じて発症し、多くの場合、衛生施設(トイレ)の欠如や、不適切な衛生習慣が原因で、感染が拡大します。衛生的なトイレや手洗い場の設置、安全な飲料水が確保できれば、その拡大を食い止めることができます。しかし、10ヵ月前に起きた壊滅的な震災以降、現在も緊急・復興活動が続いているハイチでは、それは容易なことではありません。