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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第64報
震災とコレラとハリケーン:24時間体制で続くユニセフの支援活動

【2010年11月5日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UNICEF/NYHQ2010-2414/Dormino
ポルトープランスから30キロ南東に離れた場所にあるハリケーン「トーマス」の直撃を受けた地域で、浸水した道路をわたる人々。

今年1月、大地震による壊滅的な被害に見舞われたハイチは、ここ2週間以上にわたり、コレラの流行への対応に追われていました。そして今、この国の中で最も弱い立場に置かれた子どもたちは、ハリケーン「トーマス」という新たな脅威に脅かされています。

「ハイチの子どもたちは、次から次に災害に見舞われています。」ユニセフのトレイラー・クルシャン水と衛生事業担当官は、4日、こう話しました。現在、クルシャン水と衛生担当官は、ポルトープランス北部のコレラが流行しているアルティボニット地域とその他の首都郊外の地域で、ハリケーン上陸に備えるべく活動しています。

ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース・アッカーマン代表は、震災によって孤児となったり、家族と離れ離れになった子どもたちについて、ユニセフ本部に次のように報告しました。「避難センターにいる家族のいない子どもたちのことが、最も心配です。」「子どもたちを安全な場所に避難させることも考えています。」「こうした子どもたちは、最も貧しい人々の中でも、本当に、最も貧しいのです。」

洪水と土砂崩れの危険
© UNICEF/NYHQ2010-2423/Dormino
ポルトープランスの避難キャンプに立つ子どもたち。背後にはハリケーンの雲が迫っている。

震災により現在も避難テントでの生活を続けている人々の多いポルトープランスでは、ハリケーンによる直接的な被害が懸念されていました。結局、直撃の被害は避けられましたが、ハリケーンがもたらした豪雨や強風が、人口密集地帯に洪水と土砂崩れをもたらしたり、避難テントを破損させたり吹き飛ばしたりすることが懸念されています。

「支援の届き難い町や村で、洪水が発生することを懸念しています。」クルシャン担当官はこう話しました。

ハリケーンの影響を受けていなくても、アルティボニットの農村地域をはじめとする地域に支援物資を届けることは、既に困難な状況です。ユニセフは、ハリケーン上陸の情報を得るとすぐに、新たな災害に備えて、支援が届きにくく孤立する危険のある地域に、追加の保健、栄養、水と衛生面での支援と衛生物資を提供しました。

「ユニセフをはじめとする人道支援団体は、今、震災やコレラの流行、そして懸念されているハリケーンによる豪雨と洪水被害に対する対策など、複合的な緊急事態への対応に追われています。」(クルシャン担当官)

最悪の事態に備えて
© UNICEF/NYHQ2010-2417/Dormino
ポルトープランスの空港に到着したユニセフの緊急医療支援物資。

ユニセフは、全米保健機構(PAHO)、世界保健機関(WHO)、世界食糧計画(WFP)、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)とともに、ハイチ政府が、最悪の事態に備えて計画を立て準備を進められるよう支援しています。最悪の場合、上下水道と飲料水の給水拠点が洪水によって汚染され、まだ発生が確認されていない地域でコレラが流行することなどが予想されています。

ユニセフは、パートナー団体と共にコレラの流行を食い止めるため24時間体制で活動を続けていますが、コレラによる死亡者は、これまでに440人を超えました。現在6,700人以上が入院しています。

「コレラの流行が拡大する可能性が、非常に高まっています。」「我々は大きな危険に直面しているのです。」(アッカーマン代表)

コレラ対策
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ハリケーン「トーマス」が接近する中、テントを補強する女性(ポルトープランスの避難キャンプで)。

保健センターに救命用の医療資材を支援するなど、ユニセフは、パートナー団体と協力して、アルティボニットでのコレラ対策に取り組んでいます。また、アルティボニットの保健センターや学校に安全な飲み水をいち早く提供するため、ハイチ南部の企業から浄水用液体塩素を調達するなどの策を講じています。

コレラが流行している地域に暮らす約8万8,000人の人々には、浄水剤や石けん、経口補水塩を配布。この他にも、手洗いの実演や携帯メールを通じてコレラ予防のメッセージを発信し、衛生習慣を促進するためのキャンペーン活動も展開しています。