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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第67報
コレラから人々の命を守る広報・啓発キャンペーン

【2010年11月23日 ハイチ発】

© UNICEF/NYHQ2010-2457/Dormino
ハイチのポルトープランスの近隣地域でコレラ予防のための啓発ポスターを読む子どもたち。ユニセフは、この地域で現地NGOと協力して浄水剤も配布しています。

コレラが猛威を振うハイチ。現地の病院は、増大する患者への対応に追われています。ユニセフは、パートナー団体と共に、コレラの感染拡大を食い止めるべく広報・啓発キャンペーンを展開しています。

首都全域の全ての保健センターや診療所が、あらゆる年齢層の患者で溢れかえっている状況です。医療スタッフは、消毒作業と、脱水症状に陥っているコレラ患者に経口補水塩を数分おきに与えるなど、24時間体制で対応しています。

コレラは、深刻な下痢性疾患から急性脱水症状を引き起こす感染力の強い伝染病です。もし何の治療も施されなければ、患者は数時間以内に死亡する可能性もあります。

命を守る早期の治療

現在までに、約5万人が医療機関を訪れています。コレラが流行し始めた一ヵ月以上前からこれまでに、コレラ感染が確認されたのは約2万件。死者は約1,200人に上るものとみられていますが、保健専門家からは、実際の感染者数はさらに多いのではと懸念する声が上っています。

ゲスキオ保健センター内にユニセフの支援で運営せれている緊急コレラ治療センター(CTC)の外では、治療を受けている患者の家族が、不安な表情で待っています。

こうした保健施設に連れて行く前に、患者に適切な処置を施すこと。それが、ユニセフが展開している広報・啓発キャンペーンの重要なメッセージです。

「コレラの疑いのある症状が現れたら、CTCや病院に向かう途中でもすぐに経口補水塩を与えてください。『時間を無駄にしないで』というのが今伝えたいメッセージです。」「これが、コレラによる生死を左右するのです。」 ユニセフのノミレイレ・トリビエ保健専門官医師はこう話します。

広報・啓発キャンペーン
© UNICEF/NYHQ2010-2453/Dormino
ハイチの首都ポルトープランス近郊の給水所の壁に、コレラ予防のポスターを貼る男性たち。

シテ・レターネルはじめ、首都ポルトープランスの各コミュニティでは、地域の保健チームが、コレラの脅威から自らを守る方法を教えるポスターを、町のあちこちに掲示して回っています。また、この保健チームは、公共の給水所で無料で浄水剤を配布し、コレラに関する情報も人々に伝えています。

こうした地域単位での活動が進められる一方、ユニセフは、保健省や地元NGOと協力し、ラジオやテレビ、携帯メールを通じて、コレラ予防のメッセージを発信しています。

この広報・啓発キャンペーンは、コレラの予防方法や症状が現れた場合の対処方法を、少なくとも一世帯に一人は知っている状況をつくることを目指して続けられています。こうした活動は、コミュニティの集まりや保健センター、学校、市場でも行われている他、家庭訪問という形や、地元のコミュニティで子どもたちが遊んでいるようなところでも行われています。

キャンペーンの効果
© UNICEF/NYHQ2010-2459/Dormino
ハイチの首都ポルトープランスの近隣で、テントの外で体を洗う男の子。

シテ・レターネルでは、何万世帯もの人々が、水道も適切な衛生施設(トイレ)もない中、わずかなスペースにぎゅうぎゅうになって暮らしています。大量の生ゴミや汚物の山がコレラの温床となっているのです。この疾患の蔓延を食い止めるために、この地域で展開されているような活動を他の地域にも拡大していくことが、ユニセフの緊急課題です。

このキャンペーンは、シテ・レターネルに暮らす幼い子どもの生活に、実際に良い影響を与え始めています。バセレちゃん(11歳)も、そうした恩恵を受けた子どもたちの一人です。バセレちゃんは、ハイチに暮らすほかの子どもたちと同様、水を汲むためには、コミュニティの給水所に行かなければなりません。バセレちゃんは、コレラが流行していることは知っていましたが、自分の身を守る術についてはほとんど知りませんでした。しかし、友達と一緒に新しいポスターを目にして、その方法を知ったのです。このポスターは、現在、コミュニティの至る所に掲示してあります。

「火がちゃんと通った食べ物を食べて、浄化されたきれいな水を飲んで、よく手を洗わないとだめなんだよ。」バセルちゃんは話します。

緊急に求められる国際社会からの支援

専門家らは、コレラ流行はまだピークに達しておらず、年末に向けて、更に患者数が増え続ける可能性もあると見て警戒しています。状況の悪化を受け、国連は、先週新たな緊急アピールを発表。国際社会に、1億6,400万米ドルの支援を要請しました。

「これまで寄せられた皆さんからの温かいご寄付やお気持ちに非常に感謝しております。」「しかしながら、これまでにお寄せいただいた金額は、現地で必要とされる金額の10パーセントにも満たないのです。」(ナイジェル・フィッシャー国連人道調整官)