財団法人日本ユニセフ協会




【新着情報:2004-1-9】


イラン南東部地震(第6報)

国連 イラン南東部地震緊急合同アピールを発表
−今後3ヶ月で33億円が必要−

image  1月8日(木)、国連は、1月3〜5日にかけて行われていた国連合同調査ミッションの報告等を受け、イラン南東部地震の被害に関するこれまでの活動成果と今後3ヶ月間の復興支援計画を発表しました。

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≪被害状況とこれまでの緊急救援活動≫

 12月26日未明にイラン南東部を襲った大地震は、およそ3万人の命を奪い、家屋や主要な建造物の85%を倒壊させるなど大きな被害をもたらし、2500年の歴史を持つバムの町に壊滅的な打撃を与えました。被災地の救援活動に派遣された救援部隊は、44カ国からおよそ1,600名にのぼり、被災者の救出、負傷者の搬送や手当て、家屋を失った人々の保護などに尽力しました。国連は、地震後数時間以内にUNDAC(国連災害 評価調整)のチームを現地に派遣し、イラン政府との協力のもと、これらの救援活動の調整や被害状況の調査にあたりました。

被害状況

死亡者数 30,000人
負傷者数 30,000人
孤児 両親を亡くした子ども
   どちらかの親を亡くした子ども
1,800人
5,000人
倒壊した家屋 25,000軒(全体の86%)
家を失った人 45,000人
親戚に身を寄せている人(20,000人)、病院に収容されている人(10,000人)を除く
倒壊した学校 バム市内93校
近隣地域38
倒壊した保健施設 3病院
24の保健センター
95の地域保健施設
この地震で何らかの影響を受けた人々
(失業、生活上の困難等)
200,000人

 この他にも、ほとんどの公共施設や電力、水といった基本インフラがダメージを受けているほか、保健員をはじめとする多くの人材が失われたり行方不明になっています。

緊急救援活動

 イラン政府は、地震後すぐさま緊急の救援活動を開始しました。救出活動用に調達された725台の車、2機のヘリコプターによって支援物資が運び込まれ、また12,000人の重傷者が病院に運ばれました。さらに近くの都市ケルマンを拠点に、電力や給水、通信網の復旧が急ピッチで進められています。
 国連は、地震当日すぐに調査チームを派遣し、被害状況の確認や救援活動の調整をはじめました。これを受け、ユニセフは28日、第一陣として2機の飛行機を送り下記を含む40トン以上の支援物資を届けました。

  • 12万人をカバーすることができる救急セットと保健関連の資材
  • 150人の赤ちゃんの出産を支援するのに十分な量の出産用キット
  • 14,000枚の毛布(7,600枚の乳児用毛布を含む)
  • 安全な飲み水を確保するための浄水剤625,000錠
  • コミュニティ用の水タンク16台(1台は5,000リットル用)
  • 簡易発電機3台
  • テント、防水用シート、ロープ、その他のシェルター用物資

≪復興計画≫

 地震発生から2週間が過ぎ、支援は緊急の救出活動から、バムの町と人々の日常生活を取り戻すための復興支援に移行していかなければなりません。国連は、これまでの救援活動の成果や被災地の現状に基づき、復興支援の初期段階として今後3ヶ月間の支援計画を策定しました。この計画の実行に必要な資金として、31,316,907米ドル(約33億1,960万円)が見積もられています。

支援分野と必要資金

支援分野 担当機関 必要資金(US$)
食料 WFP 2,587,237
水・衛生環境 UNICEF 5,760,000
保健・栄養 WHO/UNICEF 6,395,000
子どもの保護 UNICEF 3,700,560
教育 UNICEF 3,950,000
経済復興・再建・復旧 UNDP 5,882,500
シェルター UNDP 2,580,000
文化遺産 UNESCO 200,000
調整 UN/OCHA 261,610
合計   31,316,907

ユニセフ担当分野の支援計画

ユニセフは、①水と衛生環境、②保健・栄養、③子どもの保護、④教育の分野でリーダーシップを取り活動しています。

① 水と衛生環境
 バム市は、従来11基の掘り抜き井戸が市民の水源となっています。うち2基が地震によって使用不可能になったものの、9基は現在も問題なく使える状態にあります。1月3日までにおよそ60%の給水網が復旧され、残りの地域には60ヶ所に給水所が設けられ、80台の給水車が水を供給しています。
 ユニセフは、今後240,000人の被災者を対象に、下記の事業を柱にした衛生環境の整備を実施していきます。

  • トイレなど衛生施設の建設
  • 給水施設の復旧
  • 水質検査資材、浄水剤の調達
  • 公衆衛生の普及

② 保健・栄養
 保健施設の倒壊や多くの保健員等専門家が死亡・負傷していることが、深刻な問題になっています。被災者の生命維持のための緊急的な医療支援と同時に、ユニセフは子どもたちの健康と栄養改善の事業を担います。

  • 子どもたちの健康状況の把握
  • 栄養補助食(UNIMIX等)の配布
  • 子どもの栄養状態のモニタリング及び専門家の養成
  • 予防接種事業の推進

③ 子どもの保護
 イラン福祉省の報告では、今回の地震によっておよそ1,800人が両親を失い、また5,000人がどちらかの親を失っています。それ以外にも、家族や家を失った子ども、家族と離れ離れになった子どもなど、地震のショックでトラウマを抱えた子どもは数えきれません。
 今後、子どもたちへの心理的ケアや保護、家族との再開が非常に重要な課題です。ユニセフは、下記の事業を中心に活動します。

  • 就学前の子どもたちに対する心理ケア
  • 孤児となった子ども6,800人の心理ケアや生活支援
  • 保護者がバム市外に避難した子どもたちの保護とケア
  • 家族と離れ離れになった子どもたちの身元確認、登録、家族との再会

④ 教育
 バムとその周辺地域にあった131の学校はほとんどが倒壊し、地震後1週間の時点で18,000〜20,000人の子どもたちが教育を必要としていることが確認されました。そのうち2,000〜3,000人は、家や家族を失うなど地震による大きなショックを受けています。 教育の場は、子どもたちが安心できる場所を提供し、日常の感覚を取り戻すことに大きな効果があります。ユニセフは、教育事業も復興支援の重要な柱と考え、以下の事業を展開します。

  • 安全な場所の選定と臨時の教育スペースの確保
  • 子どもたちと先生のための教育資材(スクール・イン・ア・ボックス)の提供
  • レクリエーションのための物資調達
  • 教師への支援、トレーニング
  • 子どもたちの心理的ケア