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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第40報
メジャーリーグベースボールが野球用具を被災地の子どもたちへ

【2011年4月21日 宮城発】

21日、日本ユニセフ協会は、メジャーリーグ ベースボール(MLB)と協力して、閖上(ゆりあげ)小学校、中学校の子どもたちに野球用具一式を届けました。これは、宮城県名取市教育委員会教育部より、4月21日に不二が丘小学校で始業式を迎える閖上小学校のスポーツ少年団と閖上中学校野球部の子どもたちの野球用具が津波により全て流されてしまったとの連絡をうけ、実現したものです。

名取市立閖上小学校と中学校は、震災による津波の影響で、校舎は壊滅的な被害を受けました。そのため、21日、名取市内の高台に位置する不二が丘小学校の体育館で、閖上小学校と中学校の始業式が行われました。当面の間、閖上小学校と中学校の子どもたちは、不二が丘小学校の教室を借りて、授業が行われることになっています。

© 日本ユニセフ協会

始めに、中学校の始業式が行われました。始業式終了後、先生から「メジャーリーグからプレゼントがあります」とのアナウンスが。体育館の入り口が開かれ、野球用具を携えたメジャーリーグベースボール(MLB)と、日本ユニセフ協会のスタッフが入場すると、子どもたちと先生からはどよめきと歓声があがりました。

メジャーリーグ ベースボール アジア ヴァイス プレジデント ジム・スモール氏は、「日本とアメリカは海を隔て離れているけれど、野球という素晴らしいスポーツを通じて一つになれる。僕も子どものころはアメリカで野球をしていました。野球のいいところは国が違ってもルールは同じ。僕と君たちは同じ野球をしているんです。」「野球で大事なのは、チームプレーと忍耐、お互いを助け支え合う心。それは今の状況でも同じだと思います。」「がんばろう東北!」と、メジャーリーグ ベースボールを代表して挨拶しました。

© 日本ユニセフ協会

贈呈式では、野球部の主将が児童・生徒を代表して野球道具を受け取る予定となっていましたが、子どもたちの前に並べられた野球道具を見た学校の先生方の計らいで、「野球部は全員前へ!」と号令がかけられ、野球部(新2,3年生)が前に整列。制服も津波に流されてしまったため、子どもたちは私服姿でした。

ジム・スモール氏は、野球部の一人ひとりに「ポジションは?」と声をかけながら帽子を手渡しました。中学校の野球部員は手の中にある帽子とグローブから目を離さず、心からうれしそうな、はにかんだ笑顔を見せていました。

野球部以外の子どもたちの中には、「野球部に入ればよかった・・・」と言う子もいましたが、日本ユニセフ協会のスタッフから、「みんなの分もMLBからプレゼントがあるよ」と言われると、その男の子はとびあがってガッツポーズを見せました。

© 日本ユニセフ協会
お礼の言葉を述べる閖上中学校野球部の大橋淳貴主将。

中学校野球部の大橋淳貴主将が代表でお礼の言葉を述べました。初めは、緊張のあまり言葉がでず、右手のマイクを握りしめながら、左手に持っていたグローブを落としてしまいましたが、グローブを拾い上げると顔を上げ、しっかりとした口調で話し始めました。

「グローブなど全部流されてしまったので、このような野球道具をもらえてとても嬉しいです。場所が見つかったら、すぐにでもプレーしたい。感謝の気持ちを忘れずにがんばっていきたいと思います。」
この挨拶の直後、先生から「サンキューって言って!」と声がかかると、会場は笑いに包まれ、和やかな雰囲気が広がりました。

始業式後、退場していく子どもや先生から「ありがとうございます!サンキュー!」等と何度も声がかけられました。閖上中学校の高橋澄夫校長先生は、「子どもが本当に喜んでいる。ありがとうございます」と、ジム・スモール氏にお礼のお言葉をかけていらっしゃいました。

閖上小学校

© 日本ユニセフ協会
閖上小学校の子どもたちに帽子を手渡すメジャーリーグ ベースボール アジア ヴァイス プレジデント ジム・スモール氏。

続いて、閖上小学校の始業式が行われました。この小学校には、少年野球チーム「閖上ヤンキース」があります。ジム・スモール氏は、挨拶の後、チームのキャプテンにヤンキースの帽子を手渡しました。「閖上ヤンキースはニューヨーク・ヤンキースよりも強い!」と声をかけると、子どもたちは大きな笑顔を見せました。

子どもたちは、帽子をかぶり、手にはグローブをはめ、「新しいグローブのにおいがする!」と大はしゃぎ。体育館の中を元気に駆け回っていました。

平山和紀閖上小学校長は、「子ども達の顔がぱっと明るくなった。ありがとうございます」と目に涙を浮かべて日本ユニセフ協会スタッフに御礼の言葉をかけてくださいました。

日本ユニセフ協会は、子どもたちが子どもらしい環境に一日も早く戻れるように、「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)キャンペーン」の支援を実施しています。その一環として、4月16日、日本ユニセフ協会の長年のパートナーみやぎ生協が気仙沼、石巻、七ヶ浜、名取各市の合計41校、3,459名分の学校用品を配布。同日、津波で全壊した名取市の閖上(ゆりあげ)小学校と閖上中学校が、同市内の不二が丘小学校に移転して再開するにあたり必要な物資を届けています。

メジャーリーグベースボールと日本ユニセフ協会の連携

2011年3月28日、米ニューヨークにおいて、メジャーリーグベースボール(MLB)とメジャーリーグベースボール選手会は、東日本大震災による甚大な被害への支援策として、50万米ドルの寄付を日本ユニセフ協会に贈ること、また2011年シーズンの開幕ウィークを皮切りに、球場内での募金活動などを通じて野球ファンへの協力を呼びかけていくことにも合意。また東京に拠点を置くMLB Japanは、日本ユニセフ協会と協力して被災地の子どもに野球用具を贈ることを決定しました。MLBと日本ユニセフ協会は、スポーツを通して、被災地の子どもに夢を届けるための支援に取り組んでいます。

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
福島 4月11日 1536本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 レクリエーションキット
補充素材
4月12日 60セット
宮城 ミニカー 4月12日 約1200 タカラトミー
相模原* 4月12日 12288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 プレイマット 4月13日 2種
各80枚
IKEA
宮城 お絵かきセット 4月13日 60セット IKEA
岩手 いす(3〜5歳) 4月14日 75脚  
岩手 テーブル(6人かけ) 4月14日 11台  
岩手 座卓 4月14日 9台  
岩手 小・中学生用ノート・文具セット 4月15日 (16,700セット)    
宮城 PC183台 4月18
-21日
(61ヶ所×3台)   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布
宮城 コピー・FAX複合機 4月18
-21日
57台   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布
宮城 プリンター 4月18
-21日
61台   被災した各幼・小・中・高と移転先に配布

*被災者受け入れ場所

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年4月20日午前9時現在 (広報室まとめ)