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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第70報
乳幼児検診と予防接種が本格的に再開-陸前高田市

【2011年6月6日 岩手・陸前高田発】

© 日本ユニセフ協会
震災から80日あまり。6月2日、陸前高田市で、本格的な乳幼児向け予防接種活動が再開した。

今月、日本ユニセフ協会などの支援を請け、岩手県陸前高田市で、本格的な乳幼児健診と予防接種活動が再開。6月2日、この第一弾として、MR(はしか・風疹混合)ワクチンの予防接種が実施されました。

集合時間の午後1時半前から、子どもたちとお母さん方が続々と集まりはじめた会場の米崎コミュニティセンター内県立高田病院仮設診療所。病院のスタッフのみなさんは、その対応に追われながらも、「友達に久しぶりに会えたみたいで、子どもたちがいきいきしている」と、嬉しそうに話していました。この日集まった子どもたちは43人。うち2人は、発熱や体調不良で、残念ながらこの日はワクチンの接種を見合わせざるを得ませんでしたが、41名の子どもたちが、MRの予防接種を受けました。

© 日本ユニセフ協会
待合室の様子

「友人から今回の予防接種のことを聞いて、急いで市役所に問い合わせ、予約しました。」と語るのは、娘の凛ちゃん(5歳)を連れて、この日会場に一番乗りした大和田和子さん。「その時、娘と同じ生年月日の佐々木乙羽ちゃんもきっと予防接種が必要だと思って、二人分を予約しておいたんです。予約がとれてよかった。」(大和田さん) 自宅が津波で大きな被害を受け、長い間避難所での生活を余儀なくされていた乙羽ちゃんのお母さんの千春さんも、「大和田さんが予約してくれて、今日、ここに来られました。」とほっとした様子で話していました。

© 日本ユニセフ協会
大和田美帆さんと駿汰くん(5歳)。

大和田駿汰くん(5歳)のお母さんの美帆さんは、「私、この子の母子手帳を失くしたんです。母子手帳がないと、この子がなんの予防接種を受けて、何をまだ受けていないのか、この子に何をしてあげたのか、3人子どもがいて、よく思い出せません。」「この子が生まれた日、生まれた時の体重だけしか分かりません。胸囲とか、身長とか、生まれた時間とかが分かかりませんでした。実は、真ん中のこの子の母子手帳だけが見つからなかったんです。上の子のも、下の子のも、泥の中からなんとか探し出せたのに、この子のだけが見つからなかった。市役所に行って、母子手帳を再発行してもらえて、(市役所が把握していた)駿汰の記録も戻りました。その時、この予防接種のことを教えてもらったんです。『あぁ、予防接種を受けられるんだ』って思いました」と、目に涙を浮かべながら話しました。

© 日本ユニセフ協会

陸前高田市での本格的な乳幼児健診・予防接種活動の再開にあたって、今回、予防接種を担当された小児科医の大木智春先生も、次のように語っています。「やることはいつもと一緒ですが、『ここまできたんだなぁ』と思いました。まず、ひとつ実現できれば、その次、またその次と繋がっていきます。だから、『ああ、ここまできた』って感じます。」

「ああ、ここまできました」と、当日会場を訪問した日本ユニセフ協会の職員に、目に涙を浮かべながらお礼の言葉をくださったのは、陸前高田市健康推進課の看護師の松木さん。「これも、全てユニセフさんのおかげです。ワクチンも揃えてくださって。ユニセフの支援なしには、こんなに早い段階でのMR予防接種の実施はありえませんでした。ありがとうございました」と、笑顔を見せてくれました。今回、日本ユニセフ協会の医療保健分野での支援活動の実施に協力してくださっている専門家団体の一つ、特定非営利活動法人HANDSのプログラム・オフィサー、菊池 可奈子さんも、「終了後、次回に向けての対応を皆で集まり、話し合いました。ですが、まずは第一弾を終えることができ、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。」と報告してくださいました。

今回の予防接種に来た子どもたちには、ごほうびとして『ちっちゃな図書館』の絵本をプレゼント。絵本に飛びつき無心に読んでいた子どもたち。その姿を見ていたお母さん方も、とても嬉しそうでした。(ご褒美に自分は何もあげられないので)「絵本があって助かりました」と深々と頭を下げられたお母さんもいらっしゃいました。

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4,680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10,000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9,700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1,404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7,462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1,200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
宮城 軽自動車 4月8日 3台    
宮城 サプリメント 4月上旬〜 4,000ボトル    
福島 4月11日 1,536本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 レクリエーションキット
補充素材
4月12日 60セット
宮城 ミニカー 4月12日 約1,200 タカラトミー
相模原* 4月12日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 プレイマット 4月13日 2種
各80枚
IKEA
宮城 お絵かきセット 4月13日 60セット IKEA
岩手 保育園用いす・テーブル・座卓 4月14日 いす75脚・テーブル11台・座卓9台   被災した各幼・小・中・高と移転先へ
宮城 原付バイク 4月15日 5台    
岩手 小・中学生用ノート・文具セット 4月15日 (16,700セット)    
宮城 PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) 4月18〜21日     各幼・小・中・高と移転先へ
福島 移動式黒板 4月21日 10台    
福島 仮設トイレ 4月22日 20基    
福島 放射能量測定器 4月28日 14台   相馬市各学校へ
岩手 更衣室・授乳用仕切りシステム 4月29日 21セット    
埼玉* 牛乳 4月末〜     加須市双葉町避難所
埼玉* ヨーグルト 5月初旬〜   ダノンジャパン(株) 加須市双葉町避難所
岩手 クーピー(120セット)/絵の具(240セット) 5月13日      
岩手 卓上電気スタンド 5月14日 15台    
岩手 文具セット 5月16日 840セット    
福島 ロッカー 5月16日 22セット   南相馬市教育委員会へ
福島 PC 5月16日 1台   石川町教育委員会
宮城 コピー機(2台)/PC(2台)、プリンター(2台) 5月     東松島市保育所/亘理町保育所2ヶ所)
岩手 受水槽、浄化槽、給水タンク 5月工事      
宮城 ソーラー式ワクチン冷蔵庫 5月18日      
福島 扇風機 5月30日 112台   南相馬市教育委員会
福島 マスク 5月30日 10万枚   南相馬市教育委員会

ちっちゃな図書館送付状況:約13万冊が650箇所以上に発送済み。(6月6日現在)
福島「おもいっきり!そとあそび」プロジェクトの参加児童数(予定含む):約5600名(5月26日現在)

*被災者受け入れ場所

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年6月1日午前9時現在 (広報室まとめ)