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財団法人日本ユニセフ協会




ミャンマー サイクロン被害第6報
  ユニセフ、子どもたちのトラウマ(心の傷)の拡大を懸念
各地に「子どもに優しい空間」を設置
 

【2008年5月12日 ニューヨーク/バンコク発】

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
川沿いのピン・サル村では、5,000人の住民がいましたが、生存者は100人だけです

ユニセフは、サイクロン「ナルギス」の被災者が集まる各地の避難所に、「子どもに優しい空間」の設置を急いでいます。

今回のサイクロンでは、多くの子どもたちが親や保護者を失ったり、家族と離れ離れになったと見られており、例えば今回甚大な被害が報告されているラプッタだけでも、ユニセフは見知らぬ人々のところに身を寄せている子どもたち24名を既に確認。肉親の発見を急いでいます。「子どもに優しい空間」は、こうした子どもたちの保護や適切なケアを提供する拠点として活用されます。

「子どもに優しい空間」はまた、仮設の小学校としての役割も期待されています。ユニセフは、新学期が始まる6月1日までに、できるだけ多くの場所で小学校(教育活動)が再開できるよう、学用品などの支援物資の準備を進めており、「子どもたちに優しい空間」は、こうした活動の拠点としても活用されるでしょう。

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
ピン・サル村、増水した川岸で支援を待つ人々。

「身体的にも精神的にも非常に困難な状況に置かれた子どもたちにとって、ほんの少しでも『日常』を取り戻すことができる時間や空間を確保することが、彼らの心のケアにとってとても重要なのです。」(ユニセフ・ミャンマー事務所 ラメッシュ・シュレシュタ代表)

ユニセフのこれまでの調査では、被災地の小学校の90%近くが何らかの被害を受けていることが確認されました。小学校3000校と児童50万人以上が支援を必要としています。ユニセフは、学校を失ってしまった子どもたちのために、今後、テントや教育資材を提供する計画。

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
ヤンゴン南部の最大被災地キャンギャンゴンで、安全かどうかわからないため池から水汲みをする少年。この池には被害者の遺体などはありませんでしたが、ユニセフは、不衛生な飲料水で子どもたちが病気にかからないように、水浄化剤をすでに300万人分配布し始めました。

サイクロンが今月3日にミャンマーを襲った直後から、ユニセフは、食糧や飲料水、医薬品、テントやビニールシートなどの緊急支援物資を配布しています。こうした自然災害が発生した直後は、安全な飲料水やトイレ設備、避難所が不足したり、不十分な栄養状態から、下痢の蔓延など、特に子どもたちの命を左右する状況が生じる危険性が高まります。

また、マラリアやデング熱など、洪水が残した水溜りで繁殖する蚊を媒介にした伝染病の発生リスクも高まります。ユニセフの水と衛生問題の専門家は、電力や下水処理システムの復興が遅れると、今後、コレラや赤痢の発生が危惧されると警鐘を発しています。

ユニセフは、ミャンマー国内に10箇所の事務所を常設。130名の常駐職員が支援活動を展開しています。