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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第27報
被災地に届くユニセフの支援物資

【2010年8月12日 パキスタン発】

© UNICEF Pakistan/2010/Sami
コペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センターから、南部の港町カラチに届けられた緊急支援物資100トンを確認するユニセフのスタッフ。

建国史上最悪と言われる大災害に見舞われているパキスタン。12日早朝、ユニセフの緊急支援物資100トンを載せた貨物機が、南部の港町カラチに到着しました。数週間にわたり、モンスーンによる豪雨と洪水の影響を受けている人々のために、この支援物資には、保健キット、栄養補助食品、助産キット、防水シートが含まれています。

こうした支援物資の一部は、パキスタン南部に位置するシンド州の最も大きな影響を受けている地域に急送される予定です。それ以外の支援物資も、パキスタン全土の支援を切実に求めている女性と子どもたちを優先に届けられる予定となっています。

「コペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センターから、私たちが支援活動を展開している洪水被災地に支援物資が届けられました。」ユニセフ・パキスタン現地事務所シンド出張所のアンドロ・シラカジェ所長はこのように話します。

「これが、緊急支援物資の第一便です。数日以内に、追加の支援物資が届く予定です。」シラカジェ代表はさらに続けます。「ここでの主要な倉庫の一つに保管されていた備蓄品が、洪水で流されてしまったので、今日届けられた物資は、緊急に必要とされていたものでした。」

アフガニスタンからの支援
© UNICEF Pakistan/2010/Sami
貨物機から降ろされるカラチに届けられた支援物資。

また、ユニセフの支援によって、アフガニスタン政府も、近隣するパキスタンの、洪水被害に見舞われた地域に支援物資を届けました。高たんぱくビスケット、下痢性疾患を防ぐ経口補水塩等を含むユニセフの支援物資約40トンが、アフガニスタンからパキスタンの被災地に輸送されたのです。

パキスタンへの支援は、ユニセフによるアフガニスタンでの緊急支援活動を妨げるものではないと、ユニセフ・アフガニスタン事務所のピーター・クローリー代表は指摘します。

「ここには十分な支援物資がありますし、アフガニスタンでの支援活動に支障がないよう配慮しています。」クローリー代表はこう説明しました。「また数週間以内には、更なる備蓄品と支援物資がアフガニスタンに到着する予定です。私たちは、アフガニスタンのニーズを満たし、また、パキスタンの人々への支援活動を手助けすることに自信を持って取り組んでいます。」

必要な緊急支援物資
© UNICEF Pakistan/2010/Zak
パキスタン北西部にある学校で行われた、保健と衛生に関する指導を行う集まりの中で、配られた冊子を読む女性。

ユニセフは、600万人の子どもたちがパキスタンを襲った洪水の影響を受け、そのうち約270万人は、緊急に救命支援が必要な状態であると推定しています。

国連の推計によると、この洪水の被災者は、約1400万人に上ります。現在までに、数十万人の被災者に人道支援が届きはじめていますが、数百万人もの人々が、避難所、食糧、保健ケアを緊急に求めている状況です。今後数日間のうちに、支援を必要とする人の数は更に増加するものと懸念されています。

パキスタン政府、国連機関、NGO組織による緊急支援活動の一環として、ユニセフは、水と衛生・栄養の二つの分野での支援活動において、主導的役割を果たしています。また、ユニセフはパートナーとともに、子どもの保護や教育に関する支援活動も展開しています。

保護と支援

安全な飲料水や保健ケア、衛生に関する人道支援活動が、迅速かつ十分に行えない場合、洪水被災地では、水を媒介とする疾患によって、二次被害が引き起こされる可能性があります。また、十分な栄養面での支援がない中では、食糧不足が懸念されています。

人々の生活を立て直すためには、長期にわたる農村への支援が必要不可欠です。多くの地域で、洪水により、農作物が被害を受けました。

被災者の60パーセント近くは、こうした厳しい状況下で虐待や性的搾取の被害に遭いやすい、弱い立場である女性と子どもたちです。そのため、こうした人々の保護と心理社会的な支援が求められています。子どもに優しい空間やレクリエーション活動、避難キャンプでの生活を強いられている子どもたちへの教育の提供のほか、孤児や家族と離れ離れになった子どもたちに避難所を提供することが緊急に必要です。