HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > ソロモン諸島 地域緊急支援2007/5/1
財団法人日本ユニセフ協会




ソロモン地震・津波 第8報
ソロモン地震・津波発生から1カ月
ユニセフ、人道支援と初期の復興支援活動資金として130万米ドルを要請

約半数の保健所が崩壊。学校は壊滅的な被害を受け、何千もの子どもたちに影響を与えている。

【2007年5月1日】

© UNICEF Fiji/2007/McCauley
ギゾの国内避難民キャンプ内にある子どもに優しい空間

2007年4月2日に南太平洋ソロモン諸島を襲った巨大地震・津波から一カ月。ユニセフは、発生直後から現地にスタッフを派遣し、緊急支援および初期段階の復興支援活動を展開しています。ユニセフの活動は主に、保健、栄養、水と衛生、教育、子どもの保護に焦点をあて、またユニセフが緊急事態下の子どもたちに対して通常行っている支援活動および現地調査に基づいた子どもと女性のニーズに応じて支援が行われています。

ギゾ、ラノンガ、ベララベラ、チョイセル州の沿岸南部の各地、シンボ、ショートランド、ムンダ、コロンバンガラ島に住む推定10,276人(うち、18歳未満の子どもは5,200人)が地震・津波により直接の被害を受けました。多くの家族は家屋だけでなく、生活手段(漁業、野菜農園)をも失い、国内避難民として島内部の130もの地域にばらばらに移り住んだり、避難民キャンプでの生活を強いられています。彼らは地震・津波が起こったときに着ていた服以外すべての持ち物を失いました。

さらに、地震と津波は保健所を直撃し、多くが全壊もしくは大きな被害を受け、何千もの人びとが基礎的な保健ケアを受けられなくなっています。また学校も大打撃を受け、少なくとも26の学校が全壊もしくは津波によって押し流されてしまい、約5千人の子どもたちが学校へ行けず、何千人もの子どもたちの生活に影響を及ぼしています。

 

国内避難民のための仮設キャンプは、ごつごつした丘の斜面やジャングル地帯に設置されています。水資源のほとんどは谷底にあるため、なかなか清潔な水を手に入れることができません。また、衛生施設の不足によって、避難民が使用している水の安全性は低下し、深刻な状況にあります。

ユニセフの支援活動
© UNICEF Fiji/2007/McCauley

ユニセフは、地元および国家政府、国際機関などのさまざまな関係機関と密接に協力し、地震・津波の被害を受けたソロモン諸島の人びとに人道支援活動を行っています。ユニセフの支援活動は、主に保健、栄養、水と衛生、教育そして子どもの保護などの最優先分野に焦点をあてて行っています。しかし、遠隔地に住む被災者への支援活動は困難となっています。ソロモン諸島の各地へ遅れることなく支援物資を届け、さらにその物資を配布するには困難を極めています。というのも、被災地にはほとんど道がなく、草原にある短い臨時滑走路は一本しかないため、主な物資の輸送手段は、船外モーターつきの小型カヌーに限られています。

保健と栄養

  • 5歳未満の15,000人の子どもたちを対象にはしかの予防接種キャンペーンを実施
  • ビタミンAの投与。また、予防接種記録カードがない一歳未満の子どもには新規にカードを発行し予防接種を実施
  • 妊娠中の女性に総合ビタミン剤を提供。また、6カ月〜59カ月の子どもには総合微量栄養素を配布
  • 緊急医療キットと3万人分の医薬品を供給
  • 今後、数週間を目処に、保健医療省や関係機関を支援し、日常的な予防接種を含む基礎保健ケアサービスの建て直しを図っている。さらに、避難民キャンプの子どもたちへの家庭内でのケアを推進し、子どもと母親の栄養向上のための必要な措置をとるよう支援を行う

水と衛生

  • 地方水・衛生局を支援し、被災者への水と衛生サービス状況の調査および復旧作業を行う。また、約3千の国内避難民に対し、水・衛生サービスを供給する
  • 避難民キャンプのトイレ建設のため、1日あたり10基の新トイレの設置を目標に、実施計画の策定および初期建設を支援。
  • 石鹸、バケツ、浄水剤、建設資材(木材、道具、プラスチック)を西部地域およびチョイセル州の地方水・衛生局に提供
≪課題≫
  • 避難民キャンプへの安全な水資源の確保が困難になっている。これらのキャンプでは、給水ポイントの上の丘に設置されているため、給水ポンプが必要とされている
  • 衛生施設も給水ポイントの上に建設されているため、水質汚染の管理には十分気をつける必要がある

教育と子どもの保護

  • ユニセフは、教育省人材育成局、女性・青年・子ども省、社会福祉局(保健医療省の一部)、NGO団体「セーブ・ザ・チルドレン」、ニュージーランド開発局などと協力し、子どもたちが安心して遊び、また勉強ができる場所(いわゆる「子どもに優しい空間」)の設置を支援
  • 教育部門のワーキンググループに対して、学習場所に関する調査を行うための技術支援および子どもが安心して遊び、レクリエーションや勉強をするための仮設の「子どもに優しい空間」を設置するための資金を提供
  • 「子どもに優しい空間」では子どもたちは精神的なサポートを受けられるようにし、また、子どもを中心とした復興計画およびバック・トゥ・スクールキャンペーン(「学校へ戻ろう」キャンペーン)を展開
  • ユニセフは、レクリエーションキット、スクール・イン・ア・ボックス(学校キット)のほか、人形や楽器などの遊び道具を提供。1千人以上の子どもたちが、毎日、子どもに優しい空間を利用している。また、学校キットには3千人分の子どもたちの教材が含まれている
  • ユニセフは仮設の「子どもに優しい空間」のため、防水シートと巨大テントを調達
  • 子どもに対する搾取や虐待の危険性が高まっていることに対し、コミュニティに注意を呼びかけている