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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第21報
台風到来後、保健センターの患者数が急増
ユニセフの緊急保健キット、41万人に3カ月間の治療を可能に

【2014年1月22日 フィリピン・エスタンシア発】

生後7カ月のデマー・ジョンくんが、フィリピン中央部の町エスタンシアにある地域の保健センターに連れられてきました。母親のクラリスさん(23歳)は「この子の咳が止まりません。5日間ずっとこの調子です。だから、ここに相談しにきました」と話します。

「バランガイのダクランにある私たちの家は、ヨランダによって破壊されました。今はテント暮らしです」と、クラリスさんは、11月にこの地域を襲った台風30号(現地名:ヨランダ)について話します。

台風到来後、この地域のクリニックを訪れる患者数が急増したことを、ダルトンさんは語ります。「台風の後、色々な症状の患者が訪れました。裂傷や打撲など、あらゆる種類の外傷を負った人を治療しました。呼吸器感染症を発症している人も非常に多かったです。以前、この保健センターを訪れる患者は1日に40から50人でした。しかし台風の後の患者数は、毎日100人を超えています」

保健キット1つで、1万人を3カ月間治療

© UNICEF Video
「以前、この保健ユニットに訪れる患者は1日に40から50人でした。しかし、台風到来以来、患者数は毎日100人を超えています」と話すのは、看護師のジュディス・ダルトンさんです。

保健センターを訪れる患者の急増により、保健スタッフには大きな負担がのしかかっています。そして、診療に必要な医療備品への需要も高まるばかりです。ユニセフは、緊急保健キットの配布を通して、潜在的な備品不足を補っています。1万人に3カ月間、保健治療を施すことができるだけの設備や備品が含まれています。

パナイ島に住むおよそ3人に1人が、台風30号によって被災しました。パナイ島東北部のはるか端に位置するエスタンシアでは、118の家族がいまだに避難所のテントに身を寄せており、何千もの人々が被害を被ったままの家屋で暮らしています。ユニセフはパナイ島北部のロハス市に事務所を開設し、被災した人々を支援しています。

「医薬品が詰まった箱はユニセフからの支援によるもので、それぞれの患者に必要な薬はすべて無料で提供されています。もっとも多く使われるのは抗生物質や鎮痛剤。時には縫合の際にも使われます。傷や呼吸器感染症の治療に必要なのです」(ダルトンさん)

緊急保健キットには、包帯や聴診器、温度計、医療用ハサミなどの必要不可欠な医療備品が、一般的な緊急状況下で需要が高い薬一式とともに入っています。保健キット1つに、およそ8,000米ドルの費用がかかります。

長い道のりをへて

© UNICEF Video
緊急保健キットには、包帯や聴診器、温度計、医療用ハサミなどの必要不可欠な医療備品が、一般的な緊急状況下で需要が高い薬一式とともに入っています。

「保健キットは長い道のりをへて届けられています」と話すのは、ユニセフのアミカンビス・ハメダニザデ保健担当官です。「キットは、デンマーク・コペンハーゲンのユニセフ物資供給センターから、航空会社の協力の下、支援物資のハブ拠点があるセブ島へ空輸されました。その後、トラックや船に積まれて、セブ島から私たちのもとに届きました」

被災者数と保健センターの数をもとに、それぞれの地域への保健キットの配給数が決められます。「被災した4州にある保健センター各所に少なくとも1つずつの保健キットが配布されるよう、念入りに確認しました。ユニセフの支援によって配布された合計41の保健キットにより、41万人への3カ月間の治療が可能になりました」(ハメダニザデ保健担当官)

台風30号による被害発生のわずか2週間後の昨年11月22日にセブ島へ到着した、100トンの支援物資。この保健キットはその支援物資の一部として、スクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)キットや、一時的な学習スペースのためのテント、その他の緊急支援物資とともに届けられました。

ハメダニザデ保健担当官は、ノルウェー外務省から資金提供を受けているノルウェー難民評議会によって運営されているノルカップ(NORCAP)から出向しています。