スポーツの場で子どもの権利を推進しよう

子どもの権利とスポーツの原則

遊びやスポーツは、教育と同様に、子どもたちの人生に大きく前向きな影響力をもっています。子どもたちは遊びやスポーツを通して社会性を身につけ、他者との協力、自制心、ルールを守ること、他者を尊重することなど、多くを学びます。
日本では、学校でも多くの子どもたちが部活動などを通じてスポーツに励んでいます。
スポーツを通じて仲間との時間を楽しみたい子どもや体を動かすことが好きな子どもから、何より試合に勝つことやプロの選手になることを目指している子どもまで、スポーツをする目的はさまざまでしょう。
子どもはだれでも安心して、そして自分の望むかたちでスポーツを楽しむ権利をもっています。部活指導の地域移行などによって、子どものスポーツ活動に関わるおとなたちが増える中、スポーツの力を子どもたちの健やかな成長に最大限生かせるよう、「スポーツの場で子どもの権利を尊重する」ということについて考えてみましょう。

具体的には、以下のような点をふりかえりながらスポーツ指導に携わることが、指導者には求められます。

  • 常に子どもの最善の利益を考慮して行動する
    さまざまな活動において、子ども一人ひとりにとって最もよいことを第一に考えているだろうか。勝利至上主義に偏り、過度のトレーニングやプレッシャーを課していないだろうか。
  • 子どもの意見を尊重する
    スポーツとの関わり方、楽しみ方や試合・練習への要望などについて、子どもたちの意見は尊重されているだろうか。また子どもたちは主体的に練習に参加できているだろうか。
  • 子どもを暴力や虐待などから保護する
    スポーツの指導・練習・競技などのあらゆる過程において、子どもたちに対して身体的また精神的な暴力、子どもの尊厳を傷つける侮辱的な言葉遣い、虐待やハラスメントはないだろうか。
  • 子どものバランスのとれた成長を促進する
    スポーツのもつ本来の意義を見失わず、年齢に適した練習を通じて、子どもたちのバランスのとれた身体的・精神的成長を促進できているだろうか。休息や勉強にあてる時間を確保できているだろうか。

日本ユニセフ協会は、スポーツ界や教育界の方々とも協力し、子どものスポーツに関わる人びとの行動指針として2018年に「子どもの権利とスポーツの原則」を策定しました。この原則にはその後もスポーツ界はもとより、教育界や経済界などでも賛同の輪が広がっています。体育の授業や部活動などを通して教育現場で日々、子どもたちと接し指導にあたる先生方も、ぜひ目を通してみてください。

おとなも子どもも一緒に学ぼう
『ユニセフ こどスポ』

「子どもの権利とスポーツの原則」の子ども向けウェブサイト『ユニセフ こどスポ』では、「子どもの権利とスポーツの原則」についてのわかりやすい解説だけでなく、子どもたちが安心してスポーツを楽しみ、スポーツを通じて心身ともに健やかに成長できるための指針やヒントを提供しています。部活動の地域移行などが進む中、子どものスポーツ活動に関わるおとなも増えています。 スポーツの力を子どもたちの健やかな成長に最大限生かせるよう、先生方や指導者のみなさまも、ぜひ子どもたちと一緒に『ユニセフ こどスポ』をご活用ください!

『ユニセフ こどスポ』にはこんなコンテンツがあります

子ども版「子どもの権利とスポーツの原則」

スポーツの場面で守られるべき「子どもの権利」や、子どもたちを支える方法、配慮すべきポイントなど、10の原則をわかりやすく解説しています。

子どもの権利とスポーツの原則

「子どもの権利」チェックシート

20の質問に答えると、結果がレーダーチャートで表示され、部活動やチームの中で「子どもの権利」がどのくらい守られているか、確認することができます。

「試合の成績はよいのに、子どもたちに元気がない…」「子どもたちが楽しんでいるかどうかわからない…」、「私の指導は受け入れられている?」。たとえばこんな疑問をもっているとき、また子どもたちとのコミュニケーションとして、チェックシートを活用してみてください。

1.チェックシートの質問に答えてみよう

先生や指導者は子どもになったつもりで、子どもたちは子どもたちだけで話し合いながら、それぞれ質問に答えてみましょう。

子どもの権利チェックシート設問

2.結果について話し合ってみよう

おとなと子どもたち一緒に、特に異なる結果が出たポイントを中心に話し合ってみましょう。
子どもたちが考えていることや感じていることなど、周囲のおとなが気づけていないことが見えてくるかもしれません。

子どもの権利チェックシート回答

いっしょに考えてみよう

子どもたちが実際に経験しそうな場面を例示し、さまざまな状況で子どもたちの権利を守るためには何ができるか、解決策を考えるためのヒントを紹介しています。

子どもの権利とスポーツの原則