もくじ ※ このデータは、『世界子供白書2005(概略版)』より、ばっすいしました。みなさんが大切だと思ったことを、簡単に引用して、掲示板でほかのネットワーカーに伝えてもかまいません。 |
世界の子どもたちは… 世界の子どもの総人口 22億人 家にトイレがない開発途上国の子ども 3人にひとり 予防可能な病気が原因で5歳の誕生日を迎える前に亡くなる子どもの数 日本で生まれた子どもの平均余命 82年 低体重状態で生まれてくる子どもの割合 スーダン:31% 韓国:4% カナダで2003年に生まれた子どもの数 31万9,000人 1990年以来、紛争で死亡した360万人の犠牲者に占める子どもの割合: 45% ベルギーの子どもの人口 200万人 地雷の製造コスト 1個あたり3米ドル足らず 2003年の新規HIV感染者数(推定) 500万人 HIV/エイズによる孤児の数 1,500万人 HIV/エイズとともに生きる人々のうち、開発途上国に暮らす人々 90%以上 スウェーデンの電話普及率 1人あたり1.62台 国の予算全体に占める保健分野への支出割合 先進国15% 東アジアと太平洋地域1% 世界の軍事費(2003年) 9,560億米ドル 「児童の権利条約」を批准した国の数 192カ国 |
主な論点 「子ども時代」という言葉には、子どもたちが健やかに、かつ安全に成長することができる人生の一期間、という意味合いが含まれている。「子ども時代」とは、個々人の成長において他の時期と置き換えることのできないある期間を意味するばかりでなく、その年月の質をも指し占めしている。1989年、すべての国々が児童の権利条約に署名したとき、世界は子ども時代はこうあるべきだという基準を受け入れたのである。 しかし今日、10億人を超える子どもたちの「子ども時代」が脅威にさらされている。世界中の子どもたちの「子ども時代」に対して最も深刻な脅威をもたらしているのは、貧困と紛争、HIV/エイズの問題である。これらの脅威は、それ単独で、あるいはそれぞれが相互作用を及ぼしあって、子どもたちから子ども時代を奪い、生存と幸福、そして未来の可能性を蝕みつつある。 子ども時代の喪失がもたらす影響は計り知れない。これらひとつひとつの脅威によって引き起こされる害悪は子ども時代をゆうに越えて子どもたちを脅かし、往々にして次の世代にも引き継がれてしまう。子ども時代が現在のような攻撃にさらされ続けるなら、ミレニアム開発目標は、何ひとつ達成されることはないだろう。 貧困の影響を最も大きく受けるのは子どもたちである。開発途上国に生きる子どもの半数以上が、幸福や心身の健全な発達を妨げられている。生存や発達、そして自己の可能性を開花させるために必要な基礎的サービスや物資を奪われているためだ。 貧困は途上国だけに限った問題ではない。比較可能なデータが存在する先進国15カ国のうち、11の国々で、過去10年間に子どもの貧困率の顕著な上昇が認められた。 武力紛争が起こると、子どもたちは最も基礎的な保護すら受けられなくなる。何百万人もの子どもたちが紛争によって自分の家やコミュニティ、家族から引き離され、強制的に兵士として働かされている。そして、性的暴力を含むさまざまな暴力や空腹、病気やトラウマ(心的外傷)に苛まれているのだ。1990年以来紛争の犠牲となった360万人のうち、約半数近くが子どもである。 HIV/エイズがもたらす脅威はますます増大し、子どもたちの命と子ども時代を危機にさらしている。HIV/エイズの感染が最も深刻な国々では、エイズのために子どもの死亡率が劇的に上昇している。何百万人もの子どもたちがエイズで一方、または両方の親を失っている。さらに数百万人の子どもたちが病床、あるいは死の床にある親や保護者とともに暮らし、困難な状態にある。いまやエイズは開発途上国の15歳から49歳の人々の死亡原因の第一位を占め、もはや家族やコミュニティの手には負えない状況に陥りつつある。 |
主な事実:貧困 開発途上国の子どもの半数以上が、基礎的な物資やサービスを欠いた生活を送っている。 貧困は、子どもに対する家族やコミュニティのケア能力を損なう。全世界で、 都市部に暮らす子どもにくらべ、農村部の子どもは基礎的な物資やサービスを受けられない可能性が2倍、学校教育を受けられない可能性が3倍にもなる。 貧困が子どもたちに及ぼす影響は、収入と貧困という尺度では十分に明らかにすることができない。たとえば、インドとセネガルの国民一人あたりの収入はほぼ同じレベルだが、インドの子どもにとっては栄養不良の問題がより深刻であるのに対して、セネガルの子どもが直面しているのは学校教育の機会の損失なのである。 世界経済は拡大しつづけているにも関わらず、所得の不均衡が国家間でも、一つの国の中でも拡大している。開発途上国の最貧困層の子どもは、同じ国の最富裕層の子どもにくらべて、5歳の誕生日を迎える前に死亡する可能性が2倍以上も高い。 経済制裁は子どもたちに破壊的な影響を及ぼす可能性がある。イラクでは5歳未満児死亡率が1,000人あたり50人(1990年)から125人(2002年)へと、2倍以上に悪化した。ハイチでは、急性栄養不良が1990年の3.4%から94〜95年の7.8%に上昇した一方、就学率は90年の83%から94年には57%に低下した。 子どもの貧困は経済的に比較的豊かな国々でも著しく上昇している。1980年代にくらべて低所得層の子どもが減った先進国は、カナダ、ノルウェー、英国、および米国の4カ国のみである。2000年に子どもの貧困率が5%を下回った国は、フィンランドとノルウェー、スウェーデンのみである。 |
主な事実:紛争 武力紛争の標的となる子どもたちがますます増えつつある。1990年代に紛争にまきこまれて死亡した360万人の半数近く(45%)が子どもであった。 さらに数百万人の子どもたちが、重いケガや生涯にわたって残る障害を負ったり、また、性的暴力やトラウマ(心のきず)、飢えや病気をたえしのんだ。およそ2,000万人の子どもたちが紛争のために自分の住む家やコミュニティを追われた。 何十万人もの子どもたちが否応なしに暴力を目の当たりにし、また自ら暴力行為に携わることを強いられている。誘拐されたり徴兵によって紛争に駆り出された子どもがみな武器を手にとるわけではない。料理や雑用をさせられたり、あるいは性的奴隷や伝令役、スパイとして働かされる子どもがたくさんいる。女の子は特に弱い立場に置かれている。 戦争では、性的暴力が敵を傷つけるための武器として意図的に行われることが往々にしてある。ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチアでは、女の子と女性に対するレイプが戦略の一環として行われた。近年のコンゴ民主共和国、シエラレオネ、リベリア、そしてスーダン・ダルフール地方における紛争において、性的暴力は広範囲に行われている。暴力は、紛争によって家を追われた人々を収容する避難民キャンプにおいても引き続き発生している。 また、紛争下の多くの国々ではHIV有病率が高く、それが感染者数急増の温床となっている。ルワンダでは、1994年の大虐殺以降の5年間に2,000人の女性(その多くがレイプ被害者)がHIV検査を受けた結果、80%がHIVに感染していることが判明した。2000人のうちの多くは、暴行を受けるまで性的に活動的ではなかった女性であった。 子どもたちに安全を保証するシステムは、往々にして武力紛争の最中に機能を失ってしまう。法執行機関や学校、保健施設、家族そしてコミュニティは、平時の体制と権限を失ってしまうのだ。 典型的な戦争が5年間続くと、5歳未満児死亡率は13%上昇する。戦争が終了した後の最初の5年間についてみると、5歳未満児死亡率は紛争発生前にくらべて11%前後高くなる。10年間にわたって内戦が続いたシエラレオネでは、5歳未満児死亡率が世界で最も高く、出生1,000人あたり284人の子どもが5歳の誕生日を迎えることなく命を失っている。 地雷は毎年1万5,000人から2万人の人々の命を奪っているが、少なくともそのうちの5人にひとりが子どもである。子どもは特に地雷の危険にさらされている。地雷はサイズが小さく、みなれない形や色をしているために、子どもはオモチャと間違えてしまうのだ。 |
主な事実:HIV/エイズ エイズのために何百万人ものおとなが病に倒れ、命を落としている。そのために、子どもたちの生活が大きな混乱に陥っている。また、ますます多くの子どもたちがエイズのために命を落としている。 エイズはいまや、世界の15歳から49歳の人々の死亡原因の第一位を占める。2003年、290万人がエイズで死亡し、うち50万人近くが15歳未満の子どもであった。また、およそ480万人がHIVに感染し、そのうちの63万人が子どもであった。 2003年までに、HIV/エイズとともに生きる15歳未満の子どもの数は約210万人。1990年から2002年の間に子どもの死亡率が世界で2番目、3番目、4番目に悪化した国は、世界で最もHIV有病率が高いボツワナ、ジンバブエ、スワジランドだった。世界的にみると、子どもの死の約4%がエイズによるものである。 この病気が子どもにもたらす影響が最も顕著なのは、エイズによる孤児の問題である。2001年から2003年のたった2年の間に、片方または両方の親をエイズで亡くした18歳未満の子どもの数は1,150万人から1,500万人に増加した。そのうちのおよそ80%がサハラ以南のアフリカに暮らしている。 HIV/エイズによる孤児の約90%は拡大家族に引き取られて生活しているが、その拡大家族の対応能力もすでに限界に近づきつつある。さらに何百万人もの子どもたちが、病床や死の床にある家族とともに暮らしている。 乳幼児期は子どもが最も弱い状況にある時期であるが、その期間に母親や保護者が病に倒れたり亡くなってしまうと、子どもは最も基礎的なニーズすら充たされなくなる危険性がある。HIV/エイズは、危害から子どもたちを守ってくれる最初の、そして最善のセーフティネット(安全網)である家族を子どもたちから奪い去ってしまう。 両親をともに亡くした子どもは、学校に通ったり、適切な教育レベルに達することが難しく、せっかく学校に通っていても途中でやめてしまうことが多い。孤児となった子どもたちはまた、そうでない子どもにくらべて、最悪の形態の児童労働に従事させられる可能性がはるかに高くなる。最悪の形態の児童労働とはすなわち、農作業や家事労働、性産業、道端での物売りなどである。ザンビアで行われた調査によると、子どものセックスワーカーの約半数が両親ともに死亡してしまった子どもたちであった。また、その他に約4分の1の子どもたちは片方の親を亡くしていた。 特にサハラ以南のアフリカ地域では、HIV/エイズがコミュニティの能力を損ないつつある。農民や教師、保健員、警察や軍人など、コミュニティの核となる人的資源がHIV/エイズとの闘いに敗れ、命を落としているのだ。教員や教育システムの面だけに限ってみても、教育機会の削減という悪影響が子どもにおよぶことになる。 |