世界のニュース

パレスチナ自治区:戦闘に巻き込まれる子どもへの心のケア

2012年11月20日


© UNICEF/NYHQ2012-1522/El Baba
イスラエル軍の空爆により破壊された家屋を不安そうに見る子どもたち。

ガザの農村地帯に暮らすジャマル・ナセさんは、空爆で15歳の息子をなくしました。
もう一人の息子であるタレクさんも負傷し、入院をして治療を受けています。「息子が家に帰りたいといっていますが、帰る家は空爆でなくなってしまいました。他の子どもたちを連れていけるような安全な場所もどこにもありません。」とナセさんは語ります。

昼も夜も続く爆音は、ガザとイスラエルの子どもたちをおびえさせ、悪夢にうなされたり、ひとりになることを怖がるなどの心理的ストレスが表れはじめています。

ユニセフの緊急心理ケアチームは、ガザの病院と家庭を訪れ心のケアを行っていますが、この地域は危険な状態が続いているため、なかなか実施をすることができません。
「幼い子どもたちにとって、今回のような出来事はトラウマ(心的外傷)となり、安心感を持つことが難しくなります。子どもたちは、何が起きているか理解できず、自分にはどうすることもできないと感じます。家族が危険な状況にあっているのは自分のせいだと思ってしまうことすらあるのです。心のケアでは、子どもたちにこのような出来事は自分たちの責任とは関係なく起こりうることで、恐怖を感じるのは当然だと伝えます。私たちは、子どもたちの心を回復させようとしていますが、安心できるという感覚を取り戻すには、長い時間がかかります。」とユニセフ・パレスチナ自治区・子どもの保護官チーフのブルース・グラントは話しています。

公益財団法人 日本ユニセフ協会