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シリア危機:紛争と障がいのある子どもたち

2013年5月31日


© UNICEF Jordan/2013
アブドゥラティフさんの4歳になる娘さん

シリアでは2011年から紛争が続いています。学校や家が壊され、150万を超える人が近くの国へ避難しています。アブドゥラティフさん一家も、国境を越えてシリアの隣にあるヨルダンの難民キャンプに家族一緒に避難してきました。アブドゥラティフさんの息子さん(15才)は、身体障がいと知的障がいがあるため歩くことができません。家族が交代でおんぶをして1ヶ月かけてヨルダンの難民キャンプへやって来ました。しかし、難民キャンプのテント内は無数のハエが飛び交い、障がいのある息子さんを世話するのは大変だとお父さんは言います。娘さんは、補聴器がないとまわりの音が聞こえません。しかし、難民キャンプに来てからその補聴器が壊れてしまい話すことができなくなってしまいました。補聴器を直すには約100万円のお金がかかります。けれども、少しの着替えだけを持って避難してきたアブドゥラティフさん一家にはそんなお金はありません。紛争で最も大きな影響を受けているのは子どもたちです。中でもアブドゥラティフさん一家の息子さんと娘さんのように、障がいのある子どもたちの状況はさらに厳しいものとなっています。障がいがある子どもは、差別や支援不足のために社会から取り残されることが多く、世界の子どもの中でも最も忘れられやすく、最も弱い立場に置かれています。

公益財団法人 日本ユニセフ協会