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仙台:「まちの未来をデザイン」未来の七郷まちづくり

2014年1月28日


© 日本ユニセフ協会
2畳ほどのスペースに、未来のまちがつくられました。

宮城県仙台市若林区は、東日本大震災で大きな被害を受けた地域の一つです。七郷小学校は、近くに建つ仙台東部道路が津波をせき止めたため、大きな被害を受けずにすみましたが、学校の周辺は今、沿岸部から移り住んできた多くの人たちの家や新しい地下鉄の駅ができるなど、大きく変わろうとしています。

そんな中、七郷小学校では、「子どもたちに『まちの未来』を考える機会を与えたい」との思いから、2012年から「総合的な学習の時間」を使ってまちづくりワークショップなどを行ってきました。第二回目にあたる今回は、6年生たちが「未来の七郷まちづくり」をテーマにまちの模型づくりを行い、1月28日模型の完成披露会が開かれました。

模型づくりを始める前に、6年生はもうすぐ地面の下に埋められて見えなくなってしまう用水路や、地下鉄の新しい駅ができる予定の工事現場などを見て回りました。普段から目にしていた風景を「まちづくり」という視点で見つめ直し、写真を撮り、自分たちの住んでいたふるさとを再発見したのです。

さらに子どもたちは、「まちづくり」についての基本的な考えを学ぶため、日本ユニセフ協会の「子どもにやさしい復興計画」支援活動アドバイザーである佐藤先生(山形大学教授)の授業を受けました。そこでは、「人」「環境」「防災」という3つの視点を教わりました。

そして、いよいよ模型作り。学校周辺のまちを4つの区画に分け、グループに分かれて、残したいもの・変えたいもの・形を変えて残したいものを考えました。クラスの代表(市長)とグループの代表(区長)が全体のバランスを調整し、クラスごとに模型作りに取り組みました。

6年1組が選んだテーマは「人と時がつながったハーモニーシティ七郷」。2組は「緑と太陽を生かしたまち七郷」。3組は「絆が深い美しいガーデンシティ七郷」。4組は「おもてなしの心あふれる七郷タウン」。2畳ほどの大きさのスペースに、学校周辺のまちがデザインされてゆきます。ソーラーパネル、自動車の振動で発電する仕組み、エアバッグのようにクッションと空気でできたガードレールなど、様々なアイディアが表現されました。「地震の時、明かりが無くなったまちから見上げた星空がとてもきれいだった」と、星空が見える場所をまちの中につくったクラスもありました。

今回ワークショップに参加したのは6年生だけでしたが、披露会には4、5年生も参加。「風力発電がありますが、騒音被害は出ないですか?そんなに風が吹きますか?」などと、模型をつくった6年生たちに様々な質問を投げかけていました。また、実際に七郷小学校周辺のまちづくりを行っている仙台市荒井東土地区画整理組合の方々も披露会に出席。「みなさんが未来の七郷について一生懸命考えていて感心しました。今日みなさんからたくさんのアイディアを教えていただいたので、私たちも一生懸命まちづくりを考えていきます。まちづくりには、おもしろいアイディアだけでなく、その実現にどのくらいのお金がかかるかということも考えなくてはなりません。これからぜひそういう視点でも、未来のまちを考えてみてください」と話されました。

■このニュースのくわしい内容は
 「まちの未来をデザイン」 未来の七郷まちづくり 宮城県仙台市から

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