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フィリピン:元オリンピック選手が、台風の被災地で復興支援に

2014年2月6日


© UNICEF Philippines/2014/Naoko Imoto
新学期が始まったフィリピンで支援活動をする井本さん(前方、右端)

今から18年前に開催されたアトランタオリンピックに競泳の日本代表選手として出場していた井本直歩子さん。選手を引退したあと、ユニセフの人道・開発支援の専門家として、内戦中のスリランカや大地震に見舞われたハイチ、そして東日本大震災の緊急・復興支援でも活動してきました。そして昨年末からはフィリピンで台風30号により被災した子どもたちの支援活動をしています。

4歳のときから、オリンピックの金メダルという夢に向かって進んできた井本さん。途上国に関心を持ち始めたきっかけは、水泳の海外遠征や試合での、様々な国の選手との出会いでした。

「海外遠征が毎年のようにあって、そのときに、自分がすごく恵まれていると思いました。 例えば海外の試合に出て、貧しい国から来た選手がたくさんいます。私のチームメイトたちは早い選手ばかり見ていて、でも、私はなぜか貧しい国から来た選手が好きでした。そういう国の選手をみて、どういう練習しているのかな、ゴーグルかけないのかな等と思っていました。選手村に行くと、色々な国からの選手がみんな一緒にご飯を食べます。そういうときも、私たちは自分の栄養のことを考えて試合用の食事をとるのですが、そういう選手たちはアイスクリームをたくさん食べたりとか、プリンのカップをバーっと並べて食べていたりしました。自分はとても恵まれているということを感じたので、この幸せな水泳生活を引退した後は開発途上国の人のために働きたいなと思ったんです」(井本さん)

学校は、子どもたちにとって"安心できる"場所です。先月、フィリピンの教育省と社会福祉開発省は、ユニセフやNGO、パートナー団体と協力して、台風の被害にあった子どもたちのために、「一緒に前に進もう」をテーマに「バック・トゥー・ラーニング(再び学ぼう)」キャンペーンを開始しました。

「いくつになっても、できるだけ多くの子どもたちがよりよい教育を受けられるような仕事を一生やっていきたい。これからの人生は、人のために役立つことをして生きていきたいです」と話す井本さん。教育は、悲しみに沈む心を前向きに変える力を持っています。

■このニュースのくわしい内容は
 フィリピン台風 間もなく発生から3カ月 元オリンピック選手が、被災地で復興支援に

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